ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐







「‐」ゴジラ『よっ、しま!おれ、ゴジラなんだ!きょうはこのすがたで会いに来たぜ!』
チャイルド『えへへ、びっくりした?しまにいちゃん。』
志真「・・・ゴ、ゴジラ?」



日東新聞社でも、怪獣と人間の対面が発生していた。
潤に呼び出され、志真がエントランスホールにやって来たのだが、目の前の見覚えの無い青年と少年の発言は、数々の非現実的な事に関わって来た彼にとっても、すぐに受け入れられるものではなかった。



「‐」ゴジラ『・・・あれ?どうしたんだ、しま?おれだぞ?』
チャイルド『どうして、ぼーってしてるの?』
志真「えっ、い、いや、ゴジラって言った?」
僧バラン「ば、馬鹿者!この人間がお主達のこの姿を知っているわけが無いだろう!チャイルドもパパも怪獣の姿で会っている以上、知っているわけが無い!」
ラドン「はじめまして、チャイルドの友達のラドンです。今日は別世界から来ました。」
志真「ラ、ラドン!?」
僧バラン「こら!ラドンも拙僧の話を聞いていたのか!彼が事情を受け入れていない前に普通に挨拶をするな!」
ラドン「ご、ごめん。バラン。」
志真「バラン!?ちょっと待ってくれ、お前達って・・・」
潤「・・・あの、志真さん。」



と、困惑する志真に向けて、潤がこっそりと手招きをした。
それを見た志真は怪獣達に軽く会釈しつつ潤に近寄り、潤は小声で志真に語りかけ始める。



潤「すみません、私志真さんを待っている時に思ったんですけど・・・このお客様、『擬人化』の人達じゃ無いですか?」
志真「擬人化?」
潤「最初は外国人か、アニメのコスプレの人と思ったんですけど、それにしては様子がおかしいので。じゃあ志真さんが得意にしてる事で考えていたら、それが浮かびまして。ほら、以前記事で書いてませんでした?特撮番組の怪獣とか、ポケモンとかを人の姿に変える『擬人化』が最近流行ってるって。」
志真「確かに書きましたけど、あれは基本的にアマチュアの絵描きの人とかが趣味でやってる事で、本当に怪獣が人間に姿を変えるなんて・・・はっ!」



潤の言葉を聞いた志真の脳裏を突如、電流のような衝撃が走る。
以前書いた擬人化の記事、少し前にゴジラから受け取ったメッセージ、そして今この場の状況が志真の頭の中で線によって繋がり、ようやく志真は彼らの正体を悟った。


志真――・・・待てよ、昼の時にゴジラが言ってた事が事実なんだったら、あいつらは本当に「擬人化」した怪獣、人になったゴジラ達だってのか!?
何より、あの声は・・・


「‐」ゴジラ『しま?』
志真「いやいや、遠路はるばるお待たせして申し訳無い。ありがとう、潤さん。ってわけで俺、早速応接室で取材して来ます。」
潤「は、はい。了解しました。」
志真「みんな、とりあえず俺に着いて来てくれ。案内するから。」
「‐」ゴジラ『えっ?でもはなしなら・・・』
志真「いいからいいから。ほら、君達も早く。」
ラドン「わ、分かりました。」
僧バラン「急に態度を変えて、何事だ?とりあえず、色々世話を掛けてすまなかったな、お嬢さん。」
潤「いえいえ、それではいってらっしゃいませ・・・」



困惑したままの潤を置いて、志真と怪獣達は階段へと去って行った。



潤――何だか、わけがわからないけど・・・志真君の助けになれたみたいで良かった。
それにしても、まさか擬人化のコスプレまでするなんて・・・最近のファンの人って、変わってるわね?
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好釦