‐バラガミ‐ 今によみがえる飛梅伝説(モノクロ版)
それから五年後の、「さくら」の日。
「その時」が、やって来ました。
2018年、3月27日。
京都・桜花神社前・・・
『・・・』
「あれから五年・・・楽しみですね、バラン様。」
『そうだな。彼の末代が如何為る成長を遂げたのか、期待注せて貰おう。』
嵯峨野さくらです。
つい先日高校を卒業したわたしは、もうすぐ地元の大学に通う大学生になります。
府外の大学も色々お薦めされましたが、「あの約束」があるので全てお断りしました・・・ごめんなさい。
あっ、わたしと話しているこのマタギさんみたいな男の人は、なんとバラン様が人間になった姿なんです!
つい最近やっと人間嫌いが治まって、この姿になって下さいました。
赤茶色のポニーテールに、鋭い眼差し・・・バラン様、人間になっても最初に会った時の怪獣さんの姿の面影があって・・・渋かっこいいですね。
『ん?サクラ、私がどうかしたのか?』
「いえ、なんでもありませんよ。あっ、来ました!」
『さくらは~ん!バランは~ん!お元気にしてはりまっか~!』
「お梅さ~んっ!」
『・・・何故、御前が先にしゃしゃり出る。ウメよ。』
『何や、うちかって久々の再会なんどすえ?と言うか、それが噂のバラン人間体かいな?案外かっこ付けどすなぁ?』
『五月蝿い。ニンゲンの姿に成っただけ良いと思え。』
「久しぶりです、お梅さん。相変わらずおキレイですね!」
『そう言うさくらはん、五年でもうこんなにおおきなってぇ。大和撫子を絵にしたようやわぁ。』
「あ、ありがとうございます。」
『じゃあ、次は真打ちの登場・・・どすなぁ。』
「・・・誕生日、おめでとう。さくら。」
「・・・真ちゃん。ありがとう。」
そう・・・今日はわたしの誕生日で、真ちゃんが自分の力でわたしに会いに来てくれた日・・・五年前の指切りの約束を、果たした日です。
「ただ会いに来るだけじゃ、なんかかっこ付かないからさ。おれ、君と同じ大学に行く事にした。」
「えっ・・・!?」
「だから・・・これからはおれ、もう君とずっと一緒って事、なんだけど。」
「・・・うん!これからずっと、よろしくね!」
「あと、さ・・・おれ、君の事がだ・・・」
「真ちゃん!!
だーーーい、すきっ!!」
『あら、まぁ・・・大胆やねぇ、さくらはんったら。そんな2人の愛の仲人になった感想はどうどすか?バランはん?』
『・・・知らん。マコトは大した奴に成った、とだけ言って措く。』
『もう、ほんまは嬉しがっとるのに隅におけへんなぁ・・・』
ーー・・・うちが結局出来ひんかった事なんや、その分沢山幸せになるんやで。さくらはん。
ーードウシン・・・見て居るか?
私達は再び此のヘイアンの地に集い、幸福を分かち合って要るぞ。
だから、御主は天道の上で其んな私達を、笑って見て居て繰れ・・・
・・・これが、現代に甦った「飛梅伝説」の結末です。
その後、彼らがどうなったのかは・・・貴方が想像してみて下さい。
・・・えっ?私は誰かって?
では、この話を聞いてくれた貴方に、特別にお教えしましょう。
今は違う名字ですが、昔の名字の方で言いますと・・・
わたし、嵯峨野さくらです。
おわり
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