Who will know‐誰が知っているだろう‐
呉爾羅「しりとりはじめっ!しりとり!」
機龍「りんご。」
Jr.「ゴリラ。」
「VS」ゴジラ「・・・ラゴス島。」
一方、家屋からやや離れた山道を「VS」ゴジラ、機龍、Jr.、呉爾羅が歩いていた。
舞台が同じ世界故に、彼らは目的地の家屋まで徒歩で行かなければならず、それまでの暇潰しにと呉爾羅の発案でしりとりが行われていたが、開始早々の「VS」ゴジラの回答に呉爾羅が急に不満を覚え、わざとらしく手を挙げて談判し始めた。
呉爾羅「おい、Jr.パパ!しりとりなんだからそこは『ラッパ』だろ!せっかく俺がそこから『パンツ』って答えたかったのによ!」
「VS」ゴジラ「答えの決まってるしりとりなんて、それはもうしりとりか?」
Jr.「まぁでも、父さんは絶対単語のレパートリーが少ないんだからここで楽すれば良かったのに。」
機龍「しかもさりげなく故郷のアピールなんて、お前にしてはなかなかやるな?」
「VS」ゴジラ「お前らまで・・・!」
機龍「そうだ呉爾羅、ここはあいつが『パンツ』って言った事にするから、次の次は『ま』で終わる言葉にしてくれないか?そしたら・・・」
Jr.「『満足』って言いたいんでしょ?もう、機龍の考える事くらい丸分かりだよ・・・」
呉爾羅「うーん、『ま』で終わる言葉かぁ・・・」
「VS」ゴジラ「お前ら確認だが、ちゃんとしりとりする気あるか?」
あのテンションの低さなら誰にも負けない事で有名な「VS」ゴジラさえも混ざって、まるでコントのような仲睦まじいやり取りをする四人。
だがそんな彼らの目に、少し前の林から煙が立っているのが見えた。
機龍「んっ、あれは・・・」
Jr.「煙・・・?もしかして、火事か!?行こう!みんな!」
「VS」ゴジラ「おい、Jr.!」
Jr.が煙の方向へ走ったのを機に、三人も一緒に走り出す。
正義感の強いJr.にとっては、些細な事でも放ってはおけないのだ。
呉爾羅「Jr.焦ってるけど、もし焚き火してるだけだったらどうするんだ?」
機龍「こんな誰も寄り付かない山で?」
「VS」ゴジラ「なら、俺の炎で爆風消火してやる!」
Jr.「それ、火に火をぶつけて消火する方法でしょ!でも色々危険だから禁止!」
機龍「『目には目を、歯には歯を』論か。ゴジラらしいな。」
呉爾羅「そういやそれ、前からおかしいって思ってたんだよなぁ。目と歯ぶつけてもお互い痛いだけじゃん。」
Jr.「そう言う問題じゃな~いっ!!」
そうこう言い合っている内に、一行は現場に到着した。
現場は煙が立っている場所を中心に木々が放射状に折れており、何かが高速でここに落ちて来たようだった。
Jr.「これは・・・」
機龍「とりあえずは、焚き火じゃなかったみたいだな。」
呉爾羅「じゃあ、宇宙人襲来?」
「VS」ゴジラ「この世界の宇宙人なら、もっと派手に襲来する筈だ。そうでなかったら・・・」
???「い、いってぇ・・・」
と、その時煙の中で二つの影が起き上がった。
それと同時に煙が晴れて行き、影の正体が明らかになる。
ラゴス・ゴジラ「ふぅ・・・びっくりした・・・」
スペース「大丈夫か、ゴジラ。」
Jr.・呉爾羅「「ラゴス!スペース!」
「VS」ゴジラ「お前ら・・・」
ラゴス・ゴジラ「おっ、Jr.親子に機龍に呉爾羅じゃんか!こんな所で会うなんてラッキーだぜ!」
機龍「来るとは聞いてたけど、これは新しい『招待』の形?」
ラゴス・ゴジラ「違うって!オレとアニキ、突然弾き出されたんだ!お陰で飛ぶ余裕もなかったし・・・」
スペース「オレとゴジラはシンと共に通常通り『招待』され、光のエレベーターで向かっていた。だが、この山々が見え始めた所で突如何かの衝撃が襲い、エレベーターから弾き出されてここに落とされた。」
Jr.「そんな事があるのか・・・」
呉爾羅「エレベーターがくしゃみでもしたのか?」
機龍「じゃあ、俺達にも起こりそうで怖いな・・・俺、体は機械だから唾と衝撃は勘弁して欲しいよ。」
「VS」ゴジラ「くしゃみは絶対無いから安心してくれ、機龍さん。」
スペース「ただ原因が分からない以上、次も起こる可能性はある。理由を探りたい所だが、まずシンが無事なのかを確かめたい。」
Jr.「俺達もちょうど目的地に向かってた所ですから、一緒に行きましょう。シンさんもそこにいるかもしれないですし。」
ラゴス・ゴジラ「モチのロンだぜ!なっ!みんな!」
呉爾羅「あたぼうよ!じゃあ、しりとりの続きをしながら行くか!えっと、Jr.パパの『ラゴス島』からだよな。」
ラゴス・ゴジラ「おっ、Jr.パパらしい単語じゃんか!なんかオレも嬉しいぜ!」
「VS」ゴジラ「弾みで言っただけだ・・・だから、あまり囃し立てるな。」
呉爾羅・ラゴス・ゴジラ「「またまた、そんな事言っちゃってさ!」」
「VS」ゴジラ「集まった途端にお前らは・・・!鬱陶しいぞ!」
機龍「そう言いながら、心の底では嬉しいんだよな。あいつ。」
Jr.「父さんとラゴス、最初喧嘩してたのが嘘みたいに仲良いよね。」
スペース「昔の機龍と呉爾羅が一悶着あった事もそうだが・・・それで良い。オレはお前が機龍となった今でもお前とは気が合う・・・その事に、変わりが無いようにな。」
機龍「ありがとう、スペース。仲良しな事に越した事は無い。良い傾向だよ。人間もこれをちょっと見習ってくれたら戦争なんて・・・」
呉爾羅「おい、次は機龍だぜ!機龍が言いたかった『ま』!」
機龍「満足!」
メンバーを二人増やし、目的地への進行としりとりは再開されたのだった。