‐GENOCIDE‐「負」、再ビ ダイジェスト版










スヴゥゥゥドゥゥゥゥゥゥ・・・



カマソッソの激しい猛攻に耐え続けながら、モスラは密かに待っていた。
逆転の一手へと繋がる糸口が紡がれる、その瞬間を。



スヴゥゥゥ・・・ヴグァァッ!



そして、その時は訪れた。
モスラへトドメの一爪を与えようと、カマソッソがモスラへ両足を向け迫った・・・瞬間。
カマソッソの全身に雷雨の雷とは違う、激しい緑色の雷撃が襲い、悶え苦しんだカマソッソはモスラへのトドメの機会を失った。
そう、モスラはカマソッソの攻撃を受けながら自らの電磁鱗粉を密かに撒き続ける事で、カマソッソを守る筈のハリケーンを利用し、カマソッソに遅効性の反撃を喰らわせたのだった。



カグィィィィオウン・・・



カマソッソが怯んだ隙にモスラは「ファイヤー」体に変身し、今度は炎をその身に宿した状態でハリケーンの中を高速で飛び回り、渦巻く高熱によって発生した巨大な上昇気流・・・熱き嵐がハリケーンを消し去ると共に、カマソッソを陽光の元に晒す。
苦手とする太陽の光を浴びたカマソッソは悲鳴を上げながら無抵抗に宙を舞い、そのままモスラの「ファイヤー・ヒート・タックル」に貫かれ・・・黒い煙と化し、消え去った。



スドゥゥゥゥゥゥ・・・!



トラック諸島に光を取り戻したモスラは「フェアリー」体になり、急ぎバガンの暴威に晒される日本へと向かった。



クィキウィィン・・・








グァギュァァァァァァ・・・



ジグラが発射した液状弾を、マンダは自らを液状化する事で回避し、海に溶け込みながらジグラへと迫って行く。
ジグラは瞬時にUターンし、高速で海上を滑ってマンダから逃げようとするが、海と一つになったマンダから逃れられる筈が無かった。



『もう、逃がさないよっ!
ひっさつ!!マンダアタック・・・』



ヌゥガァゥゥゥ・・・!



『パート!ツ~~~~!!』



即座にジグラの背後に付いたマンダはジュリアの力と意思を受けて、液状の尾を縦では無く横へ力強く振り払い、水上のジグラが逃げ去る前に捉える事で、渾身の一撃を与えた。



グギャァァァァァ・・・!



ジュリアが即座に編み出し、それにマンダが応えた「絆の軌跡」を想像出来なかったジグラは、無様に空中を舞い上がった末に爆散。
マンダはジグラの最後を一瞥する事も無く、遠い大島に置き去りにしてしまったジュリアの元へ、急いで戻って行った。
このコンビにはまだ、やるべき事があるからだ。



『マンダ~!急いで~!わたし、泳いで先に行っちゃうよ~!!』








シィアアアアアアァウン・・・



ジーダスのハープーン舌を回避した矢先にフォライドのスクリュー・レイを背中に受け、そのままギャオスは福岡タワーへと押されて行く。
その福岡タワーの頂上にはジーダスが虎視眈々とギャオスを待ち構えており、正に「前門の虎、後門の狼」状態だ。



「ぐうっ・・・でもこれであいつらは、完全にボクらを倒せるって油断してる・・・だからこそそうは、させない!一か八かだけど、『アレ』をやるしかない・・・!」



背中の苦痛に耐えながら、樹とギャオスは一考を巡らせ、「機会」が来るのを待った。



ジイィグオォォォォヴゥ・・・



ジーダスがギャオスの首を狙ってハープーン舌を繰り出す、その機会(チャンス)を。



「・・・今だ!ギャオス!」



ギャァオォォォォ・・・



ハープーン舌がギャオスの喉を貫く、その刹那。
ギャオスの体が一瞬で消え、行き場を失ったハープーン舌はそのままフォライドの右翼を貫き、逆にスクリュー・レイはジーダスの頭に直撃した。
襟巻を散らしながらジーダスは福岡タワーから、ハープーン舌の腐食毒によって右翼の羽根がみるみると溶けたフォライドは福岡ドーム付近へと落ちて行き、二体を眼下に太陽を背にしたギャオスが、福岡タワーの遥か上空から二体を狙う。
『火』と『風』の元素を合わせた、瞬時に全身を気体に変えての瞬間移動・・・ギャオスの新たな技だ。



「かかった!付け焼き刃のコンビネーションの分際で、ボクとギャオスに勝てるなんて、思うなああああっ!」



樹の思いを力にし、ギャオスは槍状となって旋回したまま超高速で急転直下。
まずジーダスを背中から貫き、続けて地上にぶつかる前に直角に上昇し、フォライドの腹を貫く。



ジイィガァァァァァゥ・・・!

シィアアウン・・・!



ジーダスとフォライドは地上にぶつかる寸前に、同時に爆発四散した。



「はぁ、はぁ・・・やったぞ。ボクとギャオスであいつらを・・・倒せた!よし!」



息を荒げつつ、小さくガッツポーズをして二対一のアウェーな戦いを制した事を喜ぶ樹の元へ、ギャオスが飛来する。



「ありがとう、ギャオス・・・けどまだ、これで終わりじゃない。ボクは大丈夫だから早く、バガンの所に行こう!」








「えっ・・・!?」



と、憐太郎が見たのは非現実が満ちたこの世界でもあり得ない・・・そして彼にとっては夢のような光景であった。
「婆ヰ羅ス」と書かれた白黒の球体のような巨大な浮遊物体と、その上に鎮座する烏賊のような金色の怪獣。



「レン、あれってまさか・・・」
「バイラス円盤に・・・キ、キングバイラスだ!!」



キィイィィィィィィ、ングッ・・・



そう、そこには憐太郎が愛してやまない特撮怪獣映画シリーズ「バイラスシリーズ」に登場するバイラス円盤、加えて「バイラスの王」と呼ばれるバイラス人にとって神の如き存在・キングバイラスがいたからだ。
バイラス人は先鋭化した頭と八本の長い触腕、つまりは烏賊に似た銀色の体が特徴的だが、キングバイラスは前の四本の触腕が小さく、顔面は顎髭を蓄えたかのような無数の触手が生えた、クトゥルー神話に登場する旧神「ダゴン」の頭部に似た形をしているのが大きな違いである。



「夢みたいだ・・・!まさか、キングバイラスと一緒に戦えるなんて!うおおおおおおおっ!!」
「もう、レンったら分かりやすく力が溢れてる・・・でも、私も力を一杯貰えた!やろう!レン!ガメラ!」



ガメラを取り囲んでいたクモンガ軍団は、いきなりの増援に狼狽えながらも、羽個体がキングバイラスに向かって行く。
それに対し、キングバイラスは小さな触腕を掲げるや、キングバイラスの頭上に雷雲が起こり、雷雲から落ちた雷が羽クモンガ達に降り注ぎ、羽クモンガ達を全て焼き払った。



ハキャァッ・・・!



「す、凄い!キングバイラスの技『インドラの矢』だ!」



憐太郎が映像の中で何回見たか分からない、キングバイラスによる「裁き」の実演に目を輝かせていると、キングバイラスは頭部の先端を開いてさながら皮を剥いたバナナのような出で立ちとなり、内部に溜まったプラズマの光球をガメラへと発射した。



「「えっ!?」」



紀子と憐太郎が動揺する間に、光球はガメラに直撃。
ガメラの全身を、激しいプラズマの電流が走る。



「そ、そんな!?ガメラ!紀子!」 
「・・・あれ?全然苦しくない。むしろ、力が湧いて来る・・・!」
「えっ?それってどういう・・・あっ、もしかしてこれって・・・」
「そうよ、レン。これは黄龍と戦った時、モスラの電磁鱗紛を受けて力を取り戻せたのと全く同じ・・・」
「『雷』の力だ!じゃあ、この雷を力にすれば・・・!」



グァヴウゥゥゥン・・・!



腹の紋章を光らせたガメラは、全身の雷を腹へと収束して行く。
この上無い危機を察したクモンガ軍団は、一斉にガメラへ突撃を掛けるが・・・



「ガメラ!私とレンの愛を、雷に乗せて・・・!」
「今こそ、解き放て!!」
「「アルティメット、プラズマ!!」」



ガメラは収束した雷と自らの炎を融合させ、腹から極太の光線「アルティメット・プラズマ」として発射した。



キャキャァッ・・・!

カキャァッ・・・!

キャァカハァッ・・・!



雷炎に焼き尽くされたクモンガ軍団は、一体残らず消滅。
クモンガ軍団を全滅させ、ガメラと憐太郎・紀子は漸く一息付いた。



「「はぁ・・・」」
「あ、ありがと・・・あれ?キングバイラスがいない!」
「本編みたいに、瞬間移動したのかしら・・・?」
「そんなぁ・・・折角お礼とか写メとかしたかったのに・・・」
「それは残念だけど、キングバイラスは確かにいて、私達を助けてくれた。それは紛れもない事実よ、レン。今は記憶に残しておいて、私達の本当のやるべき事をやるわよ。」
「そうだね、紀子。紀子もガメラも、ありがとう!よし、早くバガンの所に行くぞ!」



ヴォウァァァァォォオン・・・






キィイィィィィィィ、ングッ・・・



『それにしても、これってただのヘンな避雷針だと思ってたのに、まさか動けるなんて!やっぱり、パレッタさんの科学力はスゴいわね!』
「うーん・・・」
『ちょっと、ソウ?聞いてる?』
「あっ、ごめん。ぼくのご先祖様ってあんな人なのかなぁ、って。」
『一応「平行同位体」って言う、そっくりさんみたいな感じらしいわよ?でも、限りなく近いっちゃ近いのかぁ・・・じゃあ、次はワタシのご先祖様のそっくりさんに会いに行くわよ!』
「えっ、でも・・・いや、これはぼくが言っても聞かないな。そう、きっとそうだ。」



「婆ヰ羅ス」円盤の中、研究室のような一室。
何処か憐太郎と紀子双方の面影を感じる少年・ソウと、樹を褐色の外国人にしたかのような少女・ネウの会話の後、円盤はキングバイラスと共に何処かへと去って行った。
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好釦