Who will know‐誰が知っているだろう‐
シン「も~!!この人は敵なんかじゃなくて、宮沢賢治の朗読したりとか、折り鶴折ったりとかしただけなんだけど!!」
「VS」ゴジラ「宮沢賢治・・・!」
機龍「お前が珍しく好きそうな人間の名前が出てきたな。中々心得た怪獣じゃないか。」
呉爾羅「いってぇ・・・なんだよ、ケンジニストならそう言ってくれれば良かったのに・・・」
「‐」ゴジラ『そっか・・・それはごめんな、シン。』
スペース「オレもすまなかった、シン。エレベーターの件もあって、つい過敏になってしまった。」
シン「と言うか、ゴジラなら読心術で鎌倉さんの考えてる事くらい分かるじゃない!」
ラゴス・ゴジラ「あっ、そういやそうだった・・・って、鎌倉さん?」
シン「そう!でもそれはあたしがつけたあだ名。実はこの人もゴジラ一族で、しかもその名も『シン・ゴジラ』って言うのよっ!!」
ラゴス・ゴジラ、「‐」ゴジラ、チャイルド「『『え、えぇーっ!!』』」
ゴジラ・レッド「なんとなく同じゴジラ一族の感じはしたが、やっぱりそうか。」
スペース「シンと同じ名のゴジラか・・・確かに意外だな。」
ジラ『つまり、同じ名前同士の運命の巡り合いってわけだね。』
呉爾羅「俺はゴジラって言うより、市川家の人間に見えたけど・・・」
Jr.「新之助じゃないよ?呉爾羅。見た目でそう思ったんだろうけど。」
「VS」ゴジラ「名前が一緒ってだけだ、そんなに騒ぐ事じゃない。それよりなんであいつらがあんな所にいたか・・・」
レジェンド「・・・」
するとその時、一行の一挙一動を後方から静観していたレジェンドが前に出たかと思うと、シン・ゴジラの前で立ち止まった。
シン「あれ?あなた誰?」
「‐」ゴジラ『あぁ、レジェンドって言うアメリカから来たゴジラでさ、ゴジラジオの時にるすばんしてたチャイルドとバラゴンのとこに来てたんだけど・・・』
レジェンド「・・・離れろ。その者は己が倒す。」
そしてレジェンドは殺気すら篭った擦れた声と共に背中の刀を手に取り、シン・ゴジラに突きつけた。
レジェンドのあまりに突飛過ぎるこの行動に、一行は動揺を隠せない。
ラゴス・ゴジラ「えっ!?」
シン「ちょっと、何するのよ!」
ジラ『どうしたんだい、レジェンド!あんたはそんな事をするやつじゃないじゃないか!』
レジェンド「・・・何度も力を探って、その者は危険過ぎる力を持った存在だと分かった。だから倒す。」
チャイルド『おじさん、やめて!このひといじめないで!』
Jr.「そうですよ!いくらなんでも、結論が急過ぎますよ!」
「‐」ゴジラ『あんた、おれとチャイルドを助けてくれたり、やさしくしてくれたじゃないか!なのに、やめてくれよ!』
チャイルドが、「‐」ゴジラが、Jr.が、ラゴス・ゴジラがレジェンドとシン・ゴジラの間に割って入り、その身を呈してレジェンドを静止する。
だがそれでもなお、レジェンドは刀を仕舞う気配は無い。
レジェンド「・・・この星を、生命を護る為だ。止めないでくれ。」
「VS」ゴジラ「・・・お前の言う事は、間違ってはいない。こいつから不気味で途方も無い力を感じるのは事実だ。」
Jr.「な、なに言ってるんだよ!父さん!」
スペース「この星の生命を護る為に、危険な可能性のある存在は消す。発想自体は実に合理的な考えだ。だが・・・」
ゴジラ・レッド「だからって申し開きもしないのは認められないな。せめてアイツの声を、アイツの思いを聞いてやれ。結論はそれからだ。」
機龍「憎み合ってもいないのにゴジラ同士で戦うのは、俺も勧められないな・・・後悔、先に立たずって言うし。」
「‐」ゴジラ『それに・・・なら、おれ達みんなお前にやられないといけなくなる!みんな、いっしょなんだ。すごい力を持って、色んなものをこわして、にんげんからさけられて・・・でも、おれ達はそれでもこうして集まれた!だってみんな、へいわがだいすきだから!』
呉爾羅「いつかみんな死ぬ・・・でもさ、命は奪われるもんじゃ無い、生きれる最後のその日まで、持っとくもんなんだ・・・俺の『中の人達』も、きっとそう言う・・・!」
「VS」ゴジラ「殺されていいのは、誰かを殺すのを楽しんでる奴、外道、悪魔、それだけだ。それにお前、本当はこんな事やりたくないんだろ?俺には分かる・・・多分、同類だからな。」
チャイルド『おじさん、おねがいだからやめて・・・!あのひとも、おじさんも、なんだかずっとかなしそうだよ・・・?』
レジェンド「・・・!」
シン「みんな・・・!!
そうよ、鎌倉さん・・・いや、シン・ゴジラがどんな人なのか、何を考えてるのかは正直あたしもちゃんと分からない。けど、ここで折り紙したり、朗読を聞いてたシン・ゴジラは無口だけど純粋な・・・怪獣島の子供達と一緒だった!
だから、あたしが知ってるシン・ゴジラは世界を滅ぼしたりなんか、絶対しない!!ぜったい・・・!!」
ラゴス・ゴジラ「オレ頭回らないし、シンゴジとも今会ったばっかりだから分かんない事だらけだけど・・・オレは、シンが信じたシンゴジを信じたい!!言葉が話せないなら、オレが口の代わりになる!だから、もうちょっとだけ待ってくれっ!!レジェンド!!」
この対峙の末に起こりうる戦いを止めたいと言う、皆の共通の思い。
その思いをひしひしと感じた、レジェンドの迷いの手の震えが止まり、シン・ゴジラへと向けた刀の矛先は足元の畳へと変わった。
レジェンド「・・・己の気が変わらないうちに、早く。」
「‐」ゴジラ『やった!』
チャイルド『ありがとう!おじさん!』
Jr.「レジェンドさん、思い留まってくれたんですね!」
シン「よかった・・・!じゃあゴジラ、お願い!力を貸して!!」
ラゴス・ゴジラ「おう!!頼む、シン・ゴジラ。オレに本当の気持ちを・・・本当のお前を、オレ達に見せてくれ・・・!!」
「・・・」
ラゴス・ゴジラはシン・ゴジラの正面に立ち、両手で彼の左手を握る。
シン・ゴジラもまた抵抗する事なく、手と手を通してラゴス・ゴジラに自らの生い立ちを見せるのだった・・・