ゴジラ7・7‐怪獣軍団、都会へ行く!‐




一行は更地を出ると、もう一度街を見渡しつつ、すぐ隣にある日東新聞本社の中に入った。
エントランスホールには多種多様な人々が行き交っており、一行はつい立ち止まる。



チャイルド『わぁ~。いろんなにんげんさんがいっぱいいるね~。』
ラドン「そうだね・・・それにここの人間達も、手に何か持ったり話し掛けたりしてる。」
「‐」ゴジラ『あれはケータイって言うんだ。しまが言うには、あれ持ってたらどこでもだれとでも話せるらしいぜ!」
ラドン「本当に!?あれがあったら怪獣界でも役立つだろうし、チャイルドともいつでもお話し出来るね。」
チャイルド『しまにいちゃんがもってる「ゆびわ」みたいだね!ぼくもほしいな~。』
「‐」ゴジラ『うーん・・・しま、いないな。』
僧バラン「ここにいても人間達の邪魔になる。移動するとしよう。それにこういう場所には、ちゃんと案内をしてくれる者がいる・・・うむ、あのおなごに違いない。聞いてみよう。」



僧バランが受付を見つけ、一行は入り口からそちらに移動する。
受付にいたのはこの会社のマドンナと言われる人気を持ちながら、同期入社の志真と親しい仲でもある女性・佐藤潤であった。



潤「いらっしゃいませ。なにかご用ですか?」
僧バラン「こんにちは、お嬢さん。突然で申し訳無いが、拙僧達は・・・」
「‐」ゴジラ『おれ、ゴジラ!なぁ、しまはどこにいるんだ?』
チャイルド『おしえて、おしえて~!』
ラドン「早く出して下さい、お願いします。」
僧バラン「ま、待て!三人とも!お嬢さん、ちょっとすまないが失礼するぞ・・・」
潤「は、はい・・・」



突拍子も無い発言をする三人を僧バランが抑え、一旦潤に断りを入れながら彼女に背を向けて三人を座らせ、小声で三人の行為を諫め始めた。



僧バラン「チャイルドはともかく、チャイルドパパやラドンまで何をやっている!無礼にも程があるではないか!」
「‐」ゴジラ『えっ、でもあのにんげんにきけばしまのばしょが分かるんだろ?』
僧バラン「それにも順序と言うものがある!いきなり『俺はゴジラ』と言われても、彼女が混乱するだけだぞ!まずは落ち着け!」
ラドン「じゃあ、あとはバランに任せるよ。」



また、その様子を潤は少々混乱しながらも、彼らの発言の内容を考えつつ、静かに見守っていた。



潤――何だろう、この人達・・・旅行の人?
でもお坊さんとか、中国人っぽい子もいるし、コスプレの人達?
それに、「しま」がどうとか言ってたけど・・・まさか、志真君に用事?


僧バラン「・・・こほん。お見苦しい所を見せてしまい、申し訳ない。」
チャイルド『ごめんなさい、おねえさん・・・』
潤「いいえ。それで皆様は、当社に所属するジャーナリストの志真哲平にご用件があるのでしょうか?」
「‐」ゴジラ『あぁ!とりあえずそうなんだ!』
僧バラン「だからお主、落ち着けと言っているだろう!」
潤「取材のご依頼ですか?それとも、取材の関係者の方ですか?」
僧バラン「そ・・・そう。拙僧達は取材の関係者なのだよ。」
潤「そうですか。かしこまりました。それではこれより志真にご連絡致しますので、しばらくお待ち下さい。」
「‐」ゴジラ『やった!ありがとう!』
チャイルド『たのしみだね~。』
ラドン「そうだね。」


僧バラン――・・・ほっ。ひとまずは成功したか・・・
しかし、やはり良くも悪くも怪獣達は無礼講な環境にいるのが分かる・・・
拙僧が人間を学んで最も有意義に感じたのは、今この瞬間かもしれんな・・・



紆余曲折ありつつ、一行はようやく志真に会う直前まで来る事が出来た。
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好釦