めざせポケモンマスター
「よし、じゃあ本題に入るか。まずはゴジラだ。」
「ゴジラみたいなポケモンって、意外といますよね・・・」
「・・・」
真面目に考える遥と、攻略本の五十音順の索引のページに手を掛け準備をする瞬。
一方で志真は何故か自信溢れる顔付きをしており、考える2人の答えを待っている様子だ。
「・・・イメージは頭にあるんですけど、やはり可愛いポケモンしか出て来ないです・・・」
「俺も分からん。その顔を見る限り、志真だけは確信があるようだがな。」
「バレたか・・・まっ、隠す気も無かったけど。俺は昨日からずっと考えて、もう絞ってあるんだ。」
「だから何だ。勿体ぶらずに早く言え。」
「絶対似てるぜ。ゴジラと似てるのは・・・」
志真の口からそのポケモンの名前が出た直後、瞬は素早く索引を参照し、すぐさま該当のページを引き当てる。
遥も志真にページを教えて貰い、そのページを開いた。
「グラードン・・・」
「・・・バンギラス。」
遥のページにはどっしりとした赤色のポケモン・グラードンが、瞬のページには怪獣然とした緑色のポケモン・バンギラスのデータが載っていた。
「ほら、どっちも似てるだろ?二本足でごつくて、何より怪獣みたいだし。」
「確かに、言われてみればそうだな・・・」
「ここまでぴったりのポケモンを見つけるなんて、志真さん凄いです!」
「へへっ。でも、どうせならどっちかに絞りたいんだよな。瞬と遥ちゃんはどっちがゴジラと似てると思う?」
「私は・・・バンギラスでしょうか。」
「多少の違いはあるが、どちらもゴジラと似ている事に変わりは無い。どちらでも構わないだろう。」
「じゃあ、とりあえず今はバンギラスにしとくか。どっちかが黒かったら完璧なんだけどなぁ・・・色違いのリザードンみたいにさ。」
「よし、次はモスラだ。まぁ、答えは決まってるけどな。」
「はい!私も初めて見た時、『モスラ』ってニックネームを名付けたくなりました!」
「妃羽菜が言うからには、相当似ているようだな・・・そのポケモンの名前は何だ。」
「お前、ちゃんとそれ見てんのか!?決まってんだろ?モスラに似てるポケモンと言えば・・・」
「「バタフリー!」」
可愛らしい蝶のポケモン・バタフリーのページを指差しながら声をユニゾンさせ、志真と遥は瞬に向かって叫ぶ。
珍しく遥もテンションが高く、見た事の無い彼女のその姿に瞬は驚きを隠せないでいた。
「そ、そうなのか・・・なるほど、確かに似ているな・・・んっ?」
「どうしました?瞬さん。」
「いや、偶然開いていた別のページを見たんだが・・・こっちの方が似ていないか?」
そう言って瞬が2人に見せたページには、違うポケモンが載っていた。
紫色をした蛾のポケモン・モルフォンだ。
「えっ、モルフォン?」
「そうだ・・・よく見てみろ。バタフリーは『蝶』だが、こいつはれっきとした『蛾』のポケモンだ。それに羽や胴体の形も似ているし、毒の粉も出すと書いてある。俺はこっちの方がモスラに似ていると思うが?」
今さっき知り始めた話題で核心を突く事が言えたからか、やや自慢げに2人にそう語る瞬。
しかし、彼の思惑とは裏腹に2人はさして驚いた素振りは見せない。
「・・・た、確かにモルフォンも似ていると思いますよ。ですけど・・・」
「あのな、瞬。こういうのに一番大事なのって、やっぱ顔だろ?」
「か、顔・・・?」
「そう、顔。」
「イメージでもモスラはバタフリーに似ていると思いますし、モスラ本人に聞いても恐らくバタフリーの方が似ている、と言うと思います。」
「ってわけで、バタフリーがモスラに似てるって事で。」
「な、なっ・・・!」