いく年・・・







Gnosis調査員の、角丈だ!
この短編は登場人物が多いので、以降から台詞に名前を付けさせて頂く!
分かった人だけ、進んでくれ!
・・・ところでこの文、ちゃんと3Dになっているのか?






憐太郎「あともう少し、と・・・紀子、大丈夫?」
紀子「だ、大丈夫・・・」



青森県・つがる市の夜。
日本中が大晦日で盛り上がる中、辺り一面を厚い雪が覆う山道を、憐太郎と紀子が歩いていた。
真冬の東北は外を歩くだけで体が固まるかのような寒さであり、当然2人は厚着の上にジャンパー、マフラーに手袋と完全防寒態勢でこの道を歩いていたが、憐太郎は平気そうに歩いているのに対し、紀子は両手で肩を掴みながら鈍い足取りで憐太郎の後ろを着いて行っていた。



憐太郎「紀子・・・本当に大丈夫?」
紀子「う、うん。私なら問題ないから・・・」
憐太郎「・・・嘘だ。今の紀子なら、僕を余裕で抜かして先に到着してるくらいのはずだよ。何年もここを離れてたから、寒さに弱くなってるんでしょ?」
紀子「・・・やっぱり、分かっちゃった・・・?」
憐太郎「当たり前さ。まだ離れてた時間の方が多いけど、それに負けないくらいに僕は紀子の事を知りたいって思ってるからね。ほら!」



そう言うと憐太郎は紀子に向かって振り返り、右手を元気良く差し出す。
紀子は一瞬恥ずかしそうに、だがすぐ嬉しそうに手を取り、寒さか愛しさかによって少し紅潮した顔を憐太郎に向けた。



紀子「私の方がお姉さんなのに・・・」
憐太郎「そんなの関係ないよ。この思いは僕も、紀子も同じだからね。」
紀子「うん・・・そうね。」





それからしばらくして、2人は思い出の丘に到着した。
今2人に見えているのは雪と闇に包まれたつがるの町の光景であったが、町の明かりが星のように輝いており、思わず2人は小さい時に見た同じ光景を思い出す。



憐太郎「いつ来ても、この景色はいいね。」
紀子「うん。星空を眺めてるみたいに見えて、とってもきれい。」
憐太郎「それにしても、験司兄ちゃんったら8時になったらここにガメラを呼べだなんて、どうしたんだろ?」
紀子「私は特に何も聞いてないけど・・・」
憐太郎「まだ時間あるし、今年何があったか振り返っとこうか。」
紀子「うーん・・・それもいいけど、私は初めて『G』が見つかった6年前の事を先に振り返りたいな。」
憐太郎「2010年?まぁ、僕達にとっても色々あった年だけどさ・・・また懐かしい話だね?」
紀子「何だか、話さないといけない気がするの。勾玉が、多分そう告げてる・・・」
憐太郎「・・・?」



憐太郎「それで、6年前ってどんな事があったっけ?」
紀子「えっと・・・あっ、そう!オリンピックが冬にあったわ。」
憐太郎「そうだったね。一回だけ、紀子と一緒に見てたの思い出したよ。あとは・・・3D映画が多くなったのも、この年だったね。」
紀子「そうなの?」
憐太郎「バイラスシリーズの最初の映画が公開されたのがこの年だったんだけど、特撮ヒーロー作品以外で特撮映画初の3D対応!って事で話題だったんだ。僕も見に行ったけど、3Dって凄いなって思ったよ。」
紀子「今なら3D映画は当たり前だけど、この時は確かに話題性が強かったわよね。」
憐太郎「話題性って言えば・・・何か、アニメの曲がランキングの1位になってたような・・・」
???「それもそうだが、2010年と言えばロボコップが作られた年だろう!」



と、大声で2人の話に入って来たのは、いつの間にか2人の後ろに止まっていた二台のワゴン車の、右側のワゴン車の後部座席から出て来た角丈であった。



紀子「じ、丈さん!?」
角歩「もう、兄者!いきなり叫んだらびっくりするじゃないか!しかもそれ、架空の出来事!」
験司「ったく、じゃりん子2人がいちゃいちゃしてやがるから、気付くまで待ってやろうと思ってたのによ・・・」
蛍「いちゃいちゃしてるからなんて、貴方も言えるのかしら?験司。」
首藤「えっ?そうなんですかい?リーダー。」
岸田「蛍さんの様子を見る限り、熱々みたいですね~。」
験司「う、うるせぇぞ!飲み会でもねぇのに、無礼講になってんじゃねぇ!」
引田「紀子さん、能登沢さん、ムードが分からない大人ばかりでごめんなさいね。」
憐太郎「は、はい・・・」
蓮浦「話を戻しましょう、リーダー。まだ10分程早いですが、自分達は正午にここに集まる予定の筈です。」
験司「まぁ、そうだな。けど8時ちょうどじゃねぇと駄目だし・・・レンと紀子の話に付き合うか。」



ワゴン車から出て来たGnosis達は憐太郎と紀子の近くに移動し、丘からの光景を見ながら各々に2010年を振り返り始めた。



蓮浦「2010年か。今更何故この話をするのか分からないが、他に何があった?」
角丈「そんなの、MOVIE大戦に決まっているだろう。」
角歩「そこから離れようよ、兄者。しかも2010年に公開したのは『CORE』の方だったでしょ?」
首藤「ミスんなよ・・・あっ、そういやこの年って住民票のミスで異常なくらい歳行った人が、行方不明扱いになってたよなぁ?」
引田「確か・・・最高齢で200歳だったかしら?ショパンと同い年よ?」
蓮浦「間違いと言えば、北朝鮮が韓国の島に砲撃を加えていたのを思い出した。」
岸田「よくあれ、戦争にならなかったですよね。アジア関係なら・・・ああっ!中国の漁船衝突事故、忘れたらあかんかったわ!」
角歩「その時の動画が一時期ネットに流出してたけど、何だか後ろめたくて見れなかったよ。」
首藤「おれはその時戦場カメラマンやってたから、関係なかったけどな。」
蛍「履歴見たらただのカメラ小僧だったのに、嘘付かない。それよりもっと、良い事の話をしましょうよ。」
引田「良い話・・・あっ、チリの鉱山での救出劇なんてどうかしら?」
角丈「うーん、あれには感動したなぁ・・・ダイゴロウが教えてくれた、助け合いの心だな。」
首藤「待ってる人とのドラマも面白かったよなぁ。特に妻と愛人が同時に待ってた人なんか・・・」
蛍「首藤、それ以上はストップ。私は『良い話』って言ったわよね?」
験司「しっかし、案外見つかったけどよ、うっすら覚えてた話ばっかだな。『G』絡み以外で覚えてる6年前の出来事なんて、人口衛星の『はやぶさ』が帰って来た事しか覚えてねぇな。」
蓮浦「それを覚えていたとは、流石はリーダー!この事を忘れていたとは、不覚です・・・!」
験司「お前急に食いついて来たな、蓮浦・・・」
岸田「アジア絡みなら、上海国際博覧会の話やん!」
引田「首藤さんが突っ込まないから言うけど、岸田さん?関西弁でタメ口になっているわよ?」
首藤「それより、この年も首相が変わった話をだなぁ・・・」



Gnosis達が2010年の話題ですっかり盛り上がる中、最初にこの話題に触れた筈の憐太郎と紀子は完全にGnosis達の勢いに飲まれ、全く会話に入れずにいた。



憐太郎「・・・ねぇ、紀子。僕達もあの会話に入っていいのかな?」
紀子「最初にこの話をしだしたのって、私なのに・・・それに、主人公はレンなのに・・・」
憐太郎「えっ?」






6年前を振り返ってから数分が経ち、験司の腕時計の長針と短針が夜8時を差した。



験司「おっ、もう時間か・・・おい、レンに紀子。そろそろお仕事だぜ。」
憐太郎&紀子「「う、うん・・・」」



やや微妙な心境になりながらも、憐太郎と紀子は手を繋ぎ、目をつぶって勾玉に思いを込める。
勾玉は緑色に輝き、遠い海に眠る「G」を呼び覚ます。



グォウウウウウ・・・



やがて、何処かの海から巨大な影が海面を割って飛び立ち、円盤飛行をしながら勾玉が呼ぶ場所へと真っ直ぐ向かって行く。



憐太郎&紀子「「・・・皆さん、来ました!」」



そして凄まじいジェットの音を立て、彼らの前に巨大なる玄と緑の「G」、ガメラが姿を現した。



ヴォウァァァァォォオン・・・



憐太郎&紀子「「久しぶり、ガメラ!」」
験司「近くで見ると、やっぱ迫力あるな・・・」
角丈「何度見ても思うが、ガメラが主役のヒーロー映画が作れるんじゃないか?」
角歩「ヒーロー映画と言うよりは本当の怪獣映画だよ、兄者。」
岸田「なんか、3作くらいは余裕で作れそうですよね~。」
蓮浦「ところでリーダー、どうしてガメラをここに呼んだのですか?」
験司「これからある場所に行くんだけどよ・・・その場所が何処なのか、オレにも分からねぇんだ。」
一同「・・・ええっ!?」
蛍「どういう事?験司。」
験司「いや、なんつーか夢の中でそう言われたって言うか、任務が入ったって言うか・・・まぁ、とにかくここにガメラを呼ばねぇと駄目なんだよ!」
引田「す、すごい強引に・・・」
首藤「守田、ガメラはなんか言ってんのか?」
紀子「とりあえず、ガメラが行き先を知ってるみたいですけど・・・行ってみます?」
験司「そうだな。ずっとここにいても寒ぃし。」
憐太郎「じゃあ、何処か分からないけど頼んだよ、ガメラ。」



グァヴウゥゥゥヴァァン・・・



憐太郎の呼びかけに、ガメラは大きな右手の掌を差し出す。
憐太郎と紀子はガメラの掌に、Gnosis達はワゴン車に乗ろうとしたが、その時唐突に勾玉がオレンジ色に輝いた。



験司「うおっ、どうした?」
憐太郎「こんな色に光るの、初めてだね・・・?」
紀子「・・・何か、メッセージが入って来てる。えっと・・・」
憐太郎&紀子「「2010年は、成人の年です。・・・作者。」」
一同「・・・えっ?」



グォウウウウウ・・・?
2/4ページ
好釦