Recollection of 「VS」
I‐E『最後は「VSデストロイア」、前のゴジラの記録が残っているのはここまでだ。』
将治「山根さん絡みの話も、ここからだね。」
健「『ゴジラ死す』、か・・・」
「リフトアップ開始!」
管制室からの声を合図に、スーパーXⅢを乗せたリフトは回転しながら上昇して行った。
『メインバス、ローカルモード。』
『GNCコントロール、作動。』
着々と出撃の準備が整う中、機内でも乗組員が調整を行っている。
「最終フライトチェック、完了。」
「ラジャー。」
暫くしてリフトが出撃位置に着き、スーパーXⅢはカタパルト前で静止した。
『カタパルト、準備完了。』
「ロック解除。」
『カタパルト、オープン。』
天井と正面の壁が前へと展開され、出撃カタパルトがスーパーXⅢの前に出来上がる。
『発進ライン、オールクリア。』
「スーパーXⅢ、テイクオフ。」
「特殊戦略作戦室のあいつ」、こと黒木は冷静な口調でそう返し、スラスターを蒸かして力強く飛んだスーパーXⅢは、肥大し過ぎた己の力を持て余すゴジラの元へと向かって行った。
みどり「・・・あっ!どっかで見た事あるって思ったら、あの時来てくれたメカじゃない!」
将治「スーパーXⅢ、ガルーダⅡや大戸が出て来るまで活躍し続けた、歴戦の兵器だね。」
未希「それにしても黒木さん、本当に面構えすら変わったわね。」
「ジュ・・・」
未希がそう言いかけた瞬間、ジュニアは静かに瞼(まぶた)を閉じた。
オキシジェン・デストロイヤーを体内に注入され、デストロイアに深い傷を負わされながら、それでも唯一無二の同族と会う為に留めていた灯火のようなジュニアの命は、儚く消えた。
「・・・ジュニア・・・!」
決して失いなくなかった、掛け替えの無い命が尽きた悲しみがこみ上げた未希は膝から崩れ落ち、彼女の目からは涙が止まる事無く流れた。
ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・!
ゴジラもまた、ジュニアを失った悲しみの涙を流し、虚空へ向かって悲痛な叫びを上げる。
その様子をヘリコプターから見るゆかりは、漏らすようにこう言った。
「ゴジラが、泣いてる・・・」
美歌「ゴジラ・・・かわいそう・・・」
研護「子を失った、親の嘆き・・・結末は分かっているけど、オレとしては見るのが辛いな・・・」
健「・・・」
みどり「健?」
健「・・・こうやって『VS』シリーズを見てたけどよ、前のゴジラも何度も辛い目にあってんだな・・・だけど、あいつは最後まで戦った。あいつも『男』だ。」
みどり「そうね・・・」
バアァァァァギィヴァァァァ・・・
ゴジラの怒りの熱線は留まる事を知らず、デストロイアは幾度と無く体を焼かれ、悪魔の象徴にも見える顔の両脇の角も容易く破壊された。
ゴジラの果てなき執念に恐怖を覚えたデストロイアは、飛び上がってその場から離れようとする。
「デストロイア、空へ逃げます!」
『逃がすな!撃ち落とせ!』
「・・・目標、捕捉!」
「冷凍メーサー、発射!」
地上部隊のメーサー車達は一斉に砲塔を空中に向け、冷凍メーサーをデストロイア目掛けて発射した。
超低温の冷凍光線がデストロイアの翼を何度も攻撃し、続いてスーパーXⅢの超低温レーザーがデストロイアの胴体を撃つ。
ゴジラの猛攻に深手を負わされたデストロイアに冷凍攻撃に耐える余力は残されておらず、デストロイアの体は力無く地面へ向かう。
「デストロイア、ゴジラに向かって落下!ゴジラ動きません・・・!」
ギィヴァァァン・・・!
哀れな姿で落ちて行く、憎き敵へゴジラは一吼えする。
デストロイアは地に伏し、冷気の霧を吹き払う大爆発と共に、完全生命体は消滅した。
美歌「やった!デストロイアを倒らした!」
睦海「ゴジラの攻撃があったとは言え、『VS』シリーズで人類が唯一怪獣を倒した瞬間ね!」
健「・・・これから、メルトダウンか・・・」