‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣







『マンダ・・・わたしの思いを、力に!』



ヌゥガァゥゥゥ・・・



四神達の先陣を切って、東からゲル状の流体となったマンダが激流を連れて黄龍に突っ込んで行く。
黄龍は再び大地の鎧を生成しようとするが、背後からの竜巻と閃光がそれを阻み、黄龍の体は激流に飲まれ、少しずつ持ち上がって行く。



『ひっさつ!!マンダ、あた~~っく!!』



マンダはまるで鯉の滝登りのように、黄龍を持ち上げて行く激流と共に登って行き、黄龍を追い越し更に登って行く。
そして体を一回転させ、遠心力と圧力を加えた尾を黄龍に叩き付けた。
さながらそれは、津波――ウェーブ――のような一撃だ。



「出た!一撃必殺のマンダアタックだ!」
「ジュリアちゃんの言葉とは言え、やっぱりそれが正式な名前なんだね・・・」
「じゃあもっとかっこいい名前付けるか?ギガ・インパクトとか。」
「俺ならドラゴンテールだな!」
「・・・もう僕、突っ込み疲れたよ・・・」






「ギャオス・・・ボクの思いを、力に!」



ギャァオォォォォ・・・



再び地面に落下して行く黄龍へ、次は遥か天空よりギャオスが必殺の一撃を放つ。
太陽を背にギャオスは翼を畳んで槍状になり、きりもみ飛行で急降下し、神速のスピードで黄龍に飛び込んで行く。
そして紅い槍――ランス――となったギャオスが黄龍の腹を捉え、地面に巨大なクレーターを作って叩き付けた。
黄龍の腹には捻れ傷が出来上がり、爆煙の中から素早く脱出したギャオスが黄龍を注意深く睨む。



「やった!樹君、ギャオス!」
「一発逆転や!人生、いつまでも上手くいくと思うんとちゃうで、黄龍!」
「岸田さん、関西弁。でも四神達、あの黄龍を確実に追いつめているわ。」
『そうだね~。あたしもたまにはいい事するでしょ?だから、今回はあたしを褒めて~!みぃ~ちゃん♪』
「もう、仕方ないわね。貴女のお望み通りになでなでしてあげるから、今は集中しなさい。」
『は~いっ☆』
「あの、岸田さん。引田さんとファンロンさんって、仲がいいんですか?」
「まあ、そうや・・・だな。最初に会った時からよく絡んでるし。どちらかと言えば、ファンロンさんが一方的に深紗さんに懐いてる感じや・・・だけど。」
「確かに、お母さんに甘える子供みたいに見えます・・・」



「アンバー!私の思いを・・・力に!」



グウィウォォォォォウン・・・



黄龍の体を隠す爆煙は瞬く間にアンバーが起こした疾風によって払われ、黄龍は吹き荒れる竜巻の牢獄に閉じ込められた。
更にアンバーは竜巻の上まで飛び上がると、真空圧弾を竜巻の中央目掛けて撃った。
弾丸は竜巻の壁に当たって跳ね返り、黄龍の体をかすめてまた竜巻に当たり、反射して黄龍に当たり・・・のサイクルを繰り返す。



――受けなさい、黄龍!
わたくしと穂野香・・・そして、皆様の思いの力を!



竜巻と弾丸による二重の風が吹く嵐――ストーム――の中で、黄龍は身動きが取れないまま小さな一撃を全身に受け続け、58回目のサイクルで弾丸は先ほどギャオスの一撃によって黄龍に出来た新しいウィークポイントである、腹の傷を突いた。
それと同時に嵐が収まり、全身各所にダメージを受けた黄龍はうずくまり、動きが鈍くなる。



「精度も速度も、岩屋寺で見た時よりも上がっている!素晴らしい!」
「恋する乙女は、強いんだぜぇ。なんてな!」

――えっ・・・?
どうして、首藤様がその事を・・・!?

「んっ?どうした、アンバー。」

――い、いえ。何でもありません。
お気になさらず・・・



「最後は僕達だ!行くよ、紀子!ガメラ!」
「うん!ガメラ・・・私とレンの思いを力に!」



ヴォウァァァァォォオン・・・



2人の強い言葉に反応した勾玉は緑の輝きを放ち、2人は光に包まれる。
それに応えてガメラの腹の紋章が、全身が炎に包まれて行き、その全てをガメラは烈火球として黄龍へ発射した。



「「ブレイ・インパクト!!」」



2人の叫びに乗せ、黄龍が放った二つの火球をはねのけた烈火球は黄龍の胸を直撃し、黄龍の全身を火焔――ブレイズ――が燃やす。
一度目、二度目は通用しなかった三位一体の攻撃だが、三度目の攻撃は間違いなく黄龍に致命傷を負わせ、黄龍は遂に地に伏した。



ヌゥガァウォォォォウン・・・



「や、やった!!」
「レン!紀子!よくやったぜ!」
「他の巫子達もありがとう。これはあなた達が力を合わせた結果よ。」
「いえ。頑張ったのは、ギャオス達です。ボク達はちょっと、力を貸しただけです。」
「今時の女は強し!ですから!あっ、樹は男の子だったわね・・・」
「気にしないでいいよ、穂野香。みんなが強かったから、あいつに勝てたんだ。」
『みんなつよかったね、マンダ!でも、わたしとマンダもがんばったよ!』
「そうね。年齢なんて関係ない、ジュリアも立派な巫子で女の子だもんね♪紀子も見かけによらず、いい叫びだったわよ!」
「レンがいつも叫んでるから、つい・・・でも、これが最後の一撃だって思ったら声が出ちゃって・・・」
『おなかに力を入れるのってだいじだよ!わたしもとどめのときは「マンダ、あた~っく!」ってさけんでるし。』
「そうだよ。やっぱり、ここぞって時は叫ばなきゃ。」
「その方が、男っぽいのかな?最近ボク、ちょっと思うんだ。」
「その方がいいと思うけど・・・樹はそんな事しなくても、十分男っぽく僕には見えたよ?ギャオスに指示出してる時とか。」
「ほ、本当にそう見える?憐太郎?じゃあ・・・嬉しいな。」
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好釦