Recollection of 「VS」






健「次は『VSメカゴジラ』・・・」
睦海「今のゴジラが、まだベビーだった時ね。」
将治「Gフォース設立に、お祖父さんの現役時代・・・そう考えると、この作品は僕達にとって色々と思い出深い作品だね。」
翼「昔の親父にお袋、どんな人だったんっすかね~。」





グァアアア・・・



ラドンの翼を使った切り裂き攻撃に、ゴジラは地面に倒れた。
ラドンはゴジラの上空を旋回しながら様子を窺い、研究所の面々は大前の誘導でヘリコプターに入っていた。



「急いで!早く!」



グィドオオオオオン・・・



ラドンは追い打ちにとゴジラに接近し、鋭い嘴(くちばし)でゴジラを更に攻撃した。
首元、顔、頭とゴジラの上半身がラドンの嘴で容赦なく突かれ、外れた攻撃が真横の岩を粉砕する。
しかしゴジラはラドンの嘴の応酬を断ち切るように力ずくで無理やり両手を伸ばすと、ラドンの首を絞めた。



グィォォオン・・・



呼吸を封じられて苦しみながらもラドンは抵抗するが、ついゴジラから離れてしまう。
その隙にゴジラはラドンに熱線を放ち、ラドンを遠ざけた。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・





みどり「ゴジラとラドン、中々荒々しいわね。」
健「ベビーを懸けたガチの喧嘩だからな。四の五の言ってらんねぇよ。」
翼「兄貴が言うと、凄い説得力があるっすね~。しかし親父とお袋、ほんとに若いっす・・・」





「出撃準備!」



孝昭の声と共に、メカゴジラから整備用のメカが離れた。



『スタンディング・ポジション。』



仰向けの体勢からメカゴジラはリフトと共に起き上がり、そのままアームで体が固定された。



『リフトアップ、急げ。』
『・・・冷凍液、注入開始。』
『・・・注入スタンバイOK。』
「ヘッドアーム、開け。」



各指示を伝える英語のアナウンスがドックに響き、胸部を固定していたアームが左右前に開いた。



『ボディーアーム、開け。』



上半身を固定していたアームが展開され、ダイヤモンドコーティングが施された銀色のボディが、あらわになる。



『リフトアップ、開始。』



リフトが上昇すると同時にドック天井のハッチが開き、メカゴジラは外に出た。



『ボディーアーム全開。』



頭部と足のアームが展開され、メカゴジラを固定していたアームは全て無くなった。



「エンジン、始動。」
『始動します。』
「メカゴジラ、テイクオフ!」



背中のブースターを起動させてメカゴジラは上昇し、同族を求めて日本を渡るゴジラへと向かって行った。





将治「凄い・・・Gフォース最高傑作と呼ばれる兵器の一つ、メカゴジラ。実際に見るとやっぱり違うね・・・」
翼「確かにかっこいいっすけど・・・親父が作ったガルーダが忘れられてるっす・・・」
将治「大丈夫さ、翼君。まだスーパーメカゴジラが残ってる。」





「ラドンのエネルギーで、ゴジラが蘇ってる!」
「バカな!そんな事があってたまるか!」



銀色の粉がゴジラとラドンを包み込むように舞い、その間もラドンはオレンジ色に点滅する。
やがてゴジラの背鰭が赤く光り、ゴジラの目が開かれた。
しかしそれと同時にラドンの光が儚く、小さくなって行き、ラドンの体は風化して消えてしまう。
それでも舞い散る粉は消えず、ゴジラは微かに吼えた。



「・・・きゃああっ!」



あまりに膨大なエネルギーはGクラッシャーのワイヤーから逆流し、それが直に流れ込んで来た未希は悲鳴を上げる。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・!



そしてゴジラは立ち上がり、逞しい咆哮を響かせた。
金色の粉が蘇ったゴジラの命を象徴するかの如く瞬き、その全身は赤い閃光に包まれていた。





ヨン『ハカセ、コレハラドンガゴジラニ、イノチヲアタエタトイウコトデスカ?』
エマーソン「厳密に言えば違うのかもしれないが、そう解釈しても問題無いだろう。ベビーを守る為、ラドンは命のバトンと使命をゴジラに託したのだろうな・・・」
I‐E『これが、命あるもの・・・』
睦海「三枝さん、エネルギーが逆流して来た時、痛くなかった?」
未希「確かに痛かったけど、それこそがゴジラの意思・・・力の強さだと思ったわ。だから、私はそれが知れて良かったと思う。」
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好釦