‐GENOCIDE‐「負」、再ビ ダイジェスト版









『・・・行くぞ。ネクスト。』


――承知した。
ハワード、君の体を少し貸して貰う・・・!


『『絆・・・ネクサス!』』



モスクワにもまた1人、流浪の男・・・否、光の巨人が現れた。
ボディビルダーのように美しく引き締まった筋肉質な銀色の体に、血管のように全身を走る赤いライン。
翼を広げた鳥のような形状をした、胸元で真っ赤に輝く宝石に似た発光機関。
何処か笑みを湛えたような口元と、鋭くも優しさを感じる黄色い瞳が特徴的な顔。
巨人・・・コードネーム・ウルトラマンは、その身一つで宙に浮かびながらギドラ達を静かに、その目に捉える。



――見た事があるような、無いような奴らだな?

――あれはギドラ一族、宇宙の生きとし生けるもの達を根絶やしにして来た、宇宙最強最悪の種族だ。

――ギドラ・・・似ていると思ったら「魏怒羅」に似ているのか。
だが、他人の空似の侵略者なら、全滅させて構わないな?

――・・・構わない。
侵略者を討つ、それも私の使命だ。

――・・・今回は、俺の使命でもある。
宇宙(そら)を汚す奴を、俺は許せない。

――・・・ありがとう、ハワード。



ウルトラマンの中の、二つの意志・・・巨人「ネクスト」と変身者「ハワード・レイセオン」の思いは一つとなり、ネクストはカイザーギドラ達が一斉に光線を放ったのを合図に、目にも止まらぬ超スピードで急上昇。
全ての光線を回避し、今度は急降下しながらネクストは両腕を下ろした体勢で文字通り空を「翔び」、今度は両手を前に向けて放った三日月型の光弾をデスギドラ達へ続々と繰り出し、デスギドラ達を駆逐しながらカイザーギドラへ向かって行く。



ガァアアア・・・!

ガァアアア・・・!



カイザーギドラは三つ首からデストロイド・カイザーを放ち、重力でネクストを捕えようとするも、宙を自在に乱舞するネクストを捕らえる事は叶わず、S字を描くような軌道で一気にカイザーギドラに肉薄したネクストは右腕に光を集め、超スピードの勢いのままにカイザーギドラの首元を、力強く殴り付けた。



ギィウウウウン・・・

ギィウウウウン・・・



後退するカイザーギドラに追撃を与えようとするネクストだが、その背後からアクアギドラ達がネクストの隙を狙おうとしていた。



――不意打ちなんて、させないんだな!


ギャキュキュキュウ・・・



だが、アクアギドラ達を決して見逃さない「目」、ガンQの巨大な瞳がアクアギドラの冷波光線を全て吸い込み、バックアタックを阻止。
ネクストはガンQに一礼すると再び舞い上がり、両腕を曲げて前方に繰り出し、閃光を両腕に収束。
両指を平らにした後、右腕を縦に、左手を右腕の肘に当ててL字形のポーズを組むと、必殺の激しい光の奔流「オーバーレイ・シュトローム」を右手から繰り出し、カイザーギドラへと向かわせた。







――・・・全く。
漸く使命を終え、次の宇宙へ旅立つ所だったと言うのに、不愉快な足止めをされたと言うものよな?
お前が、この宇宙で如何なる強さを持っているのかは知らないが、俺には叶わん。絶対にな。
折角だ、冥土の土産に見せてやる。真の「黄金の終焉」を・・・


ガバラとキングギドラ一派によるデスマッチが繰り広げられるニューヨークに「電撃参戦」したのは、もう一体のキングギドラ・・・いや、キングギドラと似て非なる存在・黄昏。
またの名を、魏怒羅(ギドラ)。



カァララララララ・・・

キィリリリリリリ・・・

カラララララ・・・



自分と似て、だが非なる魏怒羅からの挑発は瞬く間にキングギドラの怒髪、天を付き、キングギドラは角を光らせ放った引力光線を合わせて渦巻きのようにし、鮮烈な光の束にして魏怒羅へ向かわせる。



――技までも、俺の模倣か?
ならば試してやる、俺に届くのかどうか。



魏怒羅は全身から金色の光を放ち、自らを守る球状の障壁にする。
キングギドラの合体光線は障壁に直撃し、障壁を抉ろうとするが、障壁は全く削れない。



――やはり、届かないか?
なら・・・墜ちろ。



魏怒羅は障壁をキングギドラへ飛ばし、キングギドラ諸共ニューヨークの高層ビルを吹き飛ばした。



ギャラララララ・・・

ギャラララララ・・・



「王」を守る為、ナイトギドラ達は魏怒羅を包囲し、一斉に光線を撃とうとする・・・



――目障りだ、平伏しろ雑魚共。



が、魏怒羅が両翼から出した赤い電撃を受けたナイトギドラ達を急激な反重力が襲い、摩天楼へ叩き付けられて行った。



『ヴァイパー、インゲージ(交戦)。』
『マッハ、インゲージ!』



更に、到着したアメリカ軍の戦闘機隊が続々と戦場にリングイン。
かつての戦いで残されていた「N波」のデータを流しながら、ソルジャーギドラ達にミサイルを撃ち込み、駆逐して行く。



『オラオラオラ!冥土から来てんじゃねぇぞ、ゾンビギドラ共!こっちに来ていいのは、カワイイメイド服のハルカだけなんだよぉ!』
『ファック!バカな冗談を言っている場合か、ウェイス!ゾンビ同然とは言え相手はギドラ一族、また前のように撃墜されたいのか!』
『分かってるっての、イース!これはあの時やられたアイツらの、「トムライ」なんだって事もな!サムライみたいに、ムソーしてやらぁ!』
『全く・・・だが、俺もこれが弔い合戦である事には同意だ!仇を、取らせて貰うぞ!ヴァイパー!』
『マッハ!』
『『FOX2(ミサイル発射)!!』』



ガァバァハハハハッ・・・



ガバラは自分のお株を奪う魏怒羅に拳を鳴らしながら苛立ち、全身からの放電で地に伏すナイトギドラ達を一網打尽にすると、拳に雷を宿してキングギドラへと殴り掛かった。



――待ちやがれェ!!
その金ピカ野郎はァ、オレがブッ潰すんだよォォォォォォォ!!







大分県・竹田市。
年中霧が発生する「狭霧山」の林を這い回る、幾つものの影があった。



キシャァァァァッ・・・

キシャァァァァッ・・・

キシャァァァァッ・・・



グロテスクな茶の肉塊に、細長い一対の足と尾とワニの骸骨に似た頭部が付いた、醜悪としか言い様の無い生物・・・捕食者・スカルクローラーは霧で目の前もろくに見えない中、狩猟本能に従って木々を避けながら、獲物へ真っしぐらに進む。



「『・・・』」



暫くして、スカルクローラー達は獲物となる男と女・・・八重樫大輔とハイダを発見。
三方向から取り囲み、2人を食らおうと飛び掛かった。



「・・・三つだ。南南東、北西、北北東。」
『承知しました。』



しかし、スカルクローラー達が迫る方向を正確に「捕捉」した八重樫の言葉を合図に、ハイダが左手の人差し指を翳すや・・・スカルクローラー達の体は即座に炎上。
唐突に全身を焼かれたスカルクローラー達は地に落ち、間を置かずに八重樫が構えた電磁小銃「RAR-60000」から発射された収束レールガンによって粉砕された。



キシャァァッ・・・!

キシャァァッ・・・!

キシャァァッ・・・!



「・・・やはり、RARシリーズはいつの時代も信用出来るな。」
『この感じ、貴方と2人でクモンガの群れとバンピーラの霧の中から脱出した、あの時の事を思い出します。』
「日本丸にいた頃の話か?いつの話をしている?」
『少なくとも、私にとっては忘れ得ぬ出来事ですので。貴方はどうですか?』
「・・・俺もだ。」
『それにしても、あの「G」はあとどれだけいるのでしょう?』
「少なくとも、あと16。更に大型の個体が一体いる。だが、どうやらこの山には『主』がいるらしい。」
『主?』
「そうだ。そして恐らく、俺達の敵では無いだろう。」
『・・・あっ。成る程、確かにいるようですね。』



・・・ムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・



ハイダの「思念」が捉えた、湖のある山頂付近から何故か聴こえて来る、かつて濃霧の際に灯台・船舶が自分位置を知らせる為に鳴らしていた、合図の笛の音・霧笛(むてき)に似た音・・・いや、咆哮。



・・・キジャアアアァッ・・・!



少し後、風を切るような轟音とスカルクローラーの大型個体にして支配種・スカルデビルの悲鳴が響き、再び狭霧山に静粛が戻るのだった。






フゥウウゥゥゥゥン・・・ウウウゥゥゥゥン・・・



奈良県・南明日香村。
緑の山々を闊歩する、七色の貝に似た発光機関を胸元と腹に、先端部が短刀のように鋭い四本の触手を肩に付けた、橙色の異形の人型巨大「G」・イリス。
「G」の宇宙では「時間」と「空間」の器となり、一時的にレリックを「G」の宇宙から追放した「吸収」の「G」が、皮肉にも異なるレリックの手により、「駒」として召喚されてしまったのだ。



「・・・また、この世界に来たのか。俺が初めて来た時よりも『前の』時事列のようだが・・・何よりも、邪神・柳星張・・・俺なのかこの剣なのかは分からないが、つくづく貴様とは因果の鎖で繋がっているらしい。バランとアンバーは・・・別の脅威に立ち向かっているようだ。なら、三度目は・・・俺自身の手で、貴様を祓う!
百式、改!!」



弦義とはまた違う赴きの侍・朱雀火漸は、愛刀「颯霊剣」を見ながら、かつて何度かこの世界を訪れた時の事を回想し、邪神・イリスへ刃を向けるのだった。
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好釦