‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣




ヌゥガァウォォォォウン・・・



と、ここで倒れていた黄龍が起き上がった。
首と体をひねり、四方を取り囲む忌まわしき四つの分身を確認し、それぞれに鋭い眼光を向ける。
本能のままに動き、確固たる意志が見当たらない黄龍だが、四神への怨念は強く残っているようだ。



ギャァオォォォォ・・・

ヌゥガァゥゥゥ・・・

グウィウォォォォォウン・・・



四神達もまた、現世に蘇った破壊の化身を毅然として見つめ、その眼光にも全く怯む様子を見せない。



ヴォウァァァァォォオン・・・



そう、今ここに「地球の意志」をその身に受けた者達による、世界の存亡を賭けた決戦が再び始まろうとしていた。



「2人共、待たせちゃってごめんね。」
「早速連れて来たぜ!」
「・・・被ったか。」



憐太郎達がいる広場では、志真達が巫子を連れて戻って来ていた。
彼らはほぼ同じタイミングで到着し、巫子達は一斉に顔合わせをする事になった。



『わぁ~、ほんとにわたしのもってるのとちがうまがたま!』
「この中だと私、一番年上になっちゃうのね。」
「あれ、男の子がいる。それともまさか?」
「みんな紀子と同じ、四神の巫子・・・」
「多種多様だけど、確かに私と同じ存在なのを感じる・・・」



巫子達が様々な反応をする中、志真達とGnosisの面々も、数時間振りの再会を喜んでいた。



「瞬!遥ちゃん!久しぶりだな。」
「はい!志真さんも瞬さんも、無事で良かったです。」
「別れてから特に時間は経っていないはずだが、何故か久しく感じるな。」
「どうしてでしょうね。ですけど、私達がこうして同じ目的を果たして、帰って来れたのが嬉しいです。」
「しっかし、俺と遥ちゃんはともかく、瞬がよくあんな今時の女の子を連れて来れたな?」
「俺も勧誘くらいは出来る。あいつらの力も借りたり、前途多難ではあったが。」






「いやぁ、四神大集合もだけどよ、おれ達Gnosisもこうして集合出来るなんてなぁ。」
「だが、この場に立ち会えた事は彼女に感謝しないといけない。漏らさずメモするぞ・・・」
「まっ、観戦するなら数が多い方がいいですから。」
「もう、岸田さん。スポーツを観に来たわけじゃないのだけれど?」
「これがGnosisの絆の力だ!Gnosis、キターッ!!」
「ちょっと兄者、みんなに当たりそうになってるって!」
「いい、貴方達。これは私達Gnosis最大の任務よ。私達は直接力にはなれないけど、巫子達の支えになる事は出来るわ。」
「この戦いを終わらせて、四神の宿命に一区切りを付ける!お前ら、任務開始だ!」
「「「はい!」」」






「よく考えたら、俺達ってそれぞれがもれなくGnosisの人達まで連れて来てるんだよなぁ。」
「再会した途端、一気に大所帯と化したな。」
「これって、偶然にしても凄過ぎますよね。」
『当然よ。だってあたしが行かせたようなものだし。』
「うおっ!」
「ファンロンさん!」
「またいきなり出て来たか・・・」
『キミ達のサポートをして貰う為に、あそこのトゲトゲ君とホタルちゃんに、それぞれ巫子がいる場所に行かせるように言ってたの。役に立ったでしょ?』
「は、はい。」
「トゲトゲ君?ホタルちゃん?」
「多分、リーダーの験司って人とサブリーダーの蛍って人の事だよな?」
『さて、巫子と四神が揃った事だし、ここからが正念場ね。みんな、挨拶出来た~?』
「「あっ、ファンロンさん。」」
『えかきのおねぇさん!』
「あれ、神話研究家の人じゃない。」
「怪獣マニアの人だ。」


――俺達の時、確か「芸術家」とか言ってたよな?
なんかすごいバラバラな印象・・・


「あっ、挨拶忘れてた。私は白虎の巫子、初之穂野香よ。」
「ボクは朱雀の巫子の、逸見樹と言います。」
『わたし、ジュリア・R・グレイス!わたしはマンダ、青龍の巫子なんだよ~。』
「玄武の巫子の、守田紀子です。よろしくお願いします。」
「僕は紀子の手助けをしてる、能登沢憐太郎と言います。レンって呼んで下さい。」
「うんうん。みんなよろしくっ!あとみんな、同じ巫子として敬語を使わずに喋らない?」
『よろしく~!』
「分かったわ、よろしく。」
「僕は、一応穂野香さんには敬語使っとこうかな・・・」
「そういえば憐太郎、君は本当に巫子じゃないの?」
「うん。ちょっと玄武・・・僕と紀子はガメラって呼んでるんだけど、出会い方が特別だったから、僕も力だけなら与えられるんだ。」
「そうなんだ・・・凄いんだね、憐太郎って。」
『でも、いつきだって男の子っぽいよね。じぶんのこと「ボク」って言ってるし。』
「本当に?それは結構、嬉しいな。実はボク、体は女で心は男だから。」
「えっ!?」
『ん~?どういうこと?』
「ま、まぁ、ジュリアにもいずれ分かるわよ。」
『え~っ!!ほのかまでわたしを子どもだからってごまかすの~!』
「そう言わないで、ジュリア。本題に戻すけど、こうやって巫子達が揃ったのは運命だと思うし、だからこそ私達の力で黄龍を倒さないといけない。」
「今だけでいい。力を合わせて、黄龍を倒そう。それが出来るのは、巫子だけなんだ。」
「・・・いいえ。これからもずっと、でしょ?」
「巫子としての使命を受け入れたから、ボク達はここにいる。そうだろう?」
『わたし、マンダといっしょにがんばるから、みんなもがんばろ!』
「「・・・うん!」」



勾玉を握った拳をお互いに合わせ、結束を誓う巫子達。
5人の心が、今一つとなった。
34/56ページ
好釦