「
章造さんは、初めて真地町に来るとの事でしたので、まずこの町のシンボルタワーがある第六地区にしましたっ。あの、他に寄りたかった地区などあったりしましたか・・・?」
(い、いえ。特に・・・だから、お任せします。)
「分かりましたっ。それなら良かったです・・・では、お任せされたと言う事で不束者ですが、わたしがこの町を好きになって頂けるようにご案内致しますっ!」
(はい、宜しくお願いします。)
「では・・・まずは目の前に見える、真地町のシンボルタワーの『真地タワー』にご案内しますねっ。真地町は、本当にいい所なんですよ~。『真地町』は『まちまち』と読めるので、みんな違ってみんないい、な十人十色な所を目指していまして・・・」
・・・戸枝ひなたさんって、何だか不思議な人だ。
普通にしてたらスゴく可愛い女子高生のお姉さんなのに、年下の僕にちゃんとした敬意を持って敬語を使ったり、たまに中学一年生の僕と変わらないんじゃ?って思うくらいほややんとしたり、黒髪かと思えば微妙に金髪が混ざってたり・・・
けれど、やっぱり何と言うか・・・スゴく、胸は大きい。ここは立派な大人みたいだから、変な感じになるのかなぁ・・・?
そう言えば、ひなたさんの目って結構青めだよな・・・ハーフなのかな?目の中をよく見たら、ハートの形みたいになってるし・・・
「・・・あの、
章造さん?わたしがどうかしましたか?」
(へっ!?い、いや!何でもないです!)
「そう・・・ですか?体調が悪くなったら、いつでもわたしに言って下さいね。ここなら俟(ま)ち総合病院がすぐ近くにありますし、コンビニの『こはく』でお薬は買えますからね。」
(はい。とりあえず僕は大丈夫なので、ご心配なく。)
「それなら良かったですっ。では、もうすぐ・・・あっ、そういえば震和さんから
章造さんは怪獣さんがお好きと聞いたのですが、どの怪獣さんがお好きですか?」
(えっと・・・ゴジラです。)
「ゴジラさんですか!わたしも、ゴジラさんが大好きですっ♪どの怪獣さんも、それぞれ違う力やかっこ良さがあって、甲乙付けられない素晴らしさがありますけれど・・・一番は?と聞かれましたら、わたしもゴジラさんですっ。ゴジラさんは強さと優しさを兼ね備えていて、ずっと昔からこの町を見守り続けている、『海神(わだつみ)様』なんですよ・・・♪」
・・・不思議な人だと思ったけど、ひなたさんについて二つだけはっきりした。
ひなたさんは・・・真地町とゴジラが、大好きな人だって事。
「しかもゴジラさんは・・・はっ、わたし自分勝手に話し過ぎてしまいました!申し訳ありません・・・!」
(い、いえ。ひなたさんもゴジラが好きで、むしろ嬉しいです。)
「本当ですか!?あ、ありがとうございますっ・・・!どうか、
章造さんもずっとゴジラさんを好きでいて下さいねっ。」
(はい!もちろんです!)
「到着しましたっ!ここが、真地タワーですっ!」
ひなたさんからこの町の事を聞いている内に、真地タワーの入口に着いた。
ピカピカしている部分は全てソーラーパネルとの事で、これで昼間の間に太陽光発電をしておいて、「第八地区」にある風力発電所と合わせて、この町の全部の電気を作っているらしい。
多分、この町の東京タワーかスカイツリー代わりなんだろうけど、どうも通天閣に見えるなぁ・・・
そう言えば、ひなたさんのカバンに星座盤か鏡みたいなアクセサリーが付いてるんだけど、何なんだろう?
他に付いてるのが「みがわりくん」と・・・ティラノサウルスをデフォルメしたみたいなのと、お碗に手足が付いたみたいなゆるキャラ?の小さいぬいぐるみだから、妙な感じがする。
それと、中に動物みたいなシルエットが十二体描かれているんだけど・・・十二星座?
それとも・・・十二支?
「え~っと、ここで今日待ち合わせをしている方が、1人いらっしゃるのですが・・・」
「おーい!ひなたー!」
「あっ、斗真さ~ん!こちらで~す!」
そこへやって来たのは、来造義兄さんと同じ制服を着た男の人だった。
義兄さんやひなたさんのクラスメイトの人かな・・・?
「紹介しますっ。わたしのクラスメイトの、竜宮 斗真(たつみや とうま)さんです。斗真さん、この方が震和さんのご親戚の
章造さんですっ。」
「お前が
章造だな。俺は斗真、今日は宜しくな!」
・・・何故だろう。
斗真さんとは初めて会うのに、前から微かに知っていた感じがする・・・
何かを見た時と同じ・・・無意識に、ワクワクするみたいな・・・?
「・・・ん?どうした?俺がどうかしたのか?」
(・・・はっ!い、いえ!何でも・・・斗真さん、今日は宜しくお願いします。)
「あぁ!俺とひなたが、ばっちり案内するからな!」