拍手短編集
2020年、8月某日。
いつものカフェで落ち合った志真・瞬・遥は、いつも座っているテラス席で、いつものように雑談していた。
しかし・・・
「そうだ、遥ちゃんのそのマスク、もしかして手作り?」
「はい。いつもお世話になっている手芸屋さんで買った、和柄の布で作ってみました。ちゃんと中にガーゼは入れていますし、何回も洗える布を使っていますよ。」
「マスクの確保の為にも、裁縫の技術を持つ者がマスクを自作するのは良い心掛けだな。」
「手作りマスクって特別感あるし、見栄えもいいしな~。」
「ありがとうございます。よろしければ、志真さんと瞬さんのマスクも作りましょうか?」
「マジで!?じゃあ、お言葉に甘えて作って貰おっかな!」
「少しは遠慮しろ、志真・・・妃羽菜、俺のマスクは時間と素材に余裕があれば頼む。予備として持っておきたい。」
「分かりました。マスク作りは特に難しくありませんので、毎日交換出来るように五つくらい作っておきますね。」
「よっしゃあ!ありがとな、遥ちゃん!」
「礼を言うぞ、妃羽菜。」
「俺も会社からマスクは支給されてんだけど、熱いし汗でベタベタするし声はこもるし、無愛想なやつが更に無愛想になるし・・・」
「・・・それは俺への当て付けか?お前の様に無駄に話す人間には、新型コロナウィルスが無くとも様々な細菌の飛沫感染を防ぐ意味合いでも、マスクを常備させた方が良いかもしれないな?」
「おい瞬、それお笑い芸人やニュースキャスターや声優やDJや講談師の前でも、同じ事言えんのか?」
「話す事を仕事をしている者は別だ。俺は『無駄に』話す人間だと言った筈だが?」
「んだと!」
「もう、志真さんも瞬さんも止めて下さい。折角『STAY HOME』が終わって、こうして直に会ったりお話したり出来るようになったのですから・・・」
「は、遥ちゃんがそう言うなら・・・すまねぇ、瞬。」
「・・・険悪な方向に持って行った、俺にも否があった。申し訳無い、志真。妃羽菜。」
「ストレスが溜まるお気持ちも分かりますが・・・折角のお出掛けですし、楽しくやりましょう。」
「遥ちゃんの言う通り!じゃあ、別の話でも・・・いや、その前にちょっとこれだけはっきりさせとくか。」
「い、言ってしまうのですか・・・?」
「俺も気にはなっていたが・・・お前に任せる、志真。」
「・・・あのさ、いくらソーシャルディスタンス第一だからって・・・俺達の台詞、空けすぎだろ?」
[手洗い・うがい・水分補給も忘れずに!]