小説

12:45
「今オレは、翼竜の神・ラドンになるっ!!弥彦山まで、いっくぜ!!」
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昨日、宇多瀬さんから「桐城睦海」の物語・・・つまり、「Next「G」」10周年記念作品から繋がる話を書きたいと連絡が来ました。
内容としては「「Grow」on ~シエルと睦海~」の後の話との事なので、僕が書いた「「G」が導く未来~「GODZILLA」VS of FINAL~」のラストからは繋がらない、どちらかと言えばミッシングリンクとしての話になるようですが・・・そう言う事で(?)、今まで書きかけにしていた「「G」が導く未来」の詳細について、今更ながら完成しましたので書いて行こうと思います。
ネタバレしか無いのと、かなり細かい所まで解説しますので、見た方も見ていない方もなるべく本編をご覧になってから先に進んで下さい。










本作の元になったのは、2014年のABJDS五周年記念オフ会に向けてサプライズで書こうとしていた、「Next「G」」の5年後を舞台にした短編「the After「G」~「G」が導く明日~」で、この時点で翼が主人公で逆に前作主人公の健はあえて中々姿を現さない・・・と言う、本作で言う5年後の内容は大体決まっていました。
ですが紆余曲折あって完成する事無く、携帯のメモに書きかけの文章や設定が残っただけのまま4年が経過したのですが・・・ここでモンスターさんが10周年記念作として完全新作の「誓い~for NEXT「Generation」~」を公開し、続けて宇多瀬さんが当サイトでも公開しているリクエスト短編「シエルと睦海」を元にした「「Grow」on 」を公開されまして、自然と僕が10周年記念作のトリを務める流れになると共に、「After「G」」を完成させるチャンスが訪れました。
トリを務める以上はお2人の作品から連なる物語にしつつ、両作にも負けない質と量の話、僕自身の「Next「G」」への思い入れと愛、そして僕から始まったこの作品を終わらせるに相応しい、ゴジラ「VS」シリーズそのものにピリオドを打つような作品にしたいと思い、「Next「G」」本編やお2人の10周年記念作のタイトルに合わせつつも前述の思いを込めた、今のタイトルに変更。
内容も元々考え・書いていた5年後のパートは残しながら本作の主軸とし、10年後の話はお2人の作品から台詞を引用しつつ、両作中の出来事の裏側とその先を翼目線で補完しながら描くような形にし、最後は一気に100年後まで話を進めて幕を閉じる・・・と言う構成にして、「VS」シリーズ及び「Next「G」」共通のテーマだった「継承」をより色濃く描く物語としました。
同時に(執筆当時は)もう続きを描けないくらいの幕引きにしよう、「Nent「G」」正真正銘の完結を描こうと言う思いもあり、真っ先に浮かんだあのラストシーンがそれを象徴しています。



本作での登場人物について。
「バラガミ」よりカメオ出演の嵯峨野さくらと麻野道真については、「バラガミ」本編や2018年10月27日の日記をご覧下さい。

・青木翼
Next「G」の先の物語の主役、健に代わる主人公なら彼しかいない・・・と、一貫して主人公にしようと思っていました。
人物紹介ではメインキャラ4人に次ぐ位置にいたり、10周年記念作のきっかけになった「Next「G」」後編ラストのエピローグにいたり、製本版の表紙とオフ会での「VS」シリーズ20周年絵で柳さんに描いて頂いたり、何よりずっと健の事を見ていた一番弟子ですから、十分主人公になる資格はあったと思います。
健との差別化として、「飛ぶ」をイメージしてジャンプとキックと柔術を主体にした戦法にしたり、後述のレッド・バンブー等の不良へ僅かながら侮蔑の感情を抱くドライさを描きましたが、健との最大の違いであり「翼が健に勝てる所」として描いたのはズバリ、「恋愛」への向き合い方です。
本作がただ翼が彼の後を継ぐだけでなく、翼が健を超えて彼から自立する物語でもある点をしっかりと描写したかったので、「for NEXT「Generation」」でちょうど健がその辺りで思い悩んでいた事もあり、翼は健より先に美歌と結ばれ結婚する事で健を超え、超えた時の約束として健と本気のケンカをする・・・と言う形で結実させました。
「「G」の去った夜に」で示唆した、翼がゴジラに対して抱く兄のような感情の件も決着が付けられましたし、老いながらも長生きをしてマサルに思いを受け継ぎ、最後の最後で桐城健と言う存在で物語を閉じるラストシーンは、翼だからこそ出来る本作のテーマを体現した、最高の幕引きだと思います。


・桐城美歌
翼が主人公なら、当然彼女がヒロインに。
「Next「G」」本編では10歳ながら基本的に気丈だが弱い部分もある女の子として描きましたが、本作ではそこから更に飛躍して、兄の健に似てビンタが必殺技で肝っ玉の据わった、でも何処か乙女チックで子供らしさは抜けない繊細な女の子として描きました。
突然の新キャラと結ばれるよりは、いつも一緒だった翼と結ばれるのが自然な流れだと思いますし(これは翼にも言えます)、10年後はちょうど二十歳になるので、5年後でもまだ子供っぽさが残っていた彼女が「大人」になって行く姿は、翼以上に成長を描けたと思います。
また、翼で言う所の健のように美歌が憧れる・超える存在としてみどりさんを配置しており、翼と同じく美歌も想い人と先に結ばれる事で彼女を超えられたかな・・・と。
ちなみに、裏設定ながら翼と美歌の子供の名前は「大翔(まさと)」と言う名前で、翼の「羽」と美歌の「美」を貰って合わせた名前であり、青木家から連なると言う事で「はばたく」イメージが浮かぶ名前で、「大翔」は「つばさ」とも読めて、孫であるマサルと似た読み方・・・と言う様々な由来があったりします。

・麻生将治、手塚みどり、睦海
後述の健同様、彼らメインキャラは既にお2人の作品で活躍が十分に与えられている「役目を終えた」キャラなので、今回はあえて脇役としました。
睦海は本作に出ていると言えるのか微妙な所ですが・・・健と同じくその存在と名前が歴史の分岐点となるので、そこを強調する為に健に引き取られた事だけを描写しています。
・・・正直、「After「G」」の時点では健も含めてメインキャラの5年後の設定はかなり大雑把だったので、「for NEXT「Generation」」で詳しく描かれて在り難いと思っていたり・・・f^_^

・レッド・バンブー(赤イ竹)
当初は翼のかませとしてだけの出番でしたが、翼達と対になる身勝手な思想・自己中心的な私怨にしがみついた結果の破滅の未来・負の結末を体現する存在として、「「Grow」on」の加筆パートと連動させる形での結末を描きました。
宇多瀬さんが自身の小説「ゴジラ‐GODZILLA[2005]」にテロ組織「赤い竹」を出しているので、そこへの目配せもあります。

・その他「Next「G」」登場人物
和美と研護はストーリーの都合、「Next「G」」本編では仲睦まじくいる場面はほんの僅かだったので、そこの補強をしながら双方の働く様子を描きました。
逆に青木夫妻は「for NEXT「Generation」」で出番が多めだったので、結婚式でのみの出番に。
結婚式も本当は「Next「G」」に出て10周年記念作品に出ていないキャラも全員出したかったのですが、翼・美歌と面識や何かしら縁のあるキャラに留めた方がいいと思い、泣く泣く何名かは未登場としました。
宇多瀬さん・モンスターさんのゲストキャラも名前だけは何処かで出したかったので、結婚式で三神小五郎・優夫妻にセバスチャン博士、名前だけですが北川教授も出せて良かったですし、特に遠野亜弥香は台詞だけながら本作にも登場した事で、ゲストキャラながら10周年記念作に全て登場した、翼ですら成し遂げられていない皆勤賞を達成しています。
ついでに遥も「バラガミ」と本作をリンクさせる役割で登場させたり、みどりさんの代わりに国家環境計画局に勤めて歴史に名前を残したり・・・と、一切登場していない志真と瞬を差し置いてさりげなく活躍をさせています(汗)

・桐城健
前述の通り、あえて中々出さない事で彼の「Next「G」」の主人公としての立ち位置と、翼が本作の主人公である事を強調させ、最後は「Next「G」」と言う作品の象徴として彼の台詞で物語の幕を閉じました。
お二人の10周年記念作品でもう健が主人公として果たす役目は終わり、「for NEXT「Generation」」 で燻りも憑き物も取れたと解釈したので、本作ではやや「Next「G」」の頃に寄せつつも大人びた、しかしやっぱり破天荒な言動をさせています。






ここからは本作終盤で描かれる、100年後・2109年の「VS」シリーズの世界について。
10年後から100年後、と言う流れは特撮ヒーローファンなら「忍風戦隊ハリケンジャー 10 years After」からの「帰ってきた獣電戦隊キョウリュウジャー 100 years After」を、全体的な設定は「仮面ライダー剣」の超全集に載っていた幻のエピローグ短編「たそがれ」を思い出すかもしれません。
勿論、これらの作品を参考にした部分はありますが、僕が100年先まで時代を進めて一番やりたかったのは、ゴジラ及び「VS」シリーズの出来事が過去のものになった「Next「G」」と同じ状況・・・更に「Next「G」」の出来事すらも過去のものになった状況で、本作のメインテーマの「継承」を描くに最も相応しい時代設定だと思いました。
それと同時に、初代ゴジラから始まった一つの壮大な物語の終わりと言う点でも、この上ないシチュエーションだとも思います。
なので、どちらかと言えば近いのは「機動戦士ガンダムAGE」か「陸奥圓明流外伝 修羅の刻(アニメ版)」でしょうか。



100年後の世界設定は「VSキングギドラ」と「Next「G」」中編以降で語られた未来世界を参考に2109年の時点での技術進歩具合、メカキングギドラを引き上げ研究した事による技術進歩の前倒しがどれだけ一般社会に影響を与えたかを考えました。
典型的な近未来建築物はまだ一部主要都市に限られ、環境保全の方向から劇中の弥彦保護区域のようにあえて手を付けていない場所があり、アンドロイドは一般にはあまり普及していないもののサポートメカや非人型ロボットは普及していて、当初はこれ以上無い出オチ要員だった「BABY」や、出す予定は無かったものの本作の9割嘘予告・川北監督繋がりで出したガンヘッドの開発・販売を基点に、世界中で様々なロボットが一家に一台レベルで活躍しており、「×メガギラス」から名前だけ引っ張って来ただけだったクリーンエネルギーのお陰で核の完全放棄に成功した、繁栄による驕りも衰退による滅亡も無い平和で強い日本・・・と構想しています。
同時に、ゴジラと共にシリーズ内の重要怪獣であるモスラへのフォローもしたくなり、お2人の10周年記念作で特に言及が無かったのもあって、96モスラで僅かに示唆された「かつては沢山いたモスラ」を実現させてみました。
個体数はオリジナルのモスラが宇宙に行っていた時のウラシマ効果も考慮して寿命を約10年、半分は双子を産むのに成功していると仮定して約100体で、北川教授の論文として出した「VSモスラ」の裏設定からバトラに似た個体も15体くらいはいると設定しており、希少種で新モスラのような個体も数体はいると言う設定です。



そんな未来を生きる第三の主人公・マサルは劇中の文の通り健のオマージュキャラ・・・なのですが、青木家の血が入った事や原点回帰の要素も含めて、翼・一馬・研護の要素も入れています。
そもそも健の元になったキャラが「大門 大(マサル)」ですし(汗)、マサルのコンセプトが「健と翼のフュージョン形態」「パーフェクト桐城健」ですので、研護要素で弥彦山に秘密基地・一馬要素で機械系も得意で翼竜好き・翼要素で女子には紳士的・・・にしています。
ただ、この時代ではゴジラが救世主・崇拝される存在である事や、家族がゴジラに直接関わっている事、健よりも若い小学生キャラなのもあって、「Next「G」」前編序盤の健とはゴジラはちゃんと見た事は無い所は同じながら、ゴジラだけでなく健にも強い憧れを抱いている設定にしました。
これまでの物語・ゴジラ「VS」シリーズサーガを経ての集大成と最後と未来を背負う人物として、もってこいのキャラになったかと思います。
ちなみに、執筆時点ではこれ以上続きを作れないような作品、と言う事でとボツにしたのですが・・・

・翼の病室の隣には「三枝未希の再来」と呼ばれる程の超能力を持った超能力少女・ノゾミがおり、病弱で昔から入院しているが、最近になって新モスラ似の個体・エグゼルドとテレパシーでコミュニケーションを取っていて、マサルとも知り合い。要はマサルの時代でのヒロイン・三枝さん・モスラ枠。
・弥彦保護区域は睦海の子孫(孫辺り?)が管理しており、マサルとは当然親しい。
・睦海は歴史改変前にアンドロイドであってかつデルスティアを操っていた影響で機械の操縦が非常に得意で、マサルの時代(90歳くらい?)でもガンヘッドを軽々と操って人助けをしたりする。

・・・と言う設定を考えていたりしました。
今は裏設定留まりにしていますが・・・もしかしたら、何かの機会で形にするかもしれません。



それから、本作での小ネタの解説を。

・和美が働いている、前編短編でも登場した駄菓子店「伊久戸屋」は「デジモンセイバーズ」の登場人物である「イクト」が名前の由来です。
メインキャラなのに「Next「G」」前編では関連ネタを入れ忘れたなぁ・・・と思って入れたのですが、前編短編とのリンクとして再び出せて良かったです。
ちなみに、前編短編での「韋駄天研護」はイクトのイメージで書いていまして、先代店主の「幾実」はアブジェ顧問こと僕の母・現店主の「唯華」は僕の姉の子供(甥・姪)の名前をもじっていたり・・・

・翼とレッド・バンブーとのケンカシーンは、「Next「G」」前編冒頭の健のケンカシーンと意図的に似せています。
似ながらも違う、健と翼のケンカの仕方を比べて頂ければと。

・レッド・バンブーのリーダー格の台詞「誰がてめぇなんか~」は、「コマンドー」の名悪役・ベネットの有名なシーンの台詞です(笑)
「野郎オブクラッシャー」とは書いていませんが、気付いた方も多いかと(汗)

・健が翼と交わした、5年後パートでの「約束」の台詞は、「Next「G」」前編での研護が健とした「約束」の台詞とほぼ同じです。セルフオマージュする事で、健が研護のような立派な男になった事を示してみました。

・ガンヘッドの試作機が開発された2038年は、映画本編の時事列と同じです。BABYの試作品完成が2024年である事や技術発展の度合いを考えると、2038年にガンヘッドの試作機が開発されていてもおかしくは無いかな、と思いました。

・マサルの「オレのスーパーひみつきち」は、ポケモンオメガルビー・アルファサファイアの「スーパーひみつきち」から採りました。中も似たような雰囲気だと思って頂ければ。
ちなみにマサルの10歳と言う年齢も、ポケモンの主人公を意識していたりします。






最後に、僕にとって生涯の光栄になるであろう「Next「G」」に、10年を経て再び関われた事がとにもかくにも嬉しかったですし、10周年を機に再びこの物語が広がって行ったのが本当に嬉しいです。
何でしょう・・・全ての始まりとなった「受け継がれし「G」の名」を書いた身だからか、「Next「G」」と言う作品に強すぎるくらいの思い入れがあるのは前々から言ってはいるのですが・・・合作と言う事もあってか、これは子供を見守る親の気持ちに近いのでしょうか?
無論、僕だけで無く共に作品に関わったモンスターさん・宇多瀬さん・柳さん、この作品を支持してくれる全ての皆様、ゴジラ「VS」シリーズと言う作品群とそれらを作り上げた皆様・・・その全てが素晴らしいからこその作品で、一つでも欠けても駄目だった事に疑いはありません。
10周年記念三部作が現状「Next「G」」の完結作なのは変わりありませんが、宇多瀬さんがこれから書かれる新作のように、新たな展開の下地となるのならそれはそれで良いと思いますし、もしかしたらピリオドを打った僕も何かやる可能性がありますので。
「Next「G」」に関わった・支えて下さった全ての皆様に、心からの感謝の言葉を・・・!
そしてここまで見て下さった皆様、本当にありがとうございましたm(_ _)m
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好釦