‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣







気を取り直し、いよいよ巫子達との別れの時がやって来た。
まずはジュリアとマンダ。彼女は既に東側に置かれた鏡の前に立ち、近くには志真と角兄弟、後ろにはマンダが待機している。



「本当にいいのか?このまま島に帰って。」
『うん。ゴジラともっとおはなししたり、いろんなところに行きたかったけど・・・そのまえにおうちにかえって、つるぎにパパ、ママにおはなししないと。お外に出ていいっていわれたら、またおねがい。』
「あぁ。それまでにどんな所に行こうか考えとくよ。ゴジラも一緒にな。」
「ジュリアちゃん、家に帰っても頑張って!家柄になんて負けちゃ駄目だからね!」
「大丈夫だ!歩!ダイゴロウを見ているジュリアちゃんなら、絶対いい子に育つ!俺が保証する!」
「それにジュリアちゃんには弦義が、マンダがいるもんな。」
『うん!じゃあおにぃちゃん、ゆびきりしよっ!』



再びジュリアが島を出れる事を祈りながら、志真は彼女と指切りをする。
ジュリアもとても満足げに志真と小指を繋ぎ、それを解くと駆け足で鏡の中に入り、志真達へ元気に手を振りながら竜宮島へ帰って行った。



『じゃあね~~っ!!』



ヌゥガァゥゥゥ・・・



青龍・マンダもまた、ジュリアを追って地下水脈の中に去って行った。






次は穂野香とアンバー。西側の鏡に立ち、瞬と首藤・蓮浦が彼女を見送る。



「いざお別れになると、寂しいですね・・・でも、帰らないとお兄ちゃんが心配してるし・・・」
「そうだなぁ、穂野香ちゃん・・・いっそ、四国に引っ越してみるのも悪くないかもしねぇかぁ?」
「馬鹿な事を言うな。そんな事の為にGnosisから離れさせんぞ。」
「馬鹿だぁ?お前こそ、馬鹿みたいにメモをアンバーさん絡みの事で埋め尽くしやがって!」
「そ、それは!仕方ないだろう!それだけメモする事が・・・」
「・・・とにかく、これでお前はまた日常生活に戻れる。俺は軍人だ、会える機会は少ないだろう。」
「・・・ですけどまた!絶対に会えますよね!瞬さん!」
「四国か・・・東京からは遠いが、二度と会えない距離では無いな。それにバランも、同族には興味があるだろう。」
「はい!私もアンバーも待ってますから、絶対に会いに来て下さいね!それじゃあ、さようなら!」



満点の笑顔と元気を振りまき、穂野香は岩屋寺に帰って行った。



――皆様、またいつかお会い致しましょう。
それでは、ごきげんよう・・・


グウィウォォォォォウン・・・



白虎・アンバーもまた、西に沈む夕陽に向かって飛び立って行った。






続いて、樹とギャオス。南の鏡の前で、遥と引田・岸田が樹を見送る。



「では、ボクとギャオスは行きます。父さんが、待っていますので。」
「元気でね。樹君。」
「樹さん、何か悩みがあったらここに電話して頂戴。一応わたしは医師だから、助けになれると思うわ。」
「あっ!深紗さんのプライベート番号!俺らも教えて貰ってへんのに、それはあかんよ!樹君!」
「わたしが教えていいと思って教えたのだから、岸田さんは口を出さない!最後まで関西弁のままだったし・・・」
「わ、分かりましたから!『めっ!』だけは勘弁して下さい!」
「あ、ありがとうございます。困った時は、またお願いします。それでは・・・」
「樹君。今は勉強があるから難しいけど、時間が出来たらまた福江島へ会いに行くね。それにいつか、樹君をモスラのいるインファント島に連れて行きたいな。」
「はい。次お会い出来る日を、楽しみにしています。さようなら、引田さん。岸田さん。それと、は、遥・・・さん。」



最後に何故か遥を見ながら顔を少し紅潮させ、樹は福江島に帰って行った。



ギャァオォォォォ・・・



鏡の後ろから樹達を見守っていた朱雀・ギャオスも飛び立ち、南の空に去って行った。






最後に憐太郎・紀子、ガメラと、それを見送る志真達、Gnosisが北側の鏡に集まった。



「志真さん、瞬さん、遥さん。僕達の力になって下さって、ありがとうございました。」
「ううん。俺達は、自分達が出来る事をしただけだから。戦ってたのも、ゴジラ達だしな。」
「礼には及ばない。これはお前達巫子と、四神の努力による成果だ。」
「私達はただ、お手伝いをしただけよ。でも、みんなが無事で本当に良かった。」
「遥さんは相手を慈しむ愛を、瞬さんは物事を乗り切る為の知恵を、志真さんは思った事を貫き通す勇気を私達に教えてくれました。だから、私達は志真さん達と出会えた事を嬉しく思っています。」
「志真さん達も、お元気で。じゃあ先に帰ってるね、験司兄ちゃん達。」
「あぁ。オレ達もすぐに戻る。」


――・・・ゴジラ、バラン、モスラ。一緒に戦ってくれてありがとう。


――また君達と会えるのを、楽しみにしてるよ。


「「それでは・・・さようなら!」」
「またな。」
「元気でね!」
「じゃあな~!」



ヴォウァァァァォォオン・・・



固く手を繋いで憐太郎・紀子はつがる市に帰って行き、ガメラも円盤飛行で宵闇迫る空の彼方に去って行く。
ゴジラはガメラが見えなくなるまで、いつまでも空を見上げていた。
54/56ページ
好釦