‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣




「見せつけてくれるじゃない、玄武の2人。」
「ずっと手を繋いでるけど、ああする事で力を引き出してるのかな。」
『らぶらぶだね~!』
「ちょ、ちょっと、ジュリアに穂野香さんまで・・・」
「でも他の四神が来るまでの間、2人とガメラだけであいつを足止めしてたんだ。それこそあいつに、負けないくらいの全力で。そうだろう?」
「樹・・・」
「じゃあ、私達も負けてられないわ!みんなが全力で行けば、黄龍に勝てる!樹、ジュリア、全力で行くわよ!」
「分かった!」
『うん!やっちゃえっ!ガメラ!ギャオス!アンバー!マンダ!』



ガメラへの攻撃に黄龍が気を取られている間に、黄龍の真上を取ったギャオスが閃光を放ち、黄龍の尾を攻撃した。
液状化が解かれ、黄龍が空を見上げた隙にマンダが噴水流で黄龍の全身を攻撃し、ガメラは頭部と手足を出して起き上がる。
しかし、黄龍は右足を踏みしめ起こした地割れをマンダに向かわせ、マンダが噴水流を中断して回避したのを見計らって、全身を大地の鎧で覆ってしまった。
ギャオスが鎌鼬で黄龍を攻撃するも、既に鎧に身を包んだ黄龍には通用しない。



『あっ!ごめんなさい・・・』
「ううん。あんな攻撃、誰でも受けたくないわよ。」
「あとはガメラ達の攻撃でどうにかするから、気にしないで。ジュリア。」
『あ、ありがと・・・』
「でもどうやって、あの鉄壁を破ろう。何か、策が無いと。」
「・・・そうだ、一つ質問がある。」



と、ここで沈黙したまま戦いを傍観していた瞬が巫子達に話し掛けた。



「どうしました?瞬さん。」
「四神と黄龍は同じ文明が作ったと聞く。なら、パワーソースも同じなのか?」
『ぱわーそーす?』
「四神や黄龍の力の源、ですね。それが何かあるのですか?」
「いや、どうも黄龍は相手に合わせて攻撃手段を選んでいるように見えた。青龍なら地割れ攻撃、ガメラには水を使用した攻撃・・・と言った具合だ。」
「ギャオスで例えれば、火と風の元素を使って攻撃したり、飛行能力を得ていたりします。他の四神も元素を絡めて、攻撃しているかと思います。」

――皆様、それは「四大元素」によるものです。
万物を構成する「火・風・水・地」が存在し、わたくし達四神はこの中から取捨選択、黄龍はその全てを使って攻撃しております。
各元素への干渉の優劣は存在すると思いますが、わたくしは存じ上げておらず・・・申し訳ありません。



アンバーが巫子と瞬達に向けて交感し、瞬の疑問にある程度の回答を示した。
彼らの脳裏に長く白い髪と青白い着物を着た、琥珀色の目を持つ清楚で上品な雰囲気の美女・・・白虎(アンバー)の人間としての姿が映る。



――いかがでしょうか、瞬様。

「・・・パワーソース、及び四竦みの関係はあるのか。ならば、黄龍はその四竦みや優劣を把握した上で攻撃していると見ていい。」
『うーん・・・アンバーもこのおにぃちゃんもむずかしいことばばっかりで、なにいってるのか分かんないよ~!!』
「えっ、炎は水に弱いって事だろ?それってポケモンと一緒じゃん。」
「あっ!そういえばそうですね、志真さん!」
「待て。それが正しいのなら、黄龍は青龍に対して地を、アンバーに対して火の元素を使っていた・・・そうか!火は風に、風は地に、地は水に、水は火に有利なのか!」
「だからガメラの攻撃を尾だけで防いだり・・・」
「固くなったマンダに、突風で攻撃したのね!流石は瞬さん!」
「風はひこう、地はくさタイプって所か?別にひこうタイプはほのおタイプに弱くは無いけど、ほとんど合ってんじゃん!」
「貴方も地味に凄いです。ゲームで例えて、ヒントを出すなんて。」
「そうでしょ、樹君。志真さんの行動力はいつも私達を助けてるの。」
『おにぃちゃん、かっこいいでしょ~?』

――素晴らしい機転と閃きの力をお持ちなのですね、志真様。

「よ、よせって。みんなして褒められたら・・・」
「それより、黄龍の鉄壁の対策だ。」
「おい、水差すな瞬!」
「まぁまぁ、志真さん。瞬さんの理論に従うなら、あの鉄壁は地の元素みたいだから・・・風の攻撃なら、通じる?」
「ガメラは使えませんし、マンダも無理みたいだから・・・ギャオスと、アンバーですね。」
「でも、ギャオスはむしろ切断として風の元素を使ってるって感じだし、アンバーの風だけでどこまでいけるか・・・」
「物質には気体、流体、固体の三態が存在する。見る限り風が気体、水が流体、地が固体を担っているようだ。それなら、火は三態に変化を与えていると考えられる。つまり火の変化を風に上手く足せば、威力を上げられる可能性がある。」



――心得ました。
わたくしと玄武の連携で、黄龍の鉄壁を解いてみせます。
朱雀と青龍・・・いえ、ギャオスとマンダはそれまで、黄龍に攻撃し続けて下さい。
樹様、ジュリア様、お願い致します。


「分かった。ボクとギャオスで、必ず足止めしてみせるよ。」
『さっきしっぱいしちゃったし、こんどこそがんばるぞ~!』



マンダは激流と共に黄龍に突撃し、激流を利用しながら水中を泳ぐ感覚で素早く黄龍と距離を詰める。
当然黄龍も地割れで迎撃しようとするも、ギャオスの精一杯の閃光が地の鎧が付いた黄龍の右足に傷を付け、黄龍は攻撃を中止する。
その隙にマンダは黄龍の胴体に絡み付き、自身の体にも黄龍と同様に地の元素で包んで硬質化させ、黄龍を締め付ける。
相手も硬質化している状態なので緊縛の効果は薄かったが、黄龍の身動きを制限する事には成功した。



『こんじょうくらべ、だよ!にがさないんだから!』



更にマンダは黄龍の首に噛みつき、マンダが締め付けていない箇所を狙ってギャオスが閃光で傷を付けていく。



「マンダ、アンバーとガメラの準備が出来たから離れて!」


――・・・玄武、いえ。ガメラ、貴方の炎をわたくしに貸して下さい。
昔の貴方とは違う、今の貴方の炎なら・・・



ヴォウァァァァォォオン・・・



アンバーの呼びかけに、二つ返事で頭を振って返したガメラは一歩下がり、アンバーが風を起こすのを待つ。
マンダが黄龍から離れたのを確認したアンバーは皮膜を広げて飛び上がり、全身から強風を黄龍に向けて出す。
そしてそれに合わせてガメラは火炎噴射を出し、風と炎は合わさって爆風と化し、黄龍を襲った。
さしもの黄龍もこの複合技には耐えられず、少しずつ大地の鎧が崩れて行く。



――まさか、貴方とこうして力を合わせる時が来るなんて。
以前の貴方は獣(けだもの)のように全てに暴力の限りを尽くす、「破壊」そのもののような存在でしたのに・・・
憐太郎様と紀子様が、あなたを守護する者・・・「ガメラ」に変えたのですね。



爆風が収まり、ボロボロになった黄龍の鎧にギャオスの鎌鼬と、マンダの噴水流がとどめを差す。
大地の鉄壁は砕かれ、黄龍の黄色い表皮が露わになった。
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好釦