‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣
「さぁて、オレ達も撤収するか。」
「遥さん。次会う時は、もっと貴女が素敵な女性になっているのを楽しみにしているわ。」
「おおきに・・・じゃっ、遥ちゃん!」
「はい!」
「おいおい、軍人さんよ・・・ええっと?なに言いたかったんだっけか?ま、まぁ!達者でなぁ!」
「メモの必要は、無い。この運命は永遠に忘れません、瞬特佐!」
「あぁ。」
「志真さん!次回はダイゴロウやバイラスについてたっぷりと語ろう!」
「そんな事したら、何時間だって話すじゃないか・・・あっ、志真さん。それでは。」
「うん。まぁ俺は何時間でも大丈夫だけど・・・」
「皆さん、巫子達の為にありがとうございました。またあなた達と縁がある事を祈っています。」
「オレ達を見かけたら、よろしくな。あばよ!」
Gnosis達もまた、志真達に別れの挨拶をすると愛用の黒いワゴン車に乗り込み、街を去って行った。
「・・・もしもし、オレだ・・・あぁ。鏡も勾玉も失われた。だが、まだ剣の所在が不明のままだ。引き続きオレ達はそれを探す・・・あん?兄貴の癖に分かってねぇな。国家機密組織『Gnosis』は、最後まで諦めねぇんだよ。いいから兄貴は防衛大臣として頑張りながらオレ達をこき使っとけって。この世の謎を、全部解き明かす・・・兄貴との約束は絶対破らねぇよ。」
一方、志真達もそれぞれの場所に帰って行くゴジラ達を見送っていた。
カクィォォォォォォオン・・・
「モスラ、ありがとう。あなた達のお陰で、平和が戻って来たわ。私はあなたの声を聞き続けるから、いつだって私を呼んで。この思いが、力になるのなら。」
グウィゥゥゥゥゥゥゥゥウウン・・・
「バラン・・・俺達は戦い続けよう。理由など、自分の居場所を守る為でいい。この胸に誇りを持って、平穏を乱す者と戦い続けるんだ・・・」
ディガァァァァァァァァオオン・・・
「ゴジラ~!チャイルドが心配してるから、なるべく早く帰ってやるんだぞ~!それから、いつもありがとな~!!」
モスラはインファント島に、バランは日本アルプスに、ゴジラはチャイルドの待つ鍵島に帰って行った。
「・・・じゃあ、俺達も帰るか。」
「ここは奈良だったな。ここから一番近い妃羽菜を先に送るか。」
「あっ、すみません。では、志真さんと瞬さんは新幹線で?」
「まぁ、そうなるかな。ってか、瞬。むささび呼んで帰れないのか?」
「むささびは対巨大生物用超兵器だ、タクシー代わりに使おうとするな。」
「けど、あの年末年始の時はタクシー代わりに使ったじゃんか。お前こそ職権乱用にならねぇか?」
「あの時は非常事態だと思ったからだ!あんな下らない用件だと知っていたら、絶対に使っていない!」
「まぁまぁ、志真さんも瞬さんも・・・ああっ!そういえば、いつの間にかファンロンさんがいません!」
「「・・・なっ!?」」
その言葉に、意表を突かれた志真と瞬は口論を止めて辺りを見渡す。
遥が言った通り、一同の中でも騒がしく、子供っぽくも大人だった「彼女」の姿はどこにもない。
「そうだ、誰かいないって思ってたら・・・」
「あいつがいない!」
「鏡も消えていますし、何処へ行ったのでしょうか・・・?まだお別れの挨拶もしていませんのに・・・」
と、「彼女」を探す志真達の持つ結晶が突如として紫の光を放ち、志真達も何事かと結晶を持つ。
「んっ・・・?」
「結晶が、紫色に?」
「見た事が無い反応だな・・・あれ、声が聞こえる。」
――ごめんごめん、怪獣達の戦いを見てたらインスピレーションが止まらなくって、ついついまた旅に出ちゃった☆
とりあえず、今日はほんとにありがとね~。
あと言い忘れてたから、あたしの本名を教えるね♪
あたしは・・・
同刻。
同じ橿原市の瓦礫の山に、銀色の影達が立っていた。
福江島・つがる市に現れ、四神不在の隙を突いて各地で暗躍していた、蛇人間達だ。
『八咫鏡を埋め込んでおきながら、黄龍は敗れてしまったか・・・』
『各地に向かわせた改造生物達や怪獣も、奴らの仲間に倒されてしまった。どうする?』
『問題は無い。黄龍に埋め込んだのは「向こうの世界」の物・・・こちらの手にはまだ「この世界」の鏡は存在するし、いいサンプルになった。』
『八尺瓊勾玉も既にデータがある。実物が必要なら、巫子から奪えばいい。』
『あとは「剣」だけか。黄龍がそれを求めて進んでいたと考えれば、近くにあるはず。なんとしても見つけるぞ。』
『神になり損ねた怪獣に、目障りな「神器」を持つ者どもよ。見ているがいい・・・』
『我々の世界は、確かに存在する・・・鏡写しの世界として。』
『我ら「テラの民」の、栄華の為に・・・!』
影は地面に転がる割れたガラスの中に入って行き、姿を消した。