拍手短編集




ある日の夕方、志真は会社の屋上に寝転び、考え事をしていた。
今の彼には深い悩み事があったのだ。



「はぁ、どうしよ・・・」



かなり悩み込んでいる様子だが、いくら考えても彼の頭には打開策が浮かばない。
ただ時間だけが過ぎ去っていく。
どれだけ考えたか分からなくなった頃、そっと屋上の扉が開き、誰か入って来た。
デスクだ。



「あっ、デスク。」
「どうした。悩み事でもあるのか?」
「まぁ、ちょっと。」
「そんな悩み顔、お前らしくも無い。俺に言ってみろ。」
「いえいえ、言う事でも無いですし・・・」
「俺はお前の上司。部下の悩みを聞くのも上司の役目だ。1人で悩み事を抱え込むのも良くないしな。」
「・・・それもそうですね。」
「よし、何だ。」



志真は躊躇い気味に少し頭を下げた後、デスクと目を合わせて静かに口を開いた。



「好きなゲームの最新作が明日出るんですけど、人気だからすぐ売り切れるんですよ。だから早く買いたいんで、有給使わせて下さい。」
「志真・・・お前はこの前も京都観光とやらで有給使ったばかりだろうがぁー!」



この日以来、志真が有給を使う事はなかったという。

[拍手感謝だぜ!]
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好釦