Recollection of 「VS」
みどり「次は『VSモスラ』ね!」
I‐E『「極彩色の大決戦」と銘打たれた、美しい物語。』
美歌「みどねぇ、突然テンションが高くなったね~。」
みどり「当たり前よ!だって、モスラとコスモスが出てくるのよ?」
健「若い頃の自分が出てくるからじゃねぇか?」
みどり「健・・・後で覚悟しなさい。」
ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・
噴煙を上げ、マグマがほとばしる赤き富士を背にしてゴジラは咆哮し、悠然と歩き始めた。
「ゴジラ・・・」
上空からヘリコプターでゴジラを見る深沢も、この光景に驚きを禁じ得ない様子だ。
「どうして、こんな所に?」
「フィリピン海溝の裂け目から、地中奥深くのマントルへ。マントルの流れを通って、再び富士山のマグマへ・・・」
「そんなバカな!1500度もあるマントルの中を進むなんて・・・どうやって!」
「・・・奴は、我々の常識を超えた生物だ・・・」
ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・
辺りを包む爆煙の中吼えるゴジラは、今まさに都市部へ向かおうとしていた。
健「火山の中のゴジラってのも、かっこいいな。」
未希「ゴジラが常識を超えた生物だと言うのを、否応無しに見せつけられるようね。」
睦海「今のゴジラは健の影響で男らしくなったけど、案外お父さんも男らしかったからかもしれないね。」
『『Mayroun doan maganda baron…
Punta Ka lang dito…』』
コスモスの歌声に合わせ、美しく舞う白銀の粉を纏うように、モスラは羽を広げた。
縮んだ羽がゆっくりと広がって行き、現れて行く極彩色の美しい模様が、夜の空を鮮やかに染める。
『『Ka lang dito…』』
「きれーい・・・」
非現実的なまでに幽玄で、見惚れてしまう目の前の光景にみどりの口から一言、言葉が漏れた。
『『Halika at marupo…
Halika at marupo…』』
羽を広げ終え、守護神たるに相応しい可憐なその姿を見せたモスラは人々に見守られながら、柔らかな羽ばたきで国会議事堂を去って行く。
遠い彼方で再び目を覚ました、バトラの元へ。
『『LuLuLuLu LuLu…
LuLuLuLu LuLu…』』
「「「「・・・」」」」
研護「女性陣が魅入ってるな・・・」
睦海「一緒に戦ってる時も思ったけど、モスラって綺麗だったなぁ・・・」
研護「そういえばあの繭、処理した後にこっそり売ってたって噂だけど、本当かな?」
「「「・・・えっ!?」」」
クイィィィン・・・
ゴジラの放った体内放射は、モスラが作り上げた鱗粉のフィールドをも突き抜け、モスラに直撃した。
凄まじいエネルギーに吹き飛ばされたモスラは後ろの観覧車に衝突し、そのまま倒れてしまう。
しかしゴジラは容赦無くモスラに熱線を放ち、熱線を受けた観覧車はそのままモスラに向かって倒壊して行く。
このまま観覧車が当たれば、モスラが深手を負うのは確実だ。
「いかん!」
「危ない!」
戦いを静観していた拓也と雅子も、モスラの危機に叫ぶ。
まさに、万事休す・・・であったが、観覧車はモスラにぶつかる寸前に、何故か動きを止めた。
ギィドォォォオオウウン・・・
観覧車は何かの足に受け止められており、それは先程モスラと敵対していたバトラの足だった。
バトラは、モスラと共にゴジラと闘う事を決意したのだ。
みどり「バトラがモスラを助けたー!」
健「昔の自分とそっくり同じ事言うなよ、みどり・・・」
和美「こう見ると、妻を助ける夫のようね、研護さん。」
研護「じゃあ、いつか健もみどりちゃんを守るバトラにならないとな。」
健「と、父さん!なっ、何言って・・・」