アメリカの空~2人の空戦~ +Passport




おまけ②


「やっと着きましたね。」
「いつも思うけど、飛行機で何時間も座ったままなのはキツいな・・・」



あれから羽田空港に到着した志真と遥。搭乗口から出た2人を、自衛隊の制服を着た男2人が出迎えた。



「あ、居た!遥ちゃん!」
「東さんに西さん!どうしてここに?」



志真と遥を出迎えたのは、日本での「あの二人」だった。



「瞬殿の命でお迎えに来たんですよ。」
「この人達は?」



東と西に面識の無い志真は当然、遥が瞬以外の自衛隊の人物に知り合いがいる事に驚いた。



「東さんと西さんです。二人共、瞬さんの弟子なんですよ。」
「あいつ・・・弟子なんていたのか。」



驚く志真を東と西に紹介する遥。



「こちらは志真さんです。」
「東だ、よろしく。」
「俺は西。」
「初めまして。私は日東新聞社の志真哲平です。」



握手を交わした志真達は、雑談をしながら空港から出た。
西に導かれるがまま駐車場に向かいながら、何故かパスポートの重要さを語る東。



所代わって、車中。
東が運転し、後部座席には志真と遥が座っている。ここでもアメリカでの話題に花を咲かせていた。



「・・・ところで俺、遥ちゃんにずっと聞きたかった事があるんだけど・・・」
「わ、私にですか?」



話題に一区切りつき、助手席の西が遥にバックミラー越しに目を合わせ、問い掛けてきた。



「そう、遥ちゃんの・・・3サイズってどんだけなんだ?」
「ばか、真顔でそんなくだらない事を聞くなぁ!」



この瞬間、志真と遥は東と西に、アメリカにいる「あの二人」と同じ面影を見た。













気がつけば、ベッドの上にいた。ここは自衛隊本部宿舎の部屋だ。自分は知らない間に寝てしまい、夢を見ていたのだ。
今日は志真と遥がアメリカから帰国し、その足で自分に会う約束をしている。この前まで入院していたせいか、目覚まし時計では覚醒しなかったらしい。



――夢の中とは言え一般人を自衛隊の車輌で迎えに行くなど、職権乱用じゃないか。
・・・それにしてもあの西でさえもあんな失礼な事は聞かないと思うが・・・他人事でならない気がするのは何故だ・・・?



後に新宿で「あの2人」に遭遇する事になろうとは、この時瞬は知る由もなかった。



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好釦