‐GREATEST‐応の超獣と七体の大怪獣
ギャァヴォァァァァオォォン・・・
奈良県・橿原市。
古き良き様々な寺院が各所に立ち並び、その昔、平城京より前に日本最初の都として設立された「藤原京」の地でもある。
しかし、今この地は突如として現れた、強大な影の力によって滅ぼされようとしていた。
ヌゥガァウォォォォウン・・・
その影は、簡単に言い現せば黄色い西洋の龍。
だが、その体は一言では表現出来ない程に様々な生物の要素で満ちていた。
まず目を引く、胸元に埋められた勾玉に似た形をした四つの結晶体。
しなやかで細長いながらも肉付きの良い二本の腕と、反比例して屈強で力強い二本の足。
両脇に金色の鰭の付いた、龍特有の尾は身長以上の長さで、やや肥大な先端部のみ鰭が尖っている。
背中は鰭と同じく金色の皮膚が甲羅の様に覆っており、それを突き破ってコウモリの羽に似た一対の翼と、銀色の棘が首から均等に付いていた。
更に棘は顔にも付いていたが、その付き方は何故かバランとほぼ同じであり、一際大きい二本の角と奥の牙が全てを威圧し、口からは途中で二股に分かれた赤い舌が出ている。
そして、見る者全てに破壊の衝動を抱き、誰もを否応なく萎縮させる程に鋭く、冷酷な瞳。
そう、この怪獣こそが東西南北を統べる「中央」に位置する存在にして、かつて自身の分身とも言える四神に封印され、再び今の世に蘇ってゴジラ達を大地に封じ込めた、森羅万象の超獣。
その名は、黄龍。
ギャァヴォァァァァオォォン・・・
瞬く間に自らが火の海にした街を、黄龍は歩む。
生まれたその時から全てを破壊する事への意識しか生まれず、その本能にのみ従った行動を取っていた黄龍だが、今の黄龍は明確に何処かを目指して進んでいるように見えた。