‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣




戦いが一段落し、穏やかに話し合う巫子達。
そんな彼女達の元に、志真達が歩み寄る。



「樹君、それにみんな。無事でよかった・・・ありがとう。」
「君達の頑張りが、あの黄龍を倒したんだ。これでゴジラ達も助けられる。本当に感謝するよ。」
「よくやってくれた。言葉では表しきれないが、お前達に礼を言う。」
「かしこまらないで下さい。私達の力がお役に立てたのなら、それだけでいいんですから。」
「妃羽菜さん達の支えがなかったら、気持ちで負けていたかもしれません。」
「私達だけじゃない、みんなの力で掴んだ勝利なんですから!瞬さん達の助言があったから、黄龍に勝てたんです!」
『やくそくまもったよ、おにぃちゃんたち!』
「・・・ああ。そうだな。」

――ここにいる全ての皆様に、心よりの感謝の気持ちを送らせて頂きます。
後は本題の、バラン達の封印を解くだけですが・・・

「そうだ、それを解決しないと!とは言えど、どうやって助ければ・・・」
『それはあたしが教えてしんぜよう!』
「わっ!いきなり出て来ないで下さいよ、ファンロンさん・・・」
「そういえば、黄龍は倒したのにモスラ達からの通信はありません・・・他に何かやる事があるんですか?」
『それはね、君達が持ってる「結晶」が必要なんだ。「結晶」と「勾玉」は似た性質を持ってるから、勾玉を使って四神の力を「結晶」に注ぎ込めば、黄龍の力が解かれてゴジラ達も帰って来れるよ♪』
「だが、それなら黄龍と戦う必要はあったのか?」
『だって、黄龍がピンピンしてる時に封印を解こうとしても、絶対にそれを邪魔して来るに決まってるじゃん。封印を強くしちゃうとか、次元を越えて四神の誰かを襲うとか、いくらでも邪魔されちゃうわね~。』
「そうか・・・」
「瞬特佐は、巫子達の身を案じてそう言ってくれたんですよね?」
「自衛隊の奴にしちゃ、気遣いが出来るじゃねぇか。ちょっとだけ見直してやるぜ。」
「まぁ、あんまり口には出さないだけで、瞬って人並み以上に心配症だったりするし。」
「志真、お前は余計な事を・・・」
「まぁまぁ、瞬さん。でもやっと、あなたを助けられるのね。モスラ。」
「って事は、ようやく本物の守護神モスラを見れるのかぁ・・・!く~っ、楽しみ過ぎるぜぇ!」
「そんな態度では対面したモスラに人類諸々が幻滅されてしまう。冷静になれ、首藤。」
「うっせぇ!お前こそ、さっきからメモに無駄に長ったらしくアンバーさんの事ばっかり書きやがって!」
「なっ!人のメモを勝手に見るんじゃない!大体、お前と言う輩はいつも・・・!」
「な、なんか、変にモテてるみたいよ、アンバー・・・」

――それは多少、困りますね・・・

「そういえば、アンバーとモスラって結構似たイメージかも。」
「そうなの?遥。やっぱり、モスラもメス?」
「うん。いつも私に話し掛けて来る時にね・・・」



「そうだ。貴方は、自衛隊の方ですよね?」
「そうだが。」
「ボクの父が福岡の駐屯地に所属していまして、『逸見亨平』と言う名前なんですが、どんな感じの人ですか?」
「逸見亨平・・・陸自一佐のあの男か。やや自分の意見を無理に押し通そうとする所があるが、恐らくあの駐屯地の隊員の中では最も、基礎訓練の大切さや忠義を貫く強さを知っている。ある意味、俺に近い存在かもしれんな。」
「そうですか。父さんらしい評価で、安心しました。」
「褒められていない所もあったのに、樹さんは面白い答え方をするのね。」
「まっ、なんかあの人って嘘を言わなさそうな人ですし。でも、それだけお父さんの仕事振りが気になってんな、樹君。」
「は、はい。」
「岸田さん、微妙に関西弁。けれど確かに、逸見さんと瞬さんは似ているかもしれないわ。瞬さんの10年後が逸見さん、と言う感じかしら?」
「そこまで言われると、改めて逸見が気になるな・・・」



『ねぇ、えかきのおねぇさん!バイラスかいて!』
『えっ?特撮映画に出て来る、あのイカみたいな宇宙人?』
「なにっ!ジュリアちゃんもバイラスシリーズを見てるのか!聞き捨てならんぞ!」
『えっ?じょー兄ちゃんもしってるの?』
「いや、指差されてる僕は弟の歩だよ、ジュリアちゃん・・・」
『だって丈君と歩君はそっくりなんだし、仕方ないじゃん☆』
「ひ、酷い・・・」
「気を落とすな、歩!ダイゴロウもいいが、バイラスシリーズもいいな!あれこそ空想特撮映画の決定版だ!」
『ダイゴロウもかわいいからすきだよ~!』
「そうかそうか!ダイゴロウも見ているとは、ジュリアちゃんは将来いい子になるぞ!」
『そうだねぇ、バイラスも描いてみるのも面白いかな~。』
「・・・これは、長くなりそうだなぁ・・・」



「あっちでバイラスの話してる・・・気になるなぁ。」
「お前って本当にバイラスシリーズが好きだよな、レン。」
「レンったら、この前もテスト用紙にバイラスの落書きして、先生に怒られてたんだよ。」
「ちょっと、紀子!」
「ふふっ。憐太郎君が昔、小学校で私のクラスにいた頃も同じ事してたわね。変わらないって言うか・・・」
「蛍姉ちゃんまで・・・」
「バイラスシリーズなら、俺も見てるぜ。」
「えっ、志真さんも知ってるんですか!バイラス!」
「もちろん。一作目から劇場で見てるし、去年やってた『バイラスの名は』も観に行ったからな。」
「ほんとですか!?バイラスの名前の真実が明かされて、シリーズファンには最高でしたよね!」
「確かに。特撮も凄かったし・・・」
「・・・こっちでも始まったぞ。」
「あのシリーズって、そんなに人気なの?」
「レンが言うには、熱烈なファン層とファミリー層がいるお陰で、一応黒字興行なんだって。」
「まだまだじゃりん子の癖に、あいつも生意気な事言いやがるな・・・」



「そうです!ここでバイラスの第一先住民族が、バイラスと言う種族の名の由来を・・・あっ、関係ない話ですみませんが、志真さんに聞きたかった事があったんです。」
「んっ、どうした?」
「一応、名前の由来絡みなんですが、『ゴジラ』って名前を付けたのは志真さんが初めてだと聞きました。その由来って何なのかなぁ、って思いまして。」
「えっと・・・信じてる人は少ないんだけど、あいつも四神や黄龍みたいに誰かの手によって作られた存在みたいで、ある島に取材に行った時に『Godzilla project』って書かれた計画書を見つけて、そこから『ゴジラ』って名付けたんだ。
多分この計画書を書いた人がゴジラを作ったんだと思うけど、3年経ってもそれが誰だか分かって無いし、『Godzilla』がどういう意味なのかは俺もゴジラ本人も分からない。でも、あいつの為にも俺は必ずこの謎を解く。『バイラス』の名前に凄い秘密があったみたいに、な。」
「・・・そんな事情があったんですか・・・軽々しく聞く話じゃ無かったですね。」
「いや、こうやってまた1人、信じてくれる人がいて良かったよ。駆け出しの時に書いた記事だから知ってる人が少ないし、信じてる人も俺が知る限りは10人くらいだし。」
「いえ・・・非現実な話だからって嘘って決めつけるのはいけないですし、僕もそういう環境にいますから。」
「そっか。じゃあ、次は君とガメラの話を聞こうかな。」
「はい。僕と紀子は昔、近くの遺跡に無断で入った時にガメラを見つけて、世話をしてたんです。その頃はミドリガメぐらいの大きさで、新種の亀だと思ってました。」
「そうなんだ・・・じゃあ、『ガメラ』って名前もある意味ペット感覚で名付けてたんだな。」
「名付け親はレンですけど、レンは小さい頃に何処かで見た同じ読み方の名前からつけた、と言っていました。」
「うーん、今も思い出せないけど、確かに見た事あるんだよなぁ・・・」
「じゃあ、もしかしたら亀だからガメラ、じゃないかもしれないな。でも同じノリで行くなら、ギャオスは『ギャオー』って鳴くからとか。なんつって・・・」



「!!」
「あれ?どうしたの、樹君?」
「い、いえ、何でも無いです。妃羽菜さん。」


――あの人、なんで「ギャオス」の名前の由来を、知ってるんだ・・・?



「それで、白虎ことアンバーさんは・・・何だ?」
「琥珀の英訳だ。」
「うおっ!びっくりさせんなよ、瞬。」
「生まれた時から名乗っていたみたいですから、英訳から採ったわけじゃありませんけど、私の勾玉と彼女の目が琥珀みたいですから、良い偶然ですよね。」

――補足ながら、「黄龍」と言う名も四神相応に対応させてわたくし達の力で封印する為の別の名でして、真名は「ガイア」と言う名前でした。

『ガイアって、地球も一つの生命だって言う「ガイア理論」かな?それかギリシャ神話に出て来る大地の女神の名前と同じだから、案外メスなのかもね~?』
「おいおい、マジかよ!」
「ど、どうなの・・・?アンバー。」

――黄龍が言葉を発した事は一度もありませんし、性別自体が存在するかも分かりませんね・・・ご容赦下さい。

「そ、そっか。じゃあ話を戻して・・・マンダの由来って、何だ?」
『えっとね、わたしのおうちに「1万の蛇が一つになってマンダになった」っていういいつたえがあるから、たぶんそこからじゃないかなぁ。』
「つまり『万蛇』って事か。あの家って謎が多いけど、海蛇とかもいるからマンダがそうやって生まれた可能性はあるかも・・・」
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好釦