Who will know‐誰が知っているだろう‐











「・・・」



シン・ゴジラの今日(こんにち)までの道程はここで終わり、ラゴス・ゴジラを通じてそのあまりに孤独で壮絶な出生を知った一同は打ちのめされ、閉口する。
そんな中、涙を流す者が二人いた。



シン「やっぱり、あなたはあの時のあの子だったんだ・・・!!たっくさん待たせちゃったけど・・・無事でいてくれて、よかった・・・!!」
ラゴス・ゴジラ「そっか・・・お前、ずっと一人で・・・けど、シンに会いたいって気持ちだけ持ち続けて、耐えてきたんだな・・・!」



シン・ゴジラの過去に直接触れたラゴス・ゴジラと、この面々の中でお互いに唯一遭遇し、こちらもまた彼に会いたいと思い続けていたシンだった。
ラゴス・ゴジラの悲しみの、シンの喜びの涙を見て、今まで疎まれて来たこんな自分の為に泣いてくれている・・・その事実にシン・ゴジラは動揺し、自分自身が驚く程に、押し寄せる感情に手が震えていた。



シン「あの時、やっぱり何もしてあげられなくてごめんね・・・でも、もう大丈夫!こうしてあたしとシンゴジ、またこうやって出会えたんだから・・・あなたはもう、一人なんかじゃないわ!!そうよね、みんな!!」
ラゴス・ゴジラ「モチのロン、だぜ!!って言うか、バルが変な事しちゃったせいでゴメン。オレが代わりに謝るよ。けど、もうあんな荒っぽく追い出すのはやめてくれよ?そんな事しなくても、オレもアニキもお前を拒まないからな!」
スペース「混み入った事情があるのなら、今回は許そう・・・だが、次は無いぞ?」
呉爾羅「俺もお前もここにいるみんなも同じゴジラなら、仲良くなるのに理由なんていらない!俺もあいつらに救われた事あるし・・・今度はシンゴジの番だ!」
Jr.「貴方に危害を加えないよう、俺からみんなに言いますので安心して下さい。絶対に約束します!俺達を信じて下さい!」
「‐」ゴジラ『おれもチャイルドも、お前のみかただぜ。だからレジェンド、たのむからシンゴジをたおすなんて言わないでくれ・・・!』
チャイルド『おねがい、おじさん!しんごじさんとなかよくして・・・!』



レジェンドはシンの、「‐」ゴジラ達の、シン・ゴジラの顔を一人一人強く見つめ、少しだけ俯き・・・刀を背中にしまった。
レジェンドがシン・ゴジラの存在を認め、彼の敵で無くなった証拠だ。



レジェンド「・・・己が信用した者がそう言う以上、大丈夫だろう。」
チャイルド『ほんと!わあ~い!!』



レジェンドの英断に一同は胸を撫で下ろし、チャイルドは歓喜のあまりレジェンドの足に抱きつく。
レジェンドも微笑を浮かべながら、以前鍵島に来た時のようにチャイルドの頭を優しく撫でた。



「‐」ゴジラ『ありがとうな、レジェンド!おれもチャイルドも、お前をしんじてたぜ!』
チャイルド『やっぱり、おじさんはいいごじらさんだったね!おじさんもしんごじさんも、もうかなしくないね!』
レジェンド「・・・この子の敵には、なりたくないからな。」
ジラ『その通り!ラブアンドピース、愛こそが地球を救うのさ。あんたも分かってくれて良かったよ。レジェンド。』
呉爾羅「ふぅ、ひやひやしたなぁ・・・寿命が縮むかと思った。」
Jr.「えっ、半分幽霊みたいな呉爾羅って寿命あるの?」
呉爾羅「あるって!・・・多分。」
シン「あたしからもありがと!シンゴジを信じてくれて。良かったわね、シンゴジ!もうここに、あなたを嫌う人なんていない!むしろ、こんなにいっぱいのゴジラ友達が一度に出来たのって、素敵な事だと思わない?」



シン・ゴジラの震える手を両手でしっかりと握り、あの日と同じ微笑みを彼に向けるシン。
陽の元の世界で生きる為、沈黙と疑心で覆い隠した彼の心の真実の感情。
抑圧され続けていたそれが今、眼前にいるシンとゴジラ達の絆のあたたかさに誘発され、無機質な心の壁を壊さんとばかりに溢れだしそうになっていた。
その証拠に、シン・ゴジラの口がジェスチャーをしたいわけでもないのに微かに動く。



「・・・!」
シン「無理しなくていいから、いつか自分の言葉で答えを聞かせてね♪それにしても、チャイルドにこんなに懐かれるなんて、レジェもいいお父さんじゃない☆」
レジェンド「・・・己は独りだ。ただ、鳥と動物には何故かよく懐かれるが。」
チャイルド『きっとみんな、おじさんがやさしいってわかるからだね!』
レジェンド「・・・それから一つ質問なのだが、この子が言っている『おじさん』とは何だ?」
呉爾羅「えっ?おじさんなのにおじさんって言葉が分かんないのか?」
Jr.「その言い方ややこしいって、呉爾羅・・・」
レジェンド「・・・皆がそう言うのでゴジラ一族への呼び名だと思ったが、己以外にそう呼ばれない事に疑問を感じた。」
機龍「んっ?もしかして彼、かなり長生きみたいだから『おじさん』って概念が無いんじゃないかな?俺みたいに。」
スペース「お前は外見が若いからそうなっているだけだろう?オレ達怪獣界の者も、他世界の怪獣から見たら似たようなものだが。」
ジラ『本当の事を言うとね、「おじさん」は魚の名前だよ。』
「‐」ゴジラ『ええっ!じゃあレジェンドは魚のゴジラなのか!?』
Jr.「もう、ジラさん!嘘にホントを混ぜるのやめて下さい!確かに『オジサン』って魚はいますけど、レジェンドさんは関係ないですからね!」
「‐」ゴジラ『あれ?でもおれ、前におじさんみたいな顔した魚を人間の家で見た事あるぞ?』
ゴジラ・レッド「それって『シーマン』の事か?あれは人間の手によって作り出された魚だな。」
Jr.「いや、レッドさんも中途半端にフォローしないで!シーマンはゲームのキャラ!現実に存在しないんです!もう、突っ込みが間に合わないって!」
「VS」ゴジラ「おい、何Jr.を困らせてんだ?偽者?そんな事したからには、この事態を収拾する覚悟はあるんだろうな?」
ジラ『ええっ!?なんか全部私のせいになってないかい!?』
レジェンド「・・・どうなんだ?はっきりしてくれ。」
ゴジラ・レッド「そうだな・・・『若者』より上で、『老人』より下。その狭間の年齢の男の事を『おじさん』と言うんだ。」
機龍「『大御所』まではいかないけど、ベテランの仲間入りをした感じかな?人にも寄るけど、基本は侮辱の言葉じゃないからね。」
レジェンド「・・・分かった。それなら良い。」
ジラ『ま、まぁそう言う事さ。何であれこれで一件落着!新しいゴジラがまた一人増えたってわけだねぇ♪』
「VS」ゴジラ「無理矢理誤魔化しやがったな、あいつ・・・しかし、さっきの過去話に出てきた空間を吸い込む『黒い塊』って・・・」
機龍「十中八九『ディメンション・タイド』だな。メガギラス戦後から一度だけ使われたと聞いたけど・・・その話を聞いたのも、最初の『招待』の直後だったような。」
ゴジラ・レッド「つまり、まだ幼かったアイツを人間共が消そうとしたってワケか!人間共め、見直したらと思ったらすぐにこれだ・・・!」
スペース「人間の愚かさについては同意だが、ある意味そのお陰であいつはシンと出会い、この世界で生きる希望が持てた・・・とは考えられないか?怪我の功名の結果だが。」
ゴジラ・レッド「・・・アイツがそれでいいなら、オレも別にいい。」
「VS」ゴジラ「あとで特生自衛隊の本部でも消し炭にしてやるか・・・」
機龍「いやいや、一応俺の家なんだけど?しかも茜さんと義人もいるから、それだけはやめてくれよ?」
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好釦