――・・・もう、駒になぞ頼らない。
私が、この手で・・・総てを「殺ス」！
この世界よ、滅びよ！！




ゲームが全く上手く進まず、いよいよ業を煮やしたバガンは自らの手で全てを「殺ス」事を決意し・・・背中から神々しくも冷酷な、空を覆わん程に巨大な光の翼を広げると、咆哮と共にどす黒い衝撃波を、全身から解き放った。
当たったモノ総てを「殺ス」、バガン最強最悪の力・・・「破壊の波動」だ。



――あれは・・・まずいデス！
ガイア、あなたの「反物質」のブラックホールで、あの「破壊の波動」をきゅうしゅうしてくだサイ！
ワタシも、おてつだいしマス！



ヌゥガァウォォォォウン・・・



「影」のモスラの言葉を聞いたガイアは自らの胸を引き裂き、体内のヤタノカガミから起こした「反物質」のブラックホールで「破壊の波動」を吸収し始める。
更にガイアの背後に付いた「負」のモスラは急激に羽ばたくと、羽根から漆黒の「反物質」の鱗粉が舞い、生成されたフィールドで反物質と正物質の衝突が起こす、軽く日本列島が消し飛ぶ程の途方も無い規模の爆発を制御しつつ、ブラックホールの規模をガイア自身が飲み込まれない程度に強めて行く。







――えんが～、ちょっ！！



志真と遥に迫る「破壊の波動」を一刀両断したのは、いつの間にか東京湾に移動していたギロンであった。
「破壊の波動」諸共、東京湾の海は真っ二つに引き裂かれ、さながらモーセの十戒を彷彿とさせる。



ングウゥゥェェェェッ・・・



「志真さん、あの怪獣ってチェリィちゃんが出していた・・・」
「ナイフヘッドだ！」


――「ギロン」、だよ～？
ナイフヘッドも間違ってはないけど～、なんかムズムズするな～？


「「しゃ、喋った！？」」


――あっ、チェリにゃんだ～♪
頑張れ、頑張れ～♡



遥の「願望」の具現化の影響でアキの心が宿り、「結晶」を介さずに話すギロンに唖然とする志真・遥。
そんなギロン・・・いや、アキを見ながら「影」のモスラ・・・いや、チェリィは過ぎ去りし彼女との愛しき日々を思い出す。


――アキ・・・
それに、「オカ研」のみなサン・・・かえってきて、くれたんデスね・・・はるか、ありがとうデス。
じゃあ、ワタシもぜったいまけられないデス！
みんな、まもってみせマス！！



甦る「愛」に奮起した「影」のモスラはフィールドの濃度を更に強め、ガイアもそれに応えんとブラックホールを拡大し、「破壊の波動」を虚空へと更に吸い込んで行く。








グアァァァァァ・・・！



ヴィ・・・ヴゥゥゥゥゥン・・・



ゴジラを庇い、「破壊の波動」を受け続けた「負」のゴジラは、振り返りざまに僅かな「正」の感情の眼差しを向け・・・体内から何処か安らかな青い光の柱を瞬かせ、細胞の一片も残さずに消えて行った。



グィドゥウウウウウウン・・・



即座にクリムゾンラドンがゴジラを足で掴み、空中へ逃れる事でゴジラは「破壊の波動」の余波による被害を受けずに済んだ。
「破壊の波動」自体も、「影」のモスラとガイアによる決死の対抗で被害は最小限で済み、地球滅亡の危機は避けられたが・・・



「そん、な・・・」
「・・・ちくしょう・・・！ちっくしょう・・・！！」



グァァァウゥゥン・・・！



・・・漸く心を通わせ、共に戦ってくれたもう一体のゴジラを喪ったショックはあまりにも大きく、遥は悲痛な、志真とゴジラは慟哭の声を漏らす。
数々の怪獣からの暴威に立ち向かい、退けて来た志真とゴジラだが、このあまりに一方的な悲劇にその心は挫けそうになっていた。








・・・すると、その時。
まだ修理が終わらず、ネオマキシマ砲が撃てないワンセブンのブラックホール砲から、無数の光の蝶が現れ・・・



『えっ？あれって・・・まさか、あややちゃん！？』










『・・・その画面からこの戦いを見てる、そこのキミ？ヤッホー☆
あたしは鳳朱夏(おおとり あやか)！「G」の宇宙から来たゴキゲンな蝶、一言で言えば「最強の能力者」なヒーローよ♪
おっと、それは置いといて・・・分かってると思うけど、この世界のゴジラがとってもピンチなの！世界中のみんなが一生懸命頑張ってるけど、このままゴジラがやられちゃったら、この世界はバガンによって破壊されちゃうかもしれない・・・
だから、キミもゴジラを精一杯応援して！キミの思いを、ゴジラに届けて欲しいの！パレッタさんがばらまいた粒子にキミと、世界中のみんなの応援の力を合わせて具現化すれば・・・絶対、ゴジラは負けない！プリキュア映画のミラクルライトとか、ヒーローショーの声援みたいな感じかな？
そう言うわけだから練習無しの、ぶっつけ本番でいいよね？ワンダフルな応援、ヨロシクっ！
・・・じゃあ、行くわよ！
せ～っ、のッ！！






ガンバレ～ッ！！

ゴジラ～ッ！！』