拍手短編集







どうも、ジャバンテレビアナウンサーのホニャララです。
本日は・・・そういえば、私の存在をどれだけの方が覚えていらっしゃるのでしょうか・・・?
前回無人島に迷い込んでから、約一年もの月日が経っていますから、忘れられても無理はないですが・・・
皆さんの記憶から消えている間、私は本気で仕事を止めようと辞表を書こうとしたり、妻に「仕事を辞めるなら、私も妻を辞める。」と離婚届を差し出されたり、それから・・・あっ、ついつい長々と私情を失礼致しました・・・





さて、いつの間にか無事に無人島から脱出した私は今回、茨城県のつくばにある「G対策センター」にやって来ました。
この中に去年活躍された「the Next『G』」の方々がいると言う事で、早速あの質問をしに行こうと思います。
また、G対策センター内は撮影禁止と言う事ですので、音声とテロップのみでお楽しみ下さい。






『どうも~。』
『うわっ、だ、誰だ!』
『私はジャバンテレビアナウンサーのホニャララと言います。本日は「新世紀超怪獣大戦~the Next『G』~』」を彩る貴方達に質問をしたく、参りました。』
『えっ、あたし達に質問?』
『はい。』
『すみません、僕達はGフォースの取材が来るからここで待機していてくれ、と聞いていたのですが・・・?』
『・・・ドッキリとは、そういう物です。』


――は、謀られた・・・


『さて、そろそろ質問に入りたいのですが・・・宜しいですか?』
『うーん・・・麻生、みどり、どうする?』
『別にいいんじゃない?こんな機会、あんまり無いんだし。』
『・・・本当の目的が分かった以上、もう仕方ないか・・・』
『ありがとうございます。では、早速・・・』

[「無人島に一つ、持って行くとしたら何を持って行きたいですか?」]






『まず、桐城健さんからお願いします。』
『おっ、俺か。えっとな・・・』



・桐城健さんの答え
「やっぱ、物なんていらねぇぜ!この拳があれば何でも切り開ける!」


『やっぱり・・・健ならそう言うと思ったわ。』
『桐城、君はやはりもう少し物事を考えてみるべきだ。無人島には文明の利器は何一つ無い。そんな所に手ぶらで行くのは最も無謀で・・・』
『だぁーっ!麻生は黙ってろぉ!』
『・・・次、宜しいでしょうか?』



・麻生将治さんの答え
「・・・まず、この質問自体が間違っています。何故危険だらけの無人島に、一つしか物を持って行ってはいけないのか。『備えあれば憂い無し』とも言いますし、せめて五つ程度にして・・・」


『おい、麻生。おもしろ半分の質問に本気で答えんなって。』
『麻生君って、やっぱり現実的ね・・・』
『僕は一度、無人島でサバイバル訓練を受けています。だから無人島と言う所の恐ろしさが分かるんです。ヘリコプターを用意しているとか、何かサポートがあるのなら・・・』
『だぁーっ!お前の言いたい事は分かったから、やっぱり黙ってろ!早く次だ!』
『は、はい・・・』



・手塚みどりさんの答え
「えーっと・・・持って行きたい物っていっぱいあるのよね・・・でも、麻生君の答えを聞いたらそうも言えないし・・・とりあえずペットボトルを持って行ったらいいって聞いたけど。」


『ペ、ペットボトル?』
『あら、わざわざ何にも持って行かないあんたに比べたら、まだましだと思うけど?』
『ペットボトルは有効でしょう。無人島生活において一番大切な事は水の確保。ペットボトルがあれば、湧水等を持ち運びする事が可能です。』
『でしょ?健、あんたも少しは考えなさいよ~。』
『お前ら・・・じゃあ、みどりは他に何を持って行きたかったんだよ。』
『えっと・・・携帯電話とか、お気に入りの化粧品とか、着替えの服とか、あとは・・・』
『・・・とりあえず、お前も「一つだけ」が無理なのは分かったぜ・・・』

[ここで、CMです。]






『・・・では、御三方の質問も終わりましたので私は・・・』
『タケル、暇ならこれからデルスティアの調整に・・・って、これは?』
『おお、これはちょうどいい。私はジャバンテレビから来たホニャララと申します。今この御三方に話を伺っていたのですが、折角なので貴方にも話を伺っても宜しいでしょうか?』
『えっ、えっと・・・』
『む、睦海は巻き込ませねぇぞ!用が済んだなら帰ってくれ!』
『睦海さん?あれ・・・手元の資料には「シエル・シス」と書いてありますが・・・』
『えっと、その名前は彼女の仮名で、「睦海」が本名です。』
『なるほど、日系な本名ですね。外見が海外系の方に見えますので、そこまで見抜けませんでした・・・それで、お話の方は・・・?』
『無理だ!とにかく無理だっ!』
『でも、お話って言っても質問を一つされただけよね?だったら別に大丈夫じゃない?』
『なっ、何言ってんだみどり!俺達、騙されて・・・』
『私なら大丈夫です。ただちょっと用事がありますので、短めでお願いします。』
『む、むつ・・・』
『健、それじゃあ親馬鹿な父親みたいよ~。』
『お・・・親馬鹿!?』
『それでは、シエ・・・睦海さんにお聞きします。無人島で・・・』


――・・・みどりの奴、ほんとこういう時に限ってちゃっかりしやがって・・・



・睦海さんの答え
「じゃあ・・・カメラで。」


『本来なら無人島に不要な物、けど・・・』
『まぁ、睦海ちゃんだしね。』
『・・・そっか!睦海なら全然大丈夫だな!』
『カメラとは、また珍しい答えですね。』
『はい。出来れば、この時代の証拠を残しておきたいので。』
『中々深い事情がある様ですね・・・分かりました、ご協力ありがとうございました。ではでは、私はここで・・・』






「タケル、あの人は?」
「言ってた通りだ。Gフォースの取材に来たとか言って、俺達にドッキリ仕掛けやがったんだよ。」
「そう・・・だからあんなに慌ててたのね。」
「違う意味、かもしれないけどね~。」
「なっ・・・だ、誰が親馬鹿だ!」
「親・・・馬鹿?」
「ち、違うぞ!俺はそんな歳じゃねぇ!」
「・・・?」


――・・・墓穴を掘ったな、桐城・・・






ではでは、つくばG対策センターよりホニャララがお送りしました。
ところで私は、どうやって元の世界に帰ればいいのでしょうか・・・?

[ま・・・また来週!]
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好釦