Who will know‐誰が知っているだろう‐







クリス「はぁ、はぁ・・・ほんと、お楽しみでも無いのに激しいんだから・・・」



その頃、茂みの中でゴジラ達からどうにか逃走したクリスが木を背に座り込み、呼吸を整えていた。
すんでの所で攻撃こそ避けられたが、あの脱出方法は彼女の体にかなりの負担を掛けるものであり、結晶フィールドが無い事もあって今攻撃されれば、かなりの苦戦を強いられるのは間違いない。



クリス「やっぱり、異世界だと力を発揮しにくいわね・・・けど、私はまだ物足りない・・・!
せめて、私に牙を向けた事をお義兄様達に後悔させてあげないとね!」



それでもなお、自信揺らがぬ妖艶な笑みを浮かべながらクリスはロッドに残りの宇宙エネルギーを集め、空の彼方に向かって発射した。



クリス――私からゴジラ一族への、特大のサービスよ・・・
たっくさん、味わいなさい・・・!










シン「・・・よし!また一羽かんせーーいっ♪」



そんな騒動があった事など露知らず、一行の集合場所である家屋ではシンがちゃぶ台で折り鶴を折っていた。
彼女の前には極彩色の折り鶴の山が出来ており、どの折り鶴も丁寧に折られていた。
ただ、この折り鶴の山はシンだけのものではなく・・・



シン「鎌倉さんも出来た?あっ、出来てる!ほんと、鎌倉さんって折り鶴折るのすっごく上手いわね~!」



シン・ゴジラの折り鶴も混ざっていた。
彼は黙々と、だが正確に折り鶴を作っており、その出来は彼女にも劣らない。
しかしながら彼女は手早く何羽も折ってしまうのに対し、シン・ゴジラは一折り一折りを時間をかけてじっくりと折っている点に違いがあった。



シン「それにしても、鎌倉さんが折り鶴も得意なんて意外。人は見掛けに寄らずって聞いた事があるけど・・・あっ、そうそう!そうだ!」



と、ここでシンが次の折り鶴に使おうと思った折り紙を置いたかと思うと、彼の目の前に座って自分から彼と目線を合わせた。
彼は依然として無表情だが、シンと確かに目線を合わせる。



シン「さっきからずっと思い出せない事があったんだけど、今思い出した!えっと、昔こうやって最初に『招待』された時にね、鎌倉さんみたいな子がいたんだ。」
「・・・!」



彼女の言葉にシン・ゴジラの目尻が、今まで彼女と過ごす中で動く事すら無かった、彼の顔が動いた。



シン「その子ね、汗かいてしんどそうにしてるのに、あたしが何を言っても返事しないでずーっとあたしを見てたの。でも、あたしが仲間を呼びに離れた間にいなくなっちゃって・・・あの時、助けてあげられなくてすっごく悔しい思いをしたのに、あたしったらなんで忘れちゃってたんだろ・・・って。」
「・・・」
シン「たぶん、ずっと子供だったから鎌倉さんとは関係無いと思うんだけど、鎌倉さんの目を見てたら思い出したの。あの子と鎌倉さんの、あたしを見る目が似てたから・・・あっ、突然変な話してごめん。
と、言うわけであたしは次もし会えたら、その子を絶対助けるぞ!!・・・って、話でした♪」



やや申し訳なさそうに、彼と目を合わせながら微笑むシン。
そんな彼女を見て、彼の脳裏にある声がフラッシュバックする。



――・・・ごめん、しんどいと思うけどもうちょっとだけここで待ってて!
もうちょっとの辛抱だから、そこでいい子にしててね。




「!」
シン「じゃあ、次は・・・!?」



話を終え、再びちゃぶ台での折り鶴作りに戻ろうとしたシンの手を、彼は不意に掴んだ。
あまりに唐突なこの行為にシンは思わず腰を落として座り込んでしまうが、大きく、微かに震えながら・・・優しく。
彼は手を掴み続ける。



シン「か、鎌倉さん・・・?」
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好釦