混ざってみました! in福江島編
「・・・さて、只今樹さんが台所にて得意の手料理を作って下さっているのですが・・・」
「はい、どうぞ。バンバンジーです。有り合わせで作った、かんたんな出来ですが・・・」
「ありがとうございます。有り合わせとの事ですが、キュウリと鶏肉とゴマだれだけでなく、刻みネギと五島ルビーも入っていて、中々に本格的なバンバンジーですね・・・」
「ちなみにの、五島ルビー以外の具材はぜ~んぶ樹が昨日の『花嫁修業』で切ったものなんじゃよ。」
「『花嫁修業』、樹さんが日々取り組んでおられる家事の訓練の事ですね?どれもしっかり丁寧に切られていて、主婦の方が切ったものみたいで・・・あっ、女性っぽいと言う意味では無いですよ。」
「分かってますよ、ありがとうございます。何だかじいちゃんと、父さん以外の人に褒められると照れ臭いな・・・と、とりあえず食べてみて下さい。」
「では、頂きます・・・うん!誇張でも何でも無く、安い・速い・旨いの言葉がこれ程までに合う料理がありますでしょうか・・・!樹さんの料理は、本当に美味しいですね。」
「あ、ありがとうございます。ちょっと恥ずかしいですけど、素直に嬉しいです。」
「ほっほっほっ。ワシの『花嫁修業』の賜物じゃよ。のう?い~つ~き~?」
「もうじいちゃん、ホニャララさんの前でそれやるのやめてって。」
「これが話に聞いた、元治さんの『ニヤリスマイル』ですね?」
「昔のボクがこれで笑ってから、今でもこうして不意打ちみたいにして来るんですよ。もう。」
「まぁ、親子で仲睦まじい証拠では無いですか。私がいつか父親になったら、こんな親になりたいものです。」
「そこは・・・ボクもそう、思います。そうだじいちゃん、ボクのバンバンジーどう?」
「ふむふむ・・・うむ!花丸じゃな!けちの付けようもないわい。」
「花丸、じゃあ100点満点だね!ありがとう、じいちゃん。」
「これなら、明日からは『五島うどん』にチャレンジ1年生しても良いかのう。」
「やった、いよいよ『五島うどん』を作れる・・・!」
「『五島うどん』と言えば、讃岐・稲庭と並ぶ『日本三大うどん』の一つにして、五島列島を代表する料理ですね。樹さんの今後の五島うどんチャレンジ1年生に、期待です!」
ーー・・・でもなんか、『チャレンジ1年生』は子供っぽいから、止めて欲しいなぁ。
「・・・ご馳走さまでした。さて、お腹も気持ちも一杯になった所で次の取材ですが・・・」
「樹、親父、帰ったぞ・・・」
「おう、おかえり~。」
「父さんだ・・・おかえりなさい。」
「おっと、逸見亨平さんが帰って来ました・・・少しばかり気が引けますが、これまで様々な目に遭って来たアナウンサーの端くれとして、臆せずあの質問をしようと思います・・・!
初めまして、逸見亨平さん。私はジャバンテレビアナウンサーのホニャララと申します。本日は逸見樹さんと元治さんのご好意の元、お邪魔させて頂いているのですが、いきなりながら一つ質問させて頂きます。無人島に一つ・・・」
・逸見亨平さんの回答
「・・・ペットボトル、だろうか。サバイバルにおいて水の確保は最優先だが、これがあれば水場や雨で確実に水を確保出来てかつ、持ち運びが可能だ。加えて食料になるような・・・」
「・・・待て、そもそも何故いきなりそんな質問をされて、俺が答えなければならない?」
「ま、まぁ父さん。この質問はこの人にとって、名刺代わりみたいなものだから。」
「ワシも同じ質問をされたからのう。ちなみにワシは『ららら、むじんくん』と答えたがの?」
「親父まで訳の分からん事をするな・・・」
「この人半年くらい前からこの島で暮らしてて、ボクやじいちゃんを何度も助けてくれてるんだけど、それでも取材もダメなの?」
「むっ・・・まぁ、お前や親父が良いと言うなら俺は止めん。だが、あまり個人的な情報を他所に漏らす事は勘弁願おう。それで無くとも、樹は「G」を悪用しようとする者達にいつ狙われてもおかしくない、危うい立場にいるんだ。先程も、不審な男がこの家を見ているのを目撃したからな。」
「えっ?」
「不審な男、ですか?」
「あぁ。俺も追跡しようとしたが、曲がり角を曲がった所を逃げられてしまった・・・しかし、あの通り道に特に隠れられる場所も無かった筈だが・・・高速、もしくは瞬間移動をしたとしか思えない手段だ・・・」
「じゃあその人もしかして、ヒト「G」なのかな?」
「ヒト「G」、J.G.R.C.による爾落人・能力者の一般的な呼称か。だが、何者であろうと俺がいる限りは樹に手出しはさせんし、そうで無くとも不埒な好意によるストーキングだろうが、俺は許さん・・・絶対にな。」
「う~む、つまりは誰かが樹のストッキングを盗もうとしとるわけじゃな?確かに樹は家事をこなせる、可愛い自慢の『イケメンモテ男子』じゃが、まだまだ『花嫁修業』の途中。ワシがいるからには、勝手な婿入りはさせんぞい!」
「・・・とりあえず父さんもじいちゃんも、ボクを守る気満々な事は分かったよ。まぁもしもの時は、ギャオスがボクを守ってくれるし。」
「亨平さんと元治さん、それに母親代わりと聞く朱雀のギャオスがいるなら、非常に頼もしいですね。ただ、私は樹さんのプライバシーを徹底的に守った上で、取材させて頂いています。放送では樹さんの名前や場所が分かるような発言は伏せますので、ご安心下さい。」
「ボクも前の紀子と憐太郎の取材映像を見せて貰ったけど、ちゃんとモザイクとかピー音とか入ってたから、大丈夫だよ?」
「ワシはピーピーばかりで、どうにもこうにも分かりにくかったのう・・・腹までピーピー言いそうになったわい。」
「そうか・・・それなら大丈夫そうだ。だが、今回も同じようにプライバシーの保護は徹底するんだぞ。」
「あ、ありがとうございます・・・ですが、私にも何か協力出来る事は・・・んっ?」
「・・・」
「え、縁側に人が!」
「なに!?」
「父さんが言ってた人、かな・・・?」
「樹のストッキングを盗もうとしとる相手じゃな?」
「ストーキングだ、親父。」
「・・・私、ちょっと直撃取材して来ます!」
「えっ、ホニャララさん!?」
「待て!一般人が不用意な事を・・・むっ、行ってしまった・・・」
「五島ルビー、持って帰らせようと残しとったのにのう・・・」
「これからボクと一緒にギャオスの所に行こうって、約束してたのにな・・・すぐに帰って来る、よね?」
「・・・!」
「ま、待って下さい!貴方は「複製」の爾落人、加島玄奘さんでは無いですか!」
「・・・私の名と爾を即座に答えるとは、只者では無いな?何者だ?」
「わ、私はジャバンテレビアナウンサーのホニャララで、一応はしがないアナウンサーで、貴方の事は「「G」クロ超全集」で・・・そ、それで貴方は一体何故ここに?」
「朱雀の巫子・逸見樹が如何なる者か、確かめに来ただけだ。今は危害を加える気は無い。」
「ほ、本当ですね?」
「本当だ。だが、お前はどうやらこの世界にとって『異物』な存在だと判断した。『組織』の者でも『機関』の者でも無い、だが私の事を知っている・・・四神が復活を遂げ、「殺ス者」の元に「断絶」の女が下り、蛾雷夜が新たな人形を介して再び暗躍を始め、「空間」がいつ目覚めるのか分からない、混沌へ向かい始めたこの世界の為・・・不都合な物事は、なるべく排除する。」
「えっ!?は、排除って事は・・・!?お、落ち着いて下さい!私は本当に貴方の事を知っていただけで、何かするつもりは・・・」
『こっちデス!ホニャララサン!』
「えっ・・・へえっ!?か、影から手と声・・・と言うか、貴女は!?」
「お前は、噂に聞く『反影』と『夢現』の爾落人だな?私の妨害をすると言うのか?」
『パレッタにいわれてきてみたら、やっぱりいつきサンのところに「怪しい爾落人」がいたデスね?ホニャララサンもいたとはおもってなかったデスが、てだしはさせないデス。だからホニャララサン、ワタシといっしょにくるデス!』
「そ、その前に一つだけ質問させて下さい!無人島に一つだけ、持って行くなら・・・」
「・・・消えたか。反物質世界に行かれては、私も手出しは出来んな・・・まぁ良い、お前がこの世界にとって如何なる存在となるか、暫し見届けさせて貰うぞ・・・ホニャララ。」
こうして、ホニャララサンはワタシといっしょに「あの頃のロンドン」にいくことになったデス。
また、あえるんデスね・・・むかしのパレッタに、「オカ研」のみなサンに・・・アキに。
でも、こんかいはここまでデス。
つづきはまた、コンドウサンが「「G」クロ第四章」をかきおわったときまで、まっていてほしいデス。
いじょう、「反物質世界」からチェリィがおおくりしたデス・・・
・加島玄奘さんの回答
「無人島?『転移』を『複製』した私を、場所で縛るなど無意味だ。それに回答を聞いて、お前はどうするつもりだ?今すぐに答えろ。さもなくば・・・」
つづく
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