‐GENOCIDE‐「負」、再ビ ダイジェスト版








アグァッ・・・
アグォァァァアア・・・



愛媛県・西与市、大野ヶ原。
四国カルストを揺るがしながら大地を突き破り、怪獣が地底より現れる。
その怪獣は、かつてアンバーと穂野香が力を合わせて初めて倒した大魔獣・ジャイガーに似ていたが、体躯は更に肥大化しており、顔から伸びる三本の針は巨大な水色の角と化し、体色も紫に変わっていた。



「・・・嫌な感じがすると思ったら、またてめぇを拝む羽目になるとはな!ここで会ったが五千年目、俺がぶちのめしてやる!」
『隼薙、正確には「百年目」だ。』
「うっせ!俺にとっちゃ五千年くらい前の事なんだよ!くらいやがれ!!」



・・・と、地表に現れたジャイガーの遥か頭上に唐突に竜巻が起こり、ジャイガーを襲う。
続けて、真空の皮膜を纏った風使いの男・初之隼薙が音速にも近いスピードでジャイガーの前に舞い降り、もの言う風車の人口「G」・アークがコンマ1秒で制御・生成した無数の真空の刃を投げ放ち、ジャイガーの全身をズタズタにして行く。
完全に出鼻を挫かれながら、ジャイガーは尾を隼薙に向け、先端に付いた太く鋭い針を飛ばすも、針が刺さる寸前に隼薙の姿は消え、ターゲットを失った針が地に刺さったその時には既に、隼薙はジャイガーの目と鼻の先にいた。
全身の空気抵抗を無くし、瞬間移動したかのような神速で移動する隼薙の迅(はや)技「隼舞些(はやぶさ)」だ。



『例え、平行同位体であろうとも・・・穂野香様を、アンバー殿を傷付けた貴様だけは、永遠に許さん!』
「そう言う事だ!アーク!だからおとなしく、地獄に帰りやがれぇっ!!ジャイガーァァァァァ!!」






「花・・・木・・・空・・・
風・・・雲・・・太陽・・・
虹・・・海・・・浜辺・・・
森・・・石・・・砂・・・
大地・・・」



神奈川県・由比ヶ浜。
まるで地球の自然全てを懐かしむかのように単語を呟く「侍」・・・蘭戸弦義が、そこにはいた。



ズゥゥグゥヴヴヴヴヴヴヴ・・・



弦義の前には、一体の怪獣がいた。
前足が筋骨逞しい二の腕の如く肥大化し、背中から生えた何処か禍々しい青白い結晶を筆頭に全身の至る所から結晶が突き出した、頭に斧のような赤い一本角を持つ、明らかに地球生まれでは無いと分かる蒼い四足の怪獣だ。
この怪獣は、一定以上の文明力を持った星を飲み込み滅亡させてしまう、宇宙浮遊物体「スフィア」の尖兵にして、星を飲み込む第一段階とも言える精強融合獣・スフィアザウルス。
バガンが破壊した時空間の隙間より入り込んだ、招かねざる存在・・・侵入者(インベーダー)である。
更にスフィアザウルスの周囲には、黒い網目模様が貼り付いた水色の泡のようなスフィアの兵隊・スフィアソルジャーが無数に浮遊していた。



「・・・華が、ジュリアが、皆が愛したこの地球(ほし)を・・・護る!」



弦義がスフィアザウルスへ走り出すと共に、スフィアソルジャー軍団もまた弦義へ接近しながら緑色の光線を一斉に発射するが、弦義は腰元の刀を取り出すと、鞘に納めたまま光線を悉く弾き、足早にスフィアソルジャーに飛び乗って行って足場にしながら、スフィアザウルスを目指す。
スフィアザウルスは両前足を上げ、倒れ込むように足を使って弦義を押し潰そうとするも、弦義の「剛龍」の眼はスフィアザウルスの「気」を全て把握し、あえて全身の力を抜く事で弦義は圧力の衝撃のままに宙を舞い・・・



「斬龍塵。」



素早く刀を抜刀、その勢いを右手の鞘に込めて旋回し、数多のスフィアソルジャーを真空の刃で薙ぎ払った。
そのまま弦義は無駄の無い動きで鞘を腰元に仕舞いつつ、刀を両手で持って振りかぶり、スフィアザウルスが角から放つ赤い電撃を切り裂きながら、スフィアザウルスへ迫る。



「・・・激龍剣!」








高知県・馬路市。
まるでアンバーが四国から離れたタイミングを伺うかのように、以前この街に現れてゴジラ・モスラのタッグに破れた電磁怪獣・スタンガが現れ、街を破壊していた。
人々は再びのスタンガの脅威に怯えながら、一目散に街から逃げて行く。



ギィィィィィオン・・・



「『電磁』の怪獣・・・不愉快だな。」



しかし、只1人・・・逃げ惑う人々とは逆にスタンガへゆっくり歩み寄って行く、醜悪な地球外生命体の狩猟者(プレデター)を模した仮面を着けた黒衣の男・東條凌は、スタンガを前にしても一切臆す事無く、光を身に纏うと真っ直ぐにスタンガへ向かって行った。
スタンガは顎からサンダー・スパークを放ち、凌へ広範囲の放電攻撃を仕掛けるも、凌は最小限の動きで電撃を回避しながら瞬く間にスタンガに詰め寄り、光を纏った手刀の一閃でスタンガの両顎を切り裂く。



ギィギャオオン・・・



「単調過ぎて欠伸が出る・・・『あの男』に比べてな?」



そのまま凌はスタンガが苦し紛れに伸ばして来た四本の手を光の刃で切り刻み、刃を即座に数十メートルにまで伸ばすとスタンガに唐竹割りを仕掛け、スタンガを両断した。





「へっくしょい!!」



同刻、上海の戦場に響く1人の男・・・瀬上浩介の、呑気なくしゃみ。



「こっちは冬だったから、温度差で超久々に風邪引いたか?まっ、それじゃあ始めるか・・・!」



右手の人差し指で鼻を擦りながら、瀬上が左手をクィーンギドラ達へ向け、何かの波動が発せられるや・・・クィーンギドラ以外の全ての取り巻きギドラが苦しみ、その場に倒れ込んだ。
瀬上が発したのは、ギドラ一族の全身を動かす特別な電波「Aサイクル電波」を阻害する特別な電磁波・・・つまり、ギドラ一族の天敵である「N波」とほぼ同等の作用を持つ電磁波で、瀬上はギドラ一族の体内を走る「Aサイクル電波」を見て即座に阻害作用のある「N波」を再現した電磁波を発したのだった。



キィエエ・・・ウン・・・

キィエエ・・・ウン・・・



クィーンギドラは「N波」の影響を受けにくいものの、多少は活動に異常をきたす程の効果はあり、何よりも自分お抱えの「我が子」の精鋭達が一瞬で行動不能にされた事から、見て分かる程に狼狽えていた。



「レギオンにこんなのした事無いから、ちょっとだけ気が引けるけどな、世界平和と俺の準備運動の為に・・・もれなく倒されとけ!」



キィンォォォォォォォヴヴヴッ・・・



追い打ちを掛けるように、瀬上の「電磁」によるコミュニケーションによって協力関係を結んだ、この世界のレギオン達が取り巻きギドラ達を襲っていた。
ソルジャーレギオンはデス・アクアギドラに群がって全身を蝕み、マザーレギオンは右手を銃のように象った――親指・人差し指を伸ばしながらそれ以外の指を曲げた――瀬上と共にマイクロ波シェルを放ってソルジャー・ナイトギドラを蒸発させて行く。



ゲェハアアアアウウン・・・



突然の救援、と言うより全てを抜き去る程の力を見せる瀬上とレギオン達の活躍にゲハラは唖然としつつ、全身の毛を伸ばすと共に硬質化させてギドラ達を串刺しにし、クィーンギドラが自棄気味に放った三方からの超音波光線を、中国雑技団のパフォーマンスの如き巧みな身のこなしで回避した。



――なんじゃ、あいつらは・・・?
とりあえず、ワテの分もちったぁ残しとけよぉー!!
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好釦