ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐
スペース――・・・やはり行けばよかった、か・・・
一方、怪獣界ではスペースが木の上で一人自問自答を繰り返している所だった。
人間が嫌いと言う理由だけで今回の招待を断り、一人残った訳だが・・・いざ普段当たり前の様に自分の側にいる弟やシン、イシュタル達が居ないとなると、孤独感は否めない。
それに、異世界で出会った怪獣達に再び会えないのも残念でならない。
???「そんなに後悔するくらいなら行けばよかったのにのお、つまらん見栄張りよって。」
と、スペースが片目だけ開け視線を下に向けると、そこにはやれやれと溜め息をつくビオランテがいた。
そう、スペースが居るのは生き残りの丘では無く、アッシリ湖にあるお気に入りの木の上だ。
スペース「・・・見栄など張っていない。大体、誰が人間の居る世界に喜んで行かないといけないんだ。」
他世界の怪獣達には会いたかったが、やはり人間の世界に行くと言うのは不本意だった。
何より険悪なオーラを漂わせる自分が行って、結果彼等の気分を害してしまいかねない・・・と言うのが最も大きな理由であり、それなら彼等との再会を我慢してでも、留守番をしていたほうが得策の筈。
それが、不器用ながら仲間思いであるスペースの考えだった。
ビオランテ「じゃが、向こうのゴジラ達には会いたかったんじゃろ?」
スペース「奴等だけだ。人間には用はない。」
ビオランテ「やれやれ、お前も相当な頑固者じゃのう~。」
誰かさんに似て・・・とビオランテは小さく呟くと湖畔の薔薇の手入れに戻っていった。
ビオランテがいなくなったのを確認すると、スペースはやはり未練があるのか、大きく溜め息を付いた。
アッシリ湖を後にしたスペースは村に赴き、対戦相手に相応しい怪獣を探していた。
スペース「・・・」
因みに、村の怪獣達は村にスペースが来るや否や一斉に視線を逸らし始めた。
そう、彼等は本能で悟っていた。『今、彼は本気で戦う相手を探している!』・・・と。
そんな彼等の行動を無視し、相手を物色していたスペースは広場のベンチでちょうどいい相手を見つけた。
バルグザーダン「zzz・・・」
雷怪獣・バルグザーダンである。
普段は電源の切れた電化製品の如く、大人しく寝てばかりの彼だが、いざスイッチが入ると好戦的でハイテンションな性格に変わる。
戦闘能力も高く、戦うには相応しい相手だ。
スペース「おい、バル。」
そんなバルグザーダンにスペースが声を掛ける。
だが彼からの反応はなく、気持ち良さそうな寝息が返って来るだけだった。
ゴロザウルス――バルのやつ、あんな戦闘オーラバリバリなスペゴジが側にいるのに、よっく寝てられるよなぁ・・・
その様子を遠くから見ていたゴロザウルスは、ある意味バルグザーダンの普段通り過ぎる態度に感心していた。
バルグザーダン「zzz・・・」
スペース「おい。」
スペースはもう一度若干怒気を込めて呼び掛けたが、結果は同じだった。
バルグザーダン「zzz・・・」
スペース「・・・はぁ。」
スペースは溜め息を一つ付くと、その右手に結晶剣を呼び出した。
そして結晶剣に自身のエネルギーを纏わせると、それでバルグザーダンの頭を小突いた。
バルグザーダン「!?」
すると、あれ程起きる気配の無かったバルグザーダンが直ぐ様飛び起きた。
彼を起こす最終手段は、決まってこれだ。
バルグザーダン「うおい!何だスペゴジか!・・・ん?その結晶剣持ってるって事は俺とバトるって事だな!!」
起きるな否やバルグザーダンはスペースが持った結晶剣を見て、全てを悟ったようだ。
スペース「これは単にお前を起こすために使っただけだ・・・久々に『本当の姿』で闘わないか?」
バルグザーダン「おお!いいな!怪獣の姿でお前とバトるなんて、久々に血が騒ぐぜ!!」
スペース「決まりだな。じゃあ場所を変えるか。」
バルグザーダン「よっしゃあ!!やってやるぜえぇー!!」
そして二人はそのまま怪獣島の裏側にある岩礁地帯に向かっていった。
この後二人の勝敗がどうなったのかは・・・意外と直に知る事となる。
ギィアァァァァァウウゥ・・・
ザァァグヴォォォォウン・・・
・・・そう、バルグザーダンの特性によって怪獣島全域に落雷が発生。
落雷の1つが偶然にも、アッシリ湖の花畑の一部分を焼いてしまったのだ。
ビオランテ「・・・お、お前達と言うやつらは~っ!!」
ヒィヴアァァァァァウン・・・!
結果、バルグザーダンとスペースがビオランテに凄まじい粛正をうけたのは、言うまでもない。