‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣




「志真さん!瞬さん!モスラ達が黄龍を押していますね!」
「あの時は対策も何もないまま挑んで負けたけど、今はあいつの攻撃方法も分かってるし、何よりあいつに勝つ!って言う意志が強いからな!」
「・・・だが、場合によっては三体でも勝てないかもしれない。」
「えっ?おい、どういう事だよ、瞬。」
「確かに今の所はこちらが有利かもしれないが、バラン達が元素の影響を受けない分、それは奴に対して決定打を与えられない事を意味する。モスラの鱗粉もおいそれとは使えない、バランの技で威力の高いのは真空圧弾程度。なら、この中で決定打になるのはゴジラの強化熱線しか無い。」
「でもあれ、体内に溜まった熱エネルギーを全部使うみたいで、一回使ったらしばらく熱線が使えなくなるらしいんだよな。」
「まさに『乾坤一擲(けんこんいってき)』、一度きりの手段だ。だが、もしこれが防がれたら打つ手は無い。」
「それに、温存していて先にゴジラが弱ってしまったら・・・」
「失敗は許されないってわけか・・・けどバランとモスラだけであいつを弱らせるのは流石に無理だし、四神達はもう戦える状態じゃないな・・・」
「すみません・・・私達に力が残っていれば・・・」
「気にしないで。貴方達はこんなにも頑張ってくれたのだから、もう戦わなくていいの。」
『・・・見たとこだけど、モスラの鱗粉って電磁鱗粉なのかな?』



再度黄龍に鱗粉を浴びせるモスラを見ながら、ファンロンは遥にそう尋ねた。



「はい。それによる揚力で、モスラは飛んでいるらしいです。だからこそ鱗粉攻撃は『最後の技』なのですが。」
『んじゃあ、あの鱗粉も「雷」を持ってる事になるよね~?』
「えっ?」
『あの鱗粉を四神に浴びせてみたら、って事。「雷」の元素があれば、増幅したエネルギーを応用してある程度は傷の回復が可能なはずだよ?破壊しか考えられない黄龍はそんな事には使わないけど、四神なら工夫して使えるだろうしね~。』
「ですが、私としてはもう四神を、みんなを戦わせたくは・・・」
「いえ、お願いします。妃羽菜さん。」



ファンロンが提唱した、四神達を再度戦線に復帰させる手段を聞いてもなお、四神・巫子の身を案じてそれを渋る遥。
そんな彼女にその手段を促したのは、樹達巫子であった。



「遥、やっぱりこのまま見ているだけなんて嫌!四神さえ戦えれば黄龍に勝てるのに、それをしないなんて私達には出来ない!」
『おねがい!はるか!モスラ!わたしたちならまだ、たたかえるから!』
「みんな・・・」
「ボク達なら、大丈夫です。みんな生きて必ず、故郷に帰る。だからこそここで、一緒に黄龍を倒したいんです!」
「今の私達に必要なのは休息じゃなくて・・・力なんです。私達もガメラ達も、最後まで戦いたいんです!」
「お願いします、遥さん・・・!僕達も一緒に、戦わせて下さい!」



黄龍との戦いで傷付き、ゴジラ達を蘇らせる為に無理に力を使い、それでも巫子達は己の使命を全うし、黄龍との宿命を断ち切ろうと、戦う意志を見せる。
巫子達の熱意に押され、消極的だった遥は決意した。
もう一度四神に、巫子達に戦って貰う事を。



「・・・分かったわ。みんな、本当にありがとう。それから・・・ごめんなさい!」
「妃羽菜、お前・・・」
「遥ちゃん・・・」



黄龍との戦いで傷付き、ゴジラ達を蘇らせる為に無理に力を使い、それでも巫子達は己の使命を全うし、黄龍との宿命を断ち切ろうと、戦う意志を見せる。
巫子達の熱意に押され、消極的だった遥は決意した。
もう一度四神に、巫子達に戦って貰う事を。



「・・・分かったわ。みんな、本当にありがとう。それから・・・ごめんなさい!」
「妃羽菜、お前・・・」
「遥ちゃん・・・」



クィイイン・・・



黄龍が放った雷電光線による、鱗粉との凄まじい連鎖爆発に巻き込まれ、モスラはコンクリートの地面に叩き付けられてしまう。
と、そこへ遥からの声がモスラに聞こえて来た。



――モスラ、貴方の鱗粉をあそこにいる四体の怪獣、四神達に浴びせてあげて。
彼らは貴方達の封印を解いて、ここまであの龍と戦ってくれていたの。
もう力が尽きそうなのに、最後まで貴方達の力になりたいって・・・その為に、貴方の「雷」が必要なの。
お願い、モスラ!



カクィォォォォォォオン・・・



遥の願いを受け、飛翔したモスラは真っ直ぐ四神の元に向かって行った。
黄龍は火球でモスラを撃墜しようとするも、すぐさまゴジラが黄龍の体に取り付き、バランは黄龍の足に尾を巻き付かせ、妨害する。



グウィゥゥゥゥゥゥゥゥウウン・・・


ディガァァァァァァァァオオン・・・



「やらせっかよ!頼むぞ、ゴジラ!」
「モスラの邪魔はさせん・・・!バラン、妨害に専念だ!」
「志真さん、瞬さん・・・ゴジラ、バラン・・・あと少しの間だけ、お願いします!」



ゴジラが右に、バランが左に下半身をねじれさせ、タイミングを合わせた尾の連携攻撃で黄龍を後退させる。
それに対し黄龍は翼を広げて突風で二体を攻撃し、続けて地割れでゴジラを攻め立てる。
が、ゴジラの前に皮膜を盾代わりにしたバランが立ち、地割れ攻撃を受け止めた。



ガァアアン・・・



足元がふらつきながら、どうにか攻撃を受け止めたバランの後ろからゴジラが熱線を放ち、黄龍に反撃しようとする。
だが黄龍は勾玉状エネルギーを出して手に持ち、熱線に投げ付けて相殺させた。



『よ~し!じゃあ四神復活大作戦、開始!あっ、でもあんまり浴びせ過ぎたらダメージになっちゃうから、そ~っとね。そ~っと。』



しかし、ゴジラとバランの尽力によってモスラは四神達の元に辿り着き、治癒の鱗粉を四神達に振りまいて行った。



――それにしても、結晶って本当に勾玉と性質が似てるんだね~。
「G」で言うなら「共力」って所かな♪



「バラン、俺達の会話を聞いていたのか・・・よくぞやってくれた。」
「身代わりになってくれてすまねぇ、バラン。あとちょっとだけ頑張ってくれ、ゴジラ・・・!」



ゴジラは黄龍が放った雷電光線を、熱線で受け止めている所だった。
雷撃と熱線がぶつかり合い、互いの意を受けて押し合って行くが、段々と熱線側の旗色が悪くなっていく。
それでもゴジラはこの先に待っている形勢逆転の瞬間に繋ぐ為、諦めずに抵抗を続けた。



――これは・・・!
わたくしの体から、力がみなぎって来ます・・・
これを全身に巡らせて、取り込めば・・・!

「頑張って、アンバー!バランを、みんなを助けるわよ!負けっぱなしで引き下がるなんて、絶対出来ないんだから!」



「ギャオス。モスラの、妃羽菜さんの優しさが、あったかさが伝わって来る・・・これなら負けない、そうだろう!」



『マンダ!ゴジラがわたしたちのためにすっごくがんばってる!でも、わたしたちだってもっと、も~っとがんばれるよね!』



「みんなの守護神・・・ガメラ。」
「もう一度、僕達と一緒に戦ってくれ。」
「『マナ』は破壊の為の力なんかじゃない。私達が「心(ここ)」に持っている、愛の力。あなたも私もレンも、みんなもそれを知っている。」
「たとえ君の炎が消えそうになっても、僕の紀子への想いが、何度だって火を点ける!」
「だから行きましょう、ガメラ!」
「僕達と、四神達と、ゴジラ達の力を合わせて、今度こそあいつを倒すんだ!!」



グァヴウゥゥゥン・・・!
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