ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐




ラゴス・ゴジラが口を開きかけた、その刹那。
彼の言葉を遮り、宿舎の表の道路から危機迫る大声が聞こえて来た。



女性「あ、危ないっ!!」
瞬、「‐」バラン、ラゴス・ゴジラ「『「!?」』」



その声に三人が表道路に向かうと、道路の真ん中でボール遊びをしている女の子へ、大型トラックが背後から迫っている所だった。



女の子「えっ?」



通りすがりの女性の叫びに、ようやく女の子はトラックに気付くが、トラックはもう目と鼻の先に迫っていた。



運転手「~~♪」



一方、やけに顔を赤らめているトラックの運転手は、女の子が見えていないとでも言うのか、何故か減速する気配は無い。
そう、この運転手は飲酒運転をしているのだ。




瞬「くっ、間に合うか・・・!」



この状況を見てすかさず瞬は迫るトラックを恐れもせず、女の子の元へと全力で走って行く・・・が、瞬よりも速く、彼のそのまた先を一つの影が通った。



瞬「!?」
ラゴス・ゴジラ「待ってろ!今、助けるっ!!」



そう、ラゴス・ゴジラだ。
常人離れしたフットワークで瞬を追い抜かし、女の子を抱きかかえて避難させる事に成功した。



「‐」バラン『・・・!』



更に「‐」バランが左手をトラックに向かって突き出すや、突如台風のような強風が「トラックだけ」を襲った。
自身に宿る念動力を応用した、「‐」バランの風の技だ。



運転手「う、うおおおおおっ!?」



強風に煽られたトラックは運転手の絶叫と共に凄まじい轟音を立てながら横転し、トラックが止まった事を確認したラゴス・ゴジラはゆっくりと起き上がった。



女の子「う、ううっ・・・」
ラゴス・ゴジラ「大丈夫か?いきなり怖かったよな、ごめんな。でも、もう心配ないぜ。」
女の子「あ、ありがとう、お兄ちゃん・・・」
ラゴス・ゴジラ「遊ぶなら、もっと広い所でやらないとな。」
女の子「でも、この辺りって広い所がないの・・・」
ラゴス・ゴジラ「そっか・・・地球って狭いんだなぁ。」
女の子「えっ?」
ラゴス・ゴジラ「い、いや、今のは気にすんなよ。じゃあ、せめて親とか友達とかと一緒に・・・」



ラゴス・ゴジラが怯える女の子を会話で元気付ける間、瞬は横転したトラックを見ながら「‐」バランに話し掛けていた。



瞬「・・・この唐突かつ、都合の良い風。お前の仕業だな?バラン。」
「‐」バラン『然う思って貰って構わ無い。彼の儘では彼奴が負傷して居たのでな。』
瞬「それにしても、遠慮の無い助け舟だ。」
「‐」バラン『自分勝手なニンゲンの身など、配慮に及ばん。』
瞬「それもそうだな。しかし、ラゴスと言ったな。お前もまた無茶な事をする。」
ラゴス・ゴジラ「えっ?まぁ、体が勝手に動いたって言うか・・・オレ、目の前で誰かが困ってたら放っておけないんだ。そんなの、当たり前だろ?」
瞬「他人の為に、自分の身を滅ぼしてどうする。だが、お前の姿勢は誰も見直わなければいけないものなのかもしれないな。」
ラゴス・ゴジラ「へへっ。」



運転手「う、うぅ~ん・・・酷ぇ目に遭った・・・って、おぉい!!どこ見て歩いてやがんだぁ!!」



と、ここで無事だった運転手がトラックの中から脱出したが、出て来るや否やラゴス・ゴジラと女の子に向けて言い掛かりとしか言えない暴言を吐いた。
再び女の子は怯え、それを悟ったラゴス・ゴジラは運転手を睨む。



女の子「ううっ・・・!」
ラゴス・ゴジラ「気にすんな。お前はなんにも悪くないんだからな・・・おい!そっちこそ何だ!この子は遊んでただけだろ!こんな物騒なのに乗ってるあんたが気をつけろよ!」
運転手「なんだぁ?てめぇ、喧嘩売ってんのかっ!!」



逆上した運転手はトラックのボンネットを蹴り、ラゴス・ゴジラに向かって行く。
ラゴス・ゴジラも女の子を自分の後ろにやりながら、運転手から目を離さない。



ラゴス・ゴジラ――あの人間、悪意の固まりみたいな奴だ・・・!
やっぱ、人間って・・・
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好釦