LAST TRAIN ―新しい朝―
この状況に変化が訪れたのは、2011年の事だった。
呉爾羅が突如、最珠羅達を呼び出したのだ。
呉爾羅「・・・と、言うわけでこれからお前らには「招待」されて貰いま~す。」
最珠羅・婆羅護吽・護国バラン「「「・・・えっ?」」」
魏怒羅「・・・スカピー・・・」
この突飛かつ初耳ではよく分からないシチュエーションで護国五聖獣は再集合し、数日後に1954年のラゴス島に「招待」された呉爾羅達は異世界の怪獣達と、後の「VS」ゴジラ・機龍となるゴジラザウルス・初代ゴジラと遭遇。
呉爾羅はザウルスとすぐに意気投合するも、初代ゴジラとは単純な性格の不一致だけでなく、人間への感情を巡って対立。
9年前のように内なる魂達が暴走しかける事態にまで発展しかけるが、ラゴス・ゴジラの読心能力によって解決。
後に呉爾羅は怪獣界に「招待」され、数奇な縁が出来上がった元ゴジラザウルスの「VS」ゴジラ、元初代ゴジラの機龍との完全なる和解を果たし、確かな絆を結んだ。
それから幾度の「招待」を経て、護国聖獣達は呉爾羅のある「変化」に気付き、わざわざ集合の時間を早めてまで出雲の町を歩いていた。
最珠羅――・・・私達が初めて「招待」されてから、呉爾羅から感じる邪気が少しずつ薄れている気がする。
恐らく、異世界のゴジラ達と接した事があいつ自身の心に良い影響を与えているのだと思う。
そして今日、試しに出雲の地を歩かせてみたら特に問題なく歩けているし、それどころか出雲に生まれた者の魂達が強く反応している・・・
もしかしたら、今日なら・・・
呉爾羅「なぁ、そろそろ奉納山に行こうぜー?最珠羅的には早い方がいいみたいだし、待ち伏せしてあいつらドッキリさせないとな!」
最珠羅「いや、駄目だ。そんな下らない目的なら余計に。」
呉爾羅「ええーっ、なんか今日は変に俺の中がガサガサしてるし、もう歩きたくないって・・・」
婆羅護吽「だからよ。それは多分じっとしてても直らないんだから、つべこべ言わずに歩く!」
魏怒羅「・・・俺は関係ないから、奉納山に行きたい。」
最珠羅「お前はもっと駄目だ。そうやって時間までずっと寝る気だろ。」
魏怒羅「・・・オヤスミー。」
婆羅護吽「こら~!言えば寝れると思うな~!」
護国バラン「まぁ、こうも騒がしい出雲来訪も久々なんだ。あの日から去年までに淡白さに比べればましだろう。呉爾羅、お前の中の出雲の者は何と言っている?」
呉爾羅「・・・懐かしい、ってさ。まぁ、俺も似たような感じか。」
護国バラン「なら、まだまだ出雲を歩くぞ。ここ数年で出雲にも驚く程に建物が増えて、お前が来なかった間に出来た所も多いからな。スナバとか。」
婆羅護吽「やだなぁ、バランさん。スカパーですよ。」
最珠羅「スタバだよ、婆羅護吽。」
魏怒羅「・・・」
呉爾羅――・・・ずっと行きたかった場所、か。
俺は・・・やっぱり・・・
その目線の少し先に建つ大社、そして境内への立ち入りを阻む銅の鳥居を頭に思い浮かべながら、呉爾羅は護国聖獣達と共に次の案内先候補へ向かった。