拍手短編集







ここはゴジラとチャイルドが暮らす小笠原諸島・鍵島。
島の砂浜では二体が沈む夕陽を眺めていたが、そこへ夕陽を背に何かの影が二つ、こちらへ近付いて来ていた。
チャイルドはゴジラの後ろに隠れ、ゴジラは迫る影を警戒する。
だが、影の姿がはっきりしてくるにつれてゴジラはその影に見覚えがある事に気付いた。



グウィウウウウウウン・・・

カクィオオオオウン・・・



そう、なんと影の正体はバランとモスラだった。
ゴジラは影が敵ではない事をチャイルドに教え、少し下がって二体が降りるスペースを作る。
やがてそこにバランが降り立ち、モスラは遠慮してか砂浜には降りずにやや不本意な顔をするバランと共にゴジラに用件を伝えた。
どうもチャイルドと一緒に着いて来て欲しいとの事らしく、ゴジラはそれを了承し、チャイルドを連れて再び海を渡る二体の後を追った。

[グルルルル・・・]






それから夕日が沈むまで海を進むと、小さな無人島が見えて来た。
その隣にはゴジラが生まれた島、神島もある。
少し困惑しつつゴジラは無人島に上陸すると、何か布に包まれた大きな物があった。
それを捲るよう二体に指示され、ゴジラは布を捲る。
するとゴジラの目に入ったのは、一本の大きな蝋燭が刺さったバースデーケーキを持つ志真の姿であった。
志真の両隣には瞬と遥もいる。



「ゴジラ、お前は覚えてないかもしれないけど、今日はお前が『生まれた』日なんだぜ。」
「そこでバランとモスラに頼んで、ここまで案内して貰ったの。」
「この為にむささびを使って全国を回ったんだ、是非受け取ってくれ。」



チャイルドは初めて見るケーキにすっかり興味津々だ。
ゴジラも今までそんな事は全く気にも止めていなかったが、今こそ自分にとって大切な時であると悟った。
すると志真は着火物を取り出し、蝋燭に火を付けた。
辺りは蝋燭の光で僅かに明るくなる。



「こっちだとな、産まれた日にはこうしてこれに火を付けて、息で消すんだ。」
「一年に一度の、大切な日よ。」
「そして誰しもにある、記念日だ。」



志真達は後ろに下がり、ケーキを指差す。



「さっ、それじゃあこの火を消してくれ。」
「「「ゴジラ、誕生日おめでとう!」」」

[ディガアアアアアアアオン・・・]
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好釦