ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐
瞬が言い詰まっている間に、ラゴス・ゴジラの脳裏に幼獣の頃、兄・スペースの目を盗んで地球に行った時の記憶が蘇っていた。
侍『斬り捨て、御免!』
侍『ぐああっ!!』
侍『もっとだ!もっと斬れば、拙者の名が上がり・・・ぐ、おっ・・・!』
侍『仲間の、敵ぃぃぃっ!!』
ラゴス・ゴジラ『・・・』
時は戦国時代。
侍達は争い、平民達は飢え、誰もが傷付いていた。
強者のみ生き残り、弱者は虐げられる弱肉強食の世界を、まだ40歳(人間換算で5歳頃)だったラゴス・ゴジラは林の中から密かに見ていた。
ラゴス・ゴジラ――うぅ・・・あたまがぐるぐるして、いたい・・・
なんでにんげんって、みんなできずつけあって、みんなこんなにくるしそうなんだろう・・・
合戦が終わり、敗れた侍の死屍と、争いに巻き込まれて傷付いた平民達が残された村を、ラゴス・ゴジラはコントロールの効かない読心術の影響による、数多の感情達に頭を痛めながら見つめ続ける。
今の彼には流れ込んで来た人間達の思いの善悪は分からず、平民達を哀れむ事しか出来なかった。
少女「かあちゃん・・・痛いよぉ、おなか減ったよぉ・・・」
母親「ごめんね、ごめんね・・・」
ラゴス・ゴジラ――おとうさん、おかあさん、おにいちゃん・・・
にんげんって、すっごくくるしくて、かわいそうなんだね・・・
ぼく、おとなになったら・・・
ラゴス・ゴジラ「・・・どうなんだよ、瞬。」
回想を終え、ラゴス・ゴジラは再び瞬に疑問を問いかける。
瞬「・・・それは俺が結論を出せる事では無い。人間は複雑な生き物だ。悪いと分かっていても、自分の為にそれを行ってしまう。それに俺自身、必ずしも正義の立場であったとは言えないからだ。」
ラゴス・ゴジラ「えっ?」
瞬「この世界のゴジラの事は知っているな?以前までの俺はゴジラの存在を許す事が出来ず、何度も奴に攻撃を仕掛けた。同じ怪獣だからと、モスラにゴジラ打倒を唆した事もある。今は考えを改めて、共存する道を選んだが・・・同じ怪獣として、これでも俺が正しい人間に思えるか?」
ラゴス・ゴジラ「・・・」
かつて、瞬が同じゴジラに対して行った罪を聞き、あれほど喋り続けていたラゴス・ゴジラの口が止まる。
彼は下を向き、次の言葉を話そうとしない。
「‐」バラン『シュン、御前は・・・』
瞬「構わない。幻滅されようと、これが人間と言う生き物の事実だ。否定は出来ない・・・」
ラゴス・ゴジラ「・・・オレは・・・」