Give me‐君の心を解き放つ物語‐
アンバー『バラン?何か、あったのですか?』
と、そこに突如二人の探し相手であるアンバーが、二人に話し掛けて来た。
予想もしない展開に二人は同時に振り返るが、その瞬間二人はそれぞれ別のものに目を奪われる。
アンバー『ひどく声を荒げていたので、何かあったのかと思ったのですが・・・別に大丈夫そうですね。』
僧バラン「・・・!」
アンバー『お二人共、諸事情で遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。貴方が別世界のバラン、法師様ですね?もうご存じだと思いますが、一応改めて。わたくしが四神・西方守護の白虎こと、アンバーと申します。どうか、よしなに。』
僧バラン――・・・な、な、なんとぉ~っ!!
なんと、美しいんだ・・・!
人間・怪獣を問わず数々な女性を見て来た拙僧だが、間違い無く断トツの美人・・・!
こんな女性が、この世界にいたのか!
レオゴン『・・・アッシリカラ・・・アシノコ・・・』
「‐」バラン『・・・!』
ビオランテ『おお、突然すまぬな。ちょっとこやつがこの世界に来てしまったのを見たのでな、私も色々工面してこの世界に来たのじゃ。芦ノ湖・・・じゃったな。私も何故か「のるすだじぃ」を感じたが、こやつ相当そこに行きたかったそうじゃ・・・って、聞いとらんな。』
「‐」バラン――な、な、何だ。此のカイジュウは。
何と、異質な姿をして要るんだ・・・
数々のカイジュウと戦って来た私だが、間違い無く最大級の異形・・・!
こんなカイジュウが、彼奴の世界に居るのか・・・!
僧バランはアンバーの美貌に、「‐」バランは何故かアンバーの隣にいるビオランテ・・・の隣の合性怪獣・レオゴンに、目が離せないでいた。
前者はともかく、後者は致し方ないが。
アンバー『あ、あの、二人共どうかしましたか・・・?』
ビオランテ『なんじゃ、いい男が呆けよって。しゃきっとせんか!』
そんな二人に呆れたビオランテは両手を二人に向けるや、地面から無数の蔦を出して二人の頬を叩く。
「‐」・僧バラン『「ぐわっ!」』
かなりの勢いで叩いたからか、二人の体はそれぞれ左右へと軽く宙を舞い、砂地に倒れ込む。
予想だにしない気付けにアンバーは思わず息を飲むが、二人の目を覚ますには充分だったようだ。
「‐」・僧バラン『「はっ!」』
ビオランテ『ようやく気付きよったか。全く、女の前で失礼な奴らめ。』
「‐」バラン『な、何だ貴様は!』
僧バラン「ん?何だビオか。相変わらずけったいな挨拶だ・・・しかし、お主も『招待』されていたのか?」
ビオランテ『やはり聞いとらんかったか・・・』
「‐」バラン『同志、此の女は御前の世界のカイジュウか?御前の世界の連中は無礼な輩ばかりなのか?』
アンバー『バラン、ビオランテ様にそんな言い方をしないで下さい。この方は道中出会ったレオゴン様に困惑していたわたくしを、ここまで連れて来て下さったのですよ?』
「‐」バラン『むっ・・・』
レオゴン『アシノコカラ・・・アッシリ・・・』
僧バラン「そういえばお主、いつの間にかアッシリ湖に居たのだったな・・・」
ビオランテ『33年10ヶ月14日58分以来の帰還の時とほぼ同じ時期じゃな。』
僧バラン「いや、普通に33年振りの帰還と言ってくれ・・・確かアッシリ湖でイシュタルとダガーラがデートをしていて、モスラ姉妹がとお主がそれを覗いていた時だったか。」
ビオランテ『それは言わんで良いっ!』
僧バラン「ぐはっ!」
「‐」バラン『・・・取り敢えず、同志と親しい仲なのは理解した。』
アンバー『これも信頼の表現・・・なの、ですよね?ところでバラン、わたくしが来る前に法師様と何を話していたのですか?』
「‐」バラン『否・・・御前には関係無い。』
アンバー『わたくしにも、言えない事を?』
「‐」バラン『当然だ。何故御前に洗いざらい言う必要が有る。』
アンバー『ふふっ、それもそうですね・・・ただ、貴方があんなに慌てていたのがやはり気になって。』