‐バラガミ‐ 今によみがえる飛梅伝説(モノクロ版)
――ウメ・・・邪魔をする為らば、御前とて容赦はせん!
ケモノと成った今の私は、阿修羅すら凌駕する存在だ!
『阿修羅やろうと悪鬼やろうと、うちの前で罷(まか)り通るんは許さへん!うちも今や土地神のはしくれ・・・抵抗くらいなら、まだまだいけるんよ!』
「・・・」
何だか、話が読めない間に事態は深刻になっているようで・・・
とりあえず、バランは別に弁当に入っていてもいいんじゃないかと、おれは思うんだけど。
特に困るわけでもないんだし・・・
「すみませーーーーーん!!」
と、そこに聞こえて来たのは・・・どこか懐かしい感じのする、可愛らしい声。
ずっと心の底で会いたいと思い続けていた、あの子の声だった。
「バラン様を、はなしてくださーーーーーい!!」
バラン様を捕まえている人に向かって叫びながら走る、わたしの目に見えたのは・・・少し感じは変わっていても、昔のままの。
ずっと会いたかった、あの子の姿でした。
「えっ・・・?」
「あっ・・・!」
「さ、さくら!?」
「真ちゃん!!」
まさか、本当にさくらが来るなんて・・・
「ひ、久しぶり。さくら。」
やっと、真ちゃんに会えました・・・
「久しぶり、真ちゃん。」
――サクラ、何故此処に・・・若しや、御前が会いたいと言って居たのは、此の童なのか?
『さくら?もしかして、あの子が真はんがいっつも話しとる、あの・・・はっ!?』
――ウメよ、御前にも分かった様だな・・・
其うだ。この娘こそが「サクラ」だ。
『・・・役者が揃った、って事なんやな。あんさんもやってくれるわぁ・・・じゃあ、うちも一つ種明かしをせんとあかんなぁ。』
――種明かし?
『なんでうちが真はんと一緒におるんか、そしてなんであのさくらはんが、あんさんに頼んでまで真はんに会おうと思えたんか・・・出来ればうちも、もっとこの関係を続けたかってんけど・・・もう潮時って事なんやろなぁ。
とりあえず、あんさんの事は離したる。代わりにこれから起こる事を、黙って見ときいな・・・』
「・・・元気だった?」
「まぁ・・・一応。」
「背、伸びたね。」
「そっかな・・・?」
「真ちゃんって・・・ここで上手くやれてる?」
ど、どうしましょう・・・
やっと真ちゃんに会えたのに、言いたい事がいっぱいあったのに・・・頭に浮かんできません・・・!
「・・・うん、大丈夫。」
ど・・・どうしよう。
どうやってか分からないけど、さくらが会いに来てくれたのに・・・いい言葉が出て来ない・・・!
きまずいぞ、これ・・・