‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣




「あの、お話するのもいいんですが、そろそろゴジラ達の封印を解いた方が・・・」
「ああっ!そうだそうだ、それが目的だったのに・・・!ごめん、ゴジラ。」
「もう他はとっくに準備が出来ているぞ。」
「あとは、志真さんとジュリアちゃんだけですよ。」
『ええーっ!?じゃあ、わたしもはやくいく~!』



既に他の巫子に瞬・遥と共に四神相応の陣に付いている紀子にそう言われ、本題を思い出して慌てる志真とジュリア。
志真は瞬と遥がいる中央に、ジュリアは東の方向に位置する右側へ駆け出して行く。



「ったく、目的を忘れて何喋ってんだよ。」
「みんな黄龍を倒して、気が抜けちゃったのね。それにこんなにも色んな人との出会いなんて、中々無いし・・・」
『「一期一会」!人生は出会いと別れだよ~。』
「そう言えば、長年旅をしていると聞いたが、家族や友達には連絡しているのか?」
『家族、ねぇ・・・連絡はしてないなぁ。友達は旅で出会ったみんなや、みぃちゃん達Gnosisが友達だから問題無いけど♪人類みな兄弟!』
「にしちゃあ、出会って半年で3回も現場で出くわすのは出来過ぎてる気がするけどよ。」
『まぁまぁ、それだけ縁結びがあるって事!あっ、ほら始まるよ!』


――だって、みんなほんとにあたしの知ってる、みぃちゃん達そのままなんだもん。
こっちの世界でも、会いに行きたくなるじゃん!



「みんな、やろう!」
「うん。」
「意識を集中させて、それを結晶に・・・」
『よ~し!じゃっ、ゴジラをたすけ・・・!!』



結晶に力を送る為、巫子達は勾玉を握りしめる。
だがその最中、ジュリアだけが違う反応をした。
絶対的な何かへの恐怖に彼女は目を見開き、全身を振るわせていたのだ。



「あれ?ジュリアちゃん、どうしたんだ?」
『みんな・・・来る・・・!』
「来る?」
『・・・来るの・・・!おう、りゅう・・・!』
「黄龍、だと?」



ジュリアの言葉に一同が耳を傾けた瞬間、街全体に謎の振動が起こった。
更に続いて、待機していた四神達を突如として強大な雷撃が襲い、巫子達の体にも苦痛が伝わる。



グォアアアウゥゥ・・・


ギャウウゥン・・・


ガァウォゥゥゥ・・・


グウィォォウン・・・



「ううっ・・・!」
「紀子!」
「ぐ、うう・・・」
「樹君!」
『きゃあぁっ!』
「ジュリアちゃん!」
「あうっ・・・!」
「初之!」
「みんな、大丈夫!?」
「おい、これは一体どうなってやがるんだ!」
『・・・そんなの、一つしか無いわ。』



ファンロンは真剣な表情と口振りでそう言って南の方向を指差し、一同もそこへ目を向ける。
そして、一同は見た。



「そ、そんな!」
「まだ、生きていただと・・・!」
「ふざけんなよ・・・!黄龍!!」



ギャァヴォァァァァオォォン・・・



そう、再び立ち上がった黄龍の姿を。
その全身はおびただしい量の電流が帯電し、中央の勾玉は黒く明滅していた。
街は雷雲に覆われ、太陽の光が遮断された薄暗い世界の中でもなお、その眼は自身の片割れ達への憎悪を失ってはおらず、むしろ増大していた。



「こ、こんなの、あってたまるかよぉ!」
「なんと言う生命力!そして執念・・・!」
「なんて事なの・・・」
「お、お前なぁ!しつこい男は嫌われるって知らんのんか!このどアホが!」
「こんなにも圧倒的な強さ、ダイゴロウで言えばザノン号、バイラスシリーズで言えばX星人に匹敵するぞ・・・!」
「そんな例えをしてる場合じゃ無いって!兄者!」



「四神の必殺技と、ガメラのブレイ・インパクトで倒したって思ったのに・・・!」
「さっき戦った時より、強さが増してる気がする・・・」
「けど、黄龍は四神の手で倒して、封印されたはずよ!」
「まさか、ボク達の力が足りなかった?」
『だから、黄龍をたおせなかったの・・・?』
『いいえ、キミ達は四神の力をちゃんと引き出していたわ。多分四神だけの力だったら黄龍にはかなわなかっただろうし、みんな巫子に目覚めて数年しか経ってないのに、凄いって思った。』
「じゃあ、どうして!」

ーー・・・まさか、「雷」?

『正解よ、アンバー。四大元素にはちょっとからくりがあってね、「雷」の元素で一時的に増幅する性質があるんだ。けど、そんな事したらパワーアップするどころかまともに四大元素が扱えなくなって、暴走する。だから「雷」の元素は自力で扱えないようにしていたはずなの。』
「だが、四神のプロトタイプとも言える黄龍のみは、『雷』の元素を扱う手段を知っていた・・・と言う事か。」
『あたしも黄龍が「雷」の元素が使えるなんて、予想出来なかった・・・多分、昔の時は黄龍も「雷」の元素をちゃんと扱えなかったから、四神に封印された。でも今回は多分、黄龍を蘇らせた存在が何か細工をして、黄龍が「雷」の元素を使いこなせるようにしたんだわ。』
「じゃあ、今の四神には打つ手なしって事かよ!」



ファンロンから突き付けられる絶望的な真実が、志真達の表情を陰りに塗り替える。
が、それでも四神と巫子達は諦めていなかった。



「それでも、私達は戦います・・・!」
「みんな、駄目よ!黄龍はもう四神でも倒せなくなったのに、そんな無茶な事をしたら、みんなが・・・!」
「でも、今ボク達以外で誰が黄龍を止められるんですか?妃羽菜さん。」
「あいつを放っておいたら、世界は滅ぼされちゃう。そんなの黙って見てられない、私達がさせない!」
『それに、わたしだって外のせかいをぜんぜん見てないもん!ぜったい、まけない!』
「みんな・・・」
「紀子の意志は固いです。きっと他のみんなも。僕は力を貸す事しか出来ませんが、精一杯やってみます。こんな所で僕達は、諦めたくない!」
「・・・そうか。」
「すまねぇ・・・ゴジラ達さえいれば・・・」
「いえ。志真さん達が、験司兄ちゃん達がいてくるだけで、僕達は戦えます。」


――それに、もしガメラ達だけじゃ本当に無理だったら・・・
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好釦