日省月試‐典零寺ハルカの気になるあの男子‐











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皆さん、こんにちは。
私は大阪の阿乃護路(おのごろ)と言う所に住んでいる、典零寺 遥(てんれいじ ハルカ)と言います。
私が通っている「聖アンファンテ学園」は「汝達、太陽の子となれ」をスローガンにした、数々の偉人の方々が通っていた日本中にその名を轟かせる大阪の名門校でして、おばあちゃんと普通に2人暮らしをしている私は偏差値61の難門を何とか切り抜けながら、いつかおばあちゃんを楽させられる立派な大人になる為に、日々学業を頑張りながら青春を謳歌する毎日を過ごしています。
そんな聖アンファンテ学園の私のクラス・2年3組に、最近1人の男の子が転校して来まして・・・






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「おはよう、ハルカ。」
「おはよう、ヒロフミ君。」



この男の子が、転校生の弥杜 博文(みと ヒロフミ)君。私の友達です。
ヒロフミ君は一ヶ月程前に転校して来たのですが・・・正直に言いますと、少しだけ派手めな髪色と八角(スター・アニス)に似た黒いペンダントをいつも付けている所以外は、取り立てて目立つ男の子ではありません。
テストはいつも赤点間近で、運動も平均くらい。クラスでも私以外のクラスメイトとはあまり話さず、休み時間はスマホを触っているか、ルーズリーフに何かしら絵を描いているか・・・



「・・・Zzz」



ああして、教室で居眠りしているか・・・ですね。ちょっと眠たそうだとは思っていましたが、今日は早かったです。
いつも描いている絵は美術家の方かと思うくらい凄く上手くて、美術は毎回成績が良いのですが、自分から話さないので知っているクラスメイトは恐らく少ないです。
私の印象としては、控え目ですけど誰かの助けになるのが嬉しいとよく言っているとても優しい男の子で、話してみれば嫌な言動はしませんし、絵を描いている時も本当に楽しそうなので・・・悪い印象が無い人、と言う感じでしょうか。
どちらかと言えば、あえて目立たないようにしている感じもあります。
ただ・・・そんなヒロフミ君が最近、一部の生徒達からひっそりと注目を浴びていまして、その理由が・・・






「・・・チハルちゃん、もうそろそろ寝かせてよぉ・・・そんなに言わなくても分かってるからぁ、アキミ・・・トウカお姉ちゃんはっ、そろそろ抱き付くのやめて欲しいな・・・それから、フウナちゃんはそんな僕を撮らないでぇ・・・」



そう、ヒロフミ君があの「四ツ葉家の四姉妹」と深い関係にあるのではないか、と言う噂があるからです。
「四ツ葉家の四姉妹」・・・それはこの聖アンファンテ学園の誰もが慕い、羨み、誇り、憧れる・・・長者番付にも名前が乗る程の名家「四ツ葉家」の子供である、4人の美少女お嬢様姉妹の事です。
1人1人が違う蝶のような鮮やかな魅力を持っていて、4人揃えば幸運の四葉のクローバーのようだと称されている彼女達は、生徒達だけで無く先生からも絶大な支持がある、まさに今の聖アンファンテ学園を代表すると言っても過言では無い生徒達・・・
そんな四姉妹と、転校して来たばかりの普通の生徒のヒロフミ君と噂が立つくらいに接点があるとなれば、気になるのは必然で・・・実は私も、そこが気になっています。
なので・・・今日からヒロフミ君の学校での行動を、なるべくこっそりとチェックしてみようと思います。
知ってどうとかするつもりはありません。ただ、やはりあの四姉妹と私の友達が本当に接点・・・深い関係にあるのならもっと知りたいし、力になれるならなりたい。それだけです。
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好釦