‐GENOCIDE‐「負」、再ビ ダイジェスト版








――・・・ほう?この世界の地獄には、まだまだ面白い駒があるじゃないか・・・四神が存在する以上、因果としては当然か?
さぁ、甦れ・・・森羅万象を司る超獣、ガイアの化身よ!






ギャァヴォァァァァオォォン・・・



「・・・!あれは!?」
「嘘だろ・・・!」
「そ、そんな!」



バガンが志真達の前で新たに甦らせた「駒」。
それは、2年前にゴジラ達日本三大怪獣と、ガメラ達四神が力を合わせて漸く撃破した強大過ぎる存在。
アトランティス大陸が生み出した四神のプロトタイプにして、四大元素と「雷」、全てを統べる超獣・・・黄龍であった。








「うおっ!?」
「志真の影から・・・まさか、お前は?」
「チェリィちゃん!」
『はい。ほんとうにおひさしぶりデス、みなサン。「反物質世界」からここまでくるのに、じかんがかかりましたが・・・じじょうはわかってマス。「平行同位体」の、このせかいのレリックがきているデスね?』








『このせかいにまで、マイトレアがきてくれるかはわかりまセン・・・だから、ワタシたちでやってやるデス!
みんな、いきますよ・・・』



チェリィは決意の眸を瞼で閉じ、一瞬でレム睡眠状態に入る。
それと同時に、チェリィの頭上に巨大な時空の歪みが発生し、歪みからさながら幽霊のように半透明な、志真達が見覚えの無い怪獣――二本足のガマガエルのような怪獣、包丁頭の四つ足の怪獣、全身が長髪で覆われた怪獣、一つ目に手足が付いた怪獣――が続々と飛び出して来たかと思うと、何処かへと飛び去って行った。








『さらに、ワタシはワタシを・・・「反物質世界」での「高次元生命体」でいちばんぴったりなすがた・・・つまり!あなたとおなじやりかたでやってやるデス!
ワタシは、いま・・・「影」のモスラになるデス!
カフカ・・・ちからを、かして!』



・・・グオオォォォウン!



チェリィが自らの影に両手を置くや、彼女の体は影の中へと沈んで行き、姿を消した。
それと同時に、取り残されたチェリィの影は形を変えながらみるみると大きくなり、中央に金色の光の塊を宿した、コンビナート一帯を覆える程の翼を持つ巨大な蛾・・・さながら、「影」のモスラと呼ぶべきモノが生まれ、地面を抜け出し飛び上がった「影」のモスラは真っ直ぐバガンへと向かって行った。



『『まさか、「フツア」!?』』
「フツア?」
『かつて、アトランティスやムーなどの超古代文明が滅んだ後、この地球に再び生命をもたらした、原始のモスラ・・・それが「フツア」です。』
『私達も、先祖から伝え聞いただけの存在ですが・・・その姿はまるで影そのものが、モスラを象っているようだったとされています。』
「そうなんですか・・・その『フツア』とあのチェリィちゃんが似ているのは偶然・・・いや、きっと必然なのかもしれません。『モスラ』とは、世界を『守る』為の存在・・・それは、どの世界でも一緒なんですから。」
『『私達も、そう思います。』』








バガンは頭の二本の牛角から、赤と青の二つの雷(いかずち)を放ち、「影」のモスラに浴びせる。
が、雷に耐えた「影」のモスラの中央部の金色の光が強まったかと思うと、全く同じ赤と青の雷が両羽から即座に発せられ、バガンの胸元に直撃した。



――これは・・・最強の後出し、あらゆる攻撃への耐性と反射・・・確か、「畏怖(イフ)」と言ったか?
面倒・・・だが、面白い存在を飼っているものだ!
その猿真似、何時まで続くか試してやろう!


『あなたをたおすまで、なんどだってやってやるデスよ!』







ガァバァハハハハッ・・・



キリキリキリ・・・!

ギャララララ・・・!



アメリカ・ニューヨーク。
一瞬にして宇宙最強の怪獣一族・ギドラ一族とギドラの王・キングギドラに支配された、合衆国を代表する大都市にまるで高笑いしているかのような素っ頓狂な鳴き声と、遠雷の光が響き・・・幾つも重なった悲鳴と共に数十ものソルジャーギドラと、数体のナイトギドラが閃光の中に消え失せた。



カァララララララ・・・

キィリリリリリリ・・・

カラララララ・・・



予想外・・・否、まるでかつて自らを地獄に墜としたゴジラの如き活躍・・・所業に怒ったキングギドラは頭の角を電流と共に瞬かせ、ソルジャー・ナイトギドラ諸共引力光線で雷の主に攻撃する。
だが、引力光線も閃光(フラッシュ)のウイニングランによって悉く避けられ、ただ手駒を失うだけとなってしまった。
そして、キングギドラが再度放った引力光線を雷を纏った拳で受け止め立ち向かう、ガマガエルに似ながらまるで喧嘩屋のような振る舞いをする怪獣、その名はガバラ。
チェリィが送り出した援軍の一体にして、かつての親友であった最強の喧嘩屋の男・タダシの「夢想」から生まれた、最強の「KAIJU」だ。






ゲェハアアアアウウン・・・



中国・上海。
ギドラ一族の女王・クィーンギドラとその取り巻きのギドラ一族により、すっかり女王の住処となりつつあったコンクリートジャングルに幾多もの大きな「毛玉」が飛んで来たかと思うと、「毛玉」達が取り巻きギドラ達を圧し潰して行き、ギドラ達の死体から転がり落ちる「毛玉」が道路を割る。
「毛玉」は全て鋼のように硬質化し、鉄球のように化していたのだ。



キィエエエエウン・・・

キィエエエエウン・・・



あまりにも異質でかつ、自らの「楽園」を毛だらけにされると言う侮辱的な出来事に怒り心頭のクィーンギドラは飛翔し、尾にエネルギーを集め「ツイン・ウィップ」で無礼者を叩こうとする。
しかし、その無礼者は即座に両手から毛を伸ばし、鋼より硬く絹糸よりもしなやかな体毛で逆にクィーンギドラを叩き飛ばしてしまった。
この、全身が毛で覆われながら何故か頭頂部のみに毛の無い、率直に言えば「禿げた」身なりをした怪獣は、チェリィの援軍の一体である長髪大怪獣・ゲハラ。
チェリィのかつての親友、チャイニーズヤクザを体現したような男・シュガの「夢想」から生まれた「KAIJU」である。






ギィィィィィィン・・・

グァララララララ・・・



ロシア・モスクワでは、つい先程までギドラ一族の帝王・カイザーギドラとデス・アクアギドラ軍団による蹂躙劇が繰り広げられていた・・・が、何故か突如空から現れた「目」を見たデス・アクアギドラ達は急激な睡魔に襲われ、そのまま深い眠りに付いてしまった。
億年単位で行って来た、これまでの外宇宙での戦いでは無かった想定外の事態に、カイザーギドラは驚愕しながらもこの事態を引き起こした「目」を眼前に構え、三つの頭から反重力光線「デストロイド・カイザー」を撃つ。
しかし、反重力光線は全て「目」に吸い取られてしまい、逆に「目」からの返しの一撃である紫の光線を首元に受けたカイザーギドラはよろめく。



ギャキュキュキュウ・・・



「不条理の塊」・・・そう形容するに相応しい、手足のようなモノが付いたその「目」の正体、それはガンQ。
ガンQもまたチェリィのかつての親友、穏やかな細目の男・ダイコーの「夢想」から生まれた「KAIJU」であった。






コキュャア・・・



三重県・伊賀市。
伊賀流忍術の発祥地として知られる、かつての忍の里で、口から火炎を吐きながら大蟻怪獣・アリブンタが暴れていた・・・が、そんなアリブンタへ向かって何処からともなく飛んで来た二つの巨大な手裏剣が火炎を割き、アリブンタの両肩に的確に突き刺さる。



ングウゥゥェェェェッ・・・



痛みに悶絶するアリブンタの前に、忍ぶ事無く現れた手裏剣を投げし者。
それは忍者・・・では無く、文字通りの包丁頭につい視線が奪われる、気怠そうな目をした緑色の四つ足怪獣だった。 
アリブンタは口からの火炎を包丁怪獣へ向けて吐くが、包丁怪獣は鈍重そうな雰囲気からは想像が付かない程に身軽に大跳躍して火炎を避け、そのまま前方へ回転しながらアリブンタへ突撃。
すかさずアリブンタは体を捩らせて回避しようとするも、包丁怪獣は手裏剣が収納された包丁の左右の穴を開いて手裏剣による不意打ち攻撃を仕掛け、手裏剣は見事アリブンタの顔に突き刺さり、アリブンタが痛みに怯んだ隙に振りかぶった包丁の一閃で、アリブンタの両手の鋏を切り裂いてしまった。



ングゥゥゥッ・・・



この、忍のようで全く忍ばないユニークな包丁怪獣はギロン。
チェリィが送り込んだ援軍の一体であり、彼女にとって永遠に忘れられない存在である、ゆるやか系な「元恋人」の女性・アキの「夢想」が残した、「KAIJU」と言う名の忘れ形見だ。
6/20ページ
好釦