夏の日の君に・・・in真地町
真夏のとある日曜日の昼、三重県・真地町。
第十地区・真地海水浴場、シーサイドカフェ「GYOTTOSU」前・・・
穂野香「ん~っ!!このサンサン照りの太陽、海水浴にぴったりね~!夏が来た、って感じ!パレッタさんもいい所知ってるじゃない♪」
紀子「そのパレッタさん曰くは、『どきっ☆女だらけの異世界ミステリー海水浴ツアー』らしいけど・・・ここ、異世界なのよね?今の所、普通の日本の砂浜だけど・・・あそこにいる外国の人、もしかしてハーフエルフ?」
樹「そもそも『女だらけの海水浴』に、ボクがいるのもおかしいと思うんだけど。それともボクがいるから、『女だけ』じゃなくて『女だらけ』って事なのかな?」
ジュリア『わたし、早く泳ぎたいな~!他のみんな、早く来ないかな~?』
樹「・・・ツッコミ所、もう一つあった。あのさ、なんでジュリアがスク水着てるの?紀子?」
紀子「あら、どうして私に聞くの?」
樹「いや、4人の中でこんな事考えるのってボクの知る限り、君しかいないんだけど。ジュリア、その水着って紀子から着るように言われた?」
ジュリア『うん。のりこ、これわたしぐらいの子がみんながっこうで着てる、って言ってたよ?』
樹「ううん、確かに間違いじゃないけど・・・もっと昔の話と言うか、何か他意を感じずにいられないの、ボクだけ?」
穂野香「まぁ、私も他意は感じたけど変に豪華な水着を着て、変な人に狙われるよりマシじゃない?一応・・・年相応の服だし。年不相応に出てる所はあるけど。」
紀子「だからいいのよ。」
ジュリア『?』
樹「やっぱりボク、凄く他意を感じるなぁ。と言うか弦義さんとか華さんとかに、止められなかったの?特に華さんとか、色々言ってきそうだけど。」
紀子「それは大丈夫。そもそも弦義さんと華さん、ジュリアがここに来てる事自体知らないから。普通に私達と海水浴に行ってる事になってるみたいだし、スク水は更衣室で渡したし。そうよね、ジュリア。」
ジュリア『うん!だって、つるぎもはなもぜったいダメ!って言うもん。でもわたし、みんなとよその海でどうしてもあそびたくって・・・だから、ウソ付いちゃった。けど次からぜったいウソ付かないから、いつきもほのかもヒミツにして?おねがいっ!』
穂野香「そっか・・・まっ、ジュリアも中学生になったし、昔みたいな箱入り娘じゃ無くなったんだから、思い切って遠出してみるのもいいんじゃない?『可愛い子には旅をさせろ』精神よ!それに私もお兄ちゃんがうるさそうな所に行く時、たまに嘘付いてるし!」
樹「それはフォローする側としてはちょっと問題あるし、ボクは弦義さんと華さんの気持ちも分かるかな?でもジュリアの気持ちも凄く分かるから、次は嘘を付かないって約束出来るなら、ボクも秘密にしとくよ。」
ジュリア『ほんと!?ありがと~!!ほのか~!いつき~!』
紀子「じゃあ、穂野香と樹に指切りで約束しよっか。勿論、私も秘密にするわ。」
ジュリア『ありがと、のりこ!じゃあつぎはウソ付かないでちゃんとつるぎとはなに言うって、やくそくっ!』
穂野香「指切りげ~んま~ん、ウソ付いたら、針千本の~ますっ!」
樹「指切った、っと。」
穂野香「よ~しっ!約束も終わったし、私達も海を楽しみまくるわよ~!」
ジュリア『お~っ!!』
樹「ちょっと待った、パレッタさんは確かボク達以外にも来る、って言ってたよね?なら全員来るか、せめてパレッタさんと合流してから海水浴を始めた方がいいと思う。」
紀子「忘れがちだけど、ここは異世界よ。何が起こるか分からない・・・例えば、あそこの海の家にイカみたいな姿をした女の子がいるかもしれないわ。」
穂野香「えっと、紀子?それ多分『イカ娘』よね?」
樹「紀子お得意の、いつものアニメネタ?いくら異世界でも、そんなピンポイントな存在いるわけないよ。」
ジュリア『う~ん・・・早くあそびたいけど、わたしみんなが来るまでがまんする!』
穂野香「ジュリアがそう言うなら、私も待たないとね・・・じゃあ、あそこのカフェで待ってよっか?それにしても、砂浜にカフェがあるなんてオシャレよね~。えっと・・・ギョ・・・」
樹「『ギョットス』、かな?何処かの言葉?」
ジュリア『かいじゅうのなまえみたいで、おもしろいね!』
紀子「何かの怪獣の、ボツネームかもしれないわね。」