ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐







東京でも、ゴジラ一行の別れの時間となっていた。
一行と志真はここに来るまでの経緯を話しつつ、日東新聞横の更地にてバラゴンの迎えを待っている。



志真「へぇ、それでそのバラゴンってのが色んな所に繋がる穴を作ったってわけか。」
「‐」ゴジラ『あぁ。だからおれたちはすぐしまのいるここに来れたんだ。』
チャイルド『しまにいちゃんも、ばらごんにあってみて!ばらごんってすごくあなほりがうまくて、やさしいから!』
志真「俺だって会ってみたいって。ゴジラ達以外に友好的な怪獣がいて、しかもチャイルドと友達だなんて、気になって仕方ねぇ。」
ラドン「もう来る頃なんですが・・・」
僧バラン「・・・おっと、ご到着のようだぞ。」



僧バランがそう言うや、穴の中から何の前触れもなくバラゴンが飛び出し、宙を舞ったまま後ろへ一回転して着地し、ヘルメットのライトを消す。
バラゴンは跳躍も非常に得意であり、既に作った穴から出る時は大抵この出方である。



志真「び、びっくりした・・・」
チャイルド『ばらごん!』
バラゴン『みなさん、おまたせ~。あれ、見た事の無い人が1人いますね?』
「‐」ゴジラ『しまだ。』
バラゴン『おぉ~!この人が噂に聞く志真さんですね~!どうもどうも、バラゴンと言います~。』
志真「さっき、ゴジラとチャイルドから話は聞いたぜ。いつもあいつらと仲良くしてくれてるみたいで、ありがとな。」
バラゴン『いやいや~。俺っちも旅先で同じ怪獣仲間が見つかって、感激ですよ~。しかも今回は別世界の怪獣仲間だけじゃなくて、志真さんとも知り合えるなんて!果報は掘って待つものですね~!』
志真「いや、それを言うなら『果報は寝て待て』だって。バラゴンも面白いやつだな。」
チャイルド『でしょ~!ばらごんってね、いつもいろんなばしょのはなしをしてくれるんだよ!』
「‐」ゴジラ『バラゴンはせかい中をたびしてて、おれのところに来る時に会ったにんげんのこととか、どんなことがあったとか、話してくれるんだ。』
志真「へぇ、旅人なのか・・・俺も仕事で色んな所を見て来るけど、そこで出会った人と話したり、仲良くなったりするとさ、嬉しくなるよな。」
僧バラン「住み慣れた地に留まるのも悪くないが・・・時には足を延ばして、未開の地を探索するのも一興だな。人も怪獣も、常に新しき事に挑んでいかなければ。」
志真「そうそう。俺も今日はゴジラ達以外の怪獣と会って、話が出来て良かった。」
ラドン「僕もです。話だけで聞いてた人間ですが、志真さんみたいに僕達を受け入れてくれる人間がいる事が知れました。怪獣界に帰ったら、他の怪獣達にも話してみます。」
バラゴン『良かったですね~。志真さん。人間さんの代表ですよ~!』
チャイルド『おにいちゃん、すご~い!』
志真「よ、よせって。俺はそんな大々的に扱うようなやつじゃ・・・」
僧バラン「そう言いながら、頭を掻いて照れ隠しをしよって。分かりやすい人間だな。」
「‐」ゴジラ『けど、おれはしまがそういうにんげんだったから、にんげんをすきになれたんだ。ほうしさまも、しまと話してたのしかっただろ?』
僧バラン「うむ、確かに。この世界でお主達が平和に暮らせるのも、彼のお陰であろう。志真は人間と怪獣とを繋ぐ、紬糸となる役割なのだな。」
ラドン「・・・あっ!バラゴンさん、もう島に戻る時間です!」
バラゴン『えっ?あらら、ほんとだっ!ってわけですから、俺っち達は帰ります!志真さん!また会いましょう~!』
チャイルド『ええっ~!ぼく、もっとおにいちゃんとおはなししたいよ~!』
「‐」ゴジラ『わがまま言うなよ、チャイルド。ラドンとほうしさまが、かえれなくなるだろ?それにしまに会いたいなら、またおれとバラゴンといっしょに会いに行けばいいさ。』
ラドン「今日はさよならだけど、絶対いつか会えるよ。だから、ねっ。」


志真――・・・なんか、ゴジラっていつもは友達親子みたいなのに、いざって時はお父さんになるんだな。


チャイルド『う、うん・・・さよなら、おにいちゃん・・・』
志真「じゃあな、チャイルド。俺はいつでも、お前が来るのを待ってるからな。ラドンに法師様も、また会おうぜ。」
ラドン「はい!それでは、失礼します!」
僧バラン「必ず再び会おうぞ!それまで、さらばだ!」
志真「・・・それから、ゴジラ。俺はまだまだお前の事を知らない。お前は本当に『ゴジラ』なのかも、名付けておいてなんだけど、ちょっと自信がなかったりするし・・・だけど、こうやってお前が『人間』になって、面と向かって話してみたら、また違うお前が見れた。いつになるか分からないけど、俺はお前が『ゴジラ』だって言う確かな証を、絶対に見つけるからな。」
「‐」ゴジラ『あぁ。しまがおれを「ゴジラ」ってよんでくれるなら、だれがなに言っても、おれは「ゴジラ」だ。それだけで、おれはじゅうぶんなんだ。だからこれからもずっと、よろしくな。』
志真「おう!いつまでも一緒だぜ・・・相棒!」



軽やかな表情のまま拳と拳を打ち合わせ、互いの絆を確かめ合う志真と「‐」ゴジラ。
種族や体躯の壁も無い、言葉も道具もいらない、本当の「繋がり」が両者の間には確かに在る事を、それは証明していた。
そして「‐」ゴジラ達は穴を通って鍵島に戻り、怪獣達による人間との交流は終わりを迎えたのだった。



志真「・・・さぁて、俺もいつも通りの人間生活に戻るかな、っと・・・ゴジラ、チャイルド。お前らが大好きでいてくれる人間と共に暮らせる日が来るように、俺は諦めずに頑張る。だから、待っててくれよ・・・」
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好釦