LAST TRAIN ―新しい朝―




セラフィ――・・・ゴジラ達、もうあんなに仲良くなってる。
あたしもモスラ達と、仲良くなれるかな?
・・・大丈夫、あたしなら出来るって?イム。
うん・・・そうね。モスラ一族に、悪い人なんていない。
もうあたししかいないけど、お母さんもそうだったし。
ありがとう。あたし、絶対にモスラ姉妹の一員になるわ!


セラフィ「・・・うん!やっぱり、あたしから見たらシン同士は恋人同士に見えるわ!」
イシュタル「わたしも・・・と言うかセラフィ、なんかいきなりすごい張り切ってるね?」
レオ「でもそうよね。遠距離恋愛のカップルって言ったら、誰でも信じそう。」
チハヤ「むしろ、そうじゃないとおかしいよ。」
「‐」モスラ『セラフィもイシュタルもレオもチハヤも、そう思いますわよねっ!!でも、あれで恋愛の「れ」の字も無いなんて・・・わたくし、何度見ても信じられませんわ~!!』
イシュタル「もしかしたら、ゴジラよりお似合いかも。」
フェアリー『フェアリモ!ホント、ゴジラッテアア言ウノシナイカラナァ・・・』
スペース「それに本当ならあれを見て、ゴジラが嫉妬をしてもおかしくはないんだがな・・・はぁ、本当にあいつは良くも悪くもブレない。」
ゴジラ・レッド「アイツが嫉妬する姿が、オレには想像出来ないけどな。」
キングシーサー「えっ、あのお二人はお付き合いしていないのですか?」
「‐」モスラ『それが本当なんですの!なんともったいない・・・!あれ?ところで、貴方はどちら様でしょうか?』
キングシーサー「あっ、失礼しました。私、キングシーサーと申します。」



ゴジラ・レッドと共に現れたその者は、名前に反する少女だった。
セパレート構造になった特殊な橙色のチャイナ服に黒のスパッツとアクティブな服装、相反する色白の肌、豊満な体、温和な雰囲気、頭に付いた一対の犬の耳と大きくカールした揉み上げが目立つ髪。
彼女、キングシーサーは以前ゴジラ・レッドが怪獣界に迷い込んだ時に探していた、「運命そのもの」と呼ぶ程に大切な存在である。



「‐」モスラ『えっ?「キング」?』
レオ「でも貴方、どう見ても女性ですよね?」
キングシーサー「はい。私は今の沖縄・琉球王国を護る使命を持って生まれ、『王に使える獅子』の名としてこの名前となったのです。」
「‐」モスラ『なるほど。わたくし、いやモスラ一族もインファント島を守る為に生まれた存在・・・では貴方もわたくし達も、同じ「守護神」仲間ですわね。』
キングシーサー「はい!」
イシュタル「ちなみに、わたしの世界のキングシーサーも女の人だよ。前に来てくれた時は別の島に修行に行ってたから、会えなかったんだけど。」
キングシーサー「そうなのですか!?まさか、私と同じ境遇の方がいたなんて・・・」
セラフィ「良かったね、同じ女シーサー仲間がいて。」
ゴジラ・レッド「人間などを守る為にややこしい名前を付けられて面倒だろう、と言ってるんだが、本人がこの名でいいと譲らないんだ。」
キングシーサー「当然です。ここは人間の世界なんですから、悪態は止めて下さいね?ゴジラさん。」
ゴジラ・レッド「分かってる。チャイルド親子やラゴス、呉爾羅にも散々言われているしな。」
「‐」モスラ『あら、ゴジラ・レッドともあろう者がタジタジですわね?やはり親しい仲なのですか?』
キングシーサー「はい。元々私はゴジラ・レッドさんのパートナーをしていまして、あ、あと・・・」
ゴジラ・レッド「オレの女だ。」
「‐」モスラ『なっ!?な、なんですって~っ!!』
イシュタル・レオ・フェアリー「「『ス、ストレート!』」」
チハヤ「あいつ、見掛けによらず中々言ってくれるね。」
キングシーサー「ゴ、ゴジラさんったら・・・」
スペース「はぁ。あいつもあれぐらい言えても良いだろうに。改めてシンの境遇には同情するが・・・」



シン「シンゴジーーっ!!今日はあたし達と、色んなとこを回ろうね~!!」
シン・ゴジラ「・・・」



スペース「・・・オレが気にする必要も、無さそうだな。」



相変わらず髪を揺らすシン・ゴジラの両手を激しく上下に振って喜びを分かち合うシンを見て、スペースは三度目の溜息を付くのであった。



婆羅護吽「バラ君、久しぶり!」
バラゴン『姉さんこそ、お久しぶりです~。』
婆羅護吽「ようこそ、神の住まう地・出雲へ!今日はお姉さんがたくさん案内するから、期待しててね。」
バラゴン『おお~!それは楽しみですな~。そうそう、俺っちも今日までに色々な所を探検して来たんですけど、聞きます~?』
婆羅護吽「『バラゴン見聞録』の新作!?うんうん、お姉さんに聞かせて!」
バラゴン『ではでは、聞かせてしんぜましょう!まず、「髑髏島」と言う島で出会った「巨神」について・・・ 』



以前「‐」世界に「招待」された際、年齢・・・と言うよりいつも周りから小さい子扱いされている反動か、ノリノリで姉役を気取る婆羅護吽と、そんな彼女に合わせて弟役に自ら立候補したバラゴンが結成した「バラバラ姉弟」。
二人が仲良く話す隣で、護国バラン・「‐」バラン、それに加えてアンバーのトリプルバランが対面を果たしていた。



護国バラン・「‐」バラン「『会いたかったぞ、同志!』」
護国バラン「あれ以来常に会いたいと願っていたのだが、残酷な運命がそれを許さなかった・・・」
「‐」 バラン『然し、此処に漸く再会を果たす事が出来た・・・今は其れを只感謝しようでは無いか・・・!其うだ、紹介しよう。私の世界のもう一人のバランにして同志、白虎のアンバーだ。』
アンバー『初めまして、護国聖獣のバラン。わたくしは四神・西方守護を司るアンバーと申します。どうか、よしなに。』
護国バラン「あぁ、こちらこそ宜しく頼む。新たなる同志よ。」
アンバー『しかし、バランから話は聞いていましたが、貴方は本当にバランと瓜二つですね・・・』
護国バラン「血縁関係などは無いのだが、まさに神の悪戯と言える程に不思議な事だ。しかし、アンバーと言ったな。なんと美しい姿なのだろう・・・」
アンバー『お、お褒め頂けて光栄です。』
「‐」バラン『済まないが、恋慕だけは止めておけ・・・後で後悔摺るだけだ。』
護国バラン「なんだ、アンバーにはもう伴侶がいるのか?」
「‐」バラン『其うでは無い。然し、想い人が何処かに居るのは事実の様だ。何者かは頑なに話さないが。』
アンバー『色々と事情がありまして・・・申し訳ありません。』
護国バラン「そうか・・・やんごとなき相手なのだな。例えば人間とか・・・」
アンバー『!?』
「‐」バラン『ん?どうした、アンバー。』
アンバー『い、いえ。なんでもありません。』


アンバー――・・・まさかとは思いますが、あのバランにバレてはいませんよね?
わたくしが恋焦がれているのが、本当に人間の男性なのが・・・
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好釦