Recollection of 「VS」






I‐E『次は「VSキングギドラ」、この話から今の歴史が生まれた。』
エマーソン「ゴジラザウルスや未来の歴史等、この話で分かった事も多いが、タイムワープ技術やアンドロイドと、私達に関わる事も多いな。」
ヨン『ソウデスネ、ハカセ。』
α『だが、我々にとっていい思い出は無いがな。』
β『エミー・カノー、それにM‐11・・・確かに同感だ。』
γ『言いたい事は分かるが、それ以上は止めておけ・・・消されるぞ。』





「我々を救ってくれた者を残して、この島を去る事は真に忍びないが、許して欲しい。」



力無く倒れるゴジラザウルスに向かい、新堂は悔しそうにそう告げた。
後ろの兵達も歯を食いしばりながら、ゴジラザウルスを見ている。



「自分達には、どうしてやる事も出来ない。傷を治す事も、ここから運び出す事も・・・!一刻も早く、傷の癒える事を祈っとる。
我が、ラゴス島守備隊一同、この恩は生涯忘れない!・・・忘れない。」



新堂は目の前の恐竜に命を救われた、この場の兵士達の思いを代弁するかの様に、言葉を続ける。
彼らの様子を見に来たエミー達も、物陰からそっと見守る。



「隊長殿、舟挺が来ます!」
「うむ・・・」



迎えの舟挺の報告をした兵士は一礼し、後ろの隊列に戻る。
新堂は気を付けの体勢をし、後ろの兵士達もそれに続く。
そして新堂は万感の思いを込め、敬礼をした。





研護「『大和魂』を見たな、健。」
健「ああ。すげぇ立派だぜ、あのおっさん。」
将治「正しい軍人としての姿を、見せられた気がするよ。」





グァアアア・・・



網走平野、キングギドラの首に喉を締め付けられながらゴジラは苦しみの声を上げる。
口から泡を吹き、熱線を吐こうにもキングギドラの締め付け攻撃がそれを許さない。
だが、放出されない熱線のエネルギーは体内に溜まって行き、ゴジラの全身を巡っていた。
なおも熱線を放とうとするゴジラの抵抗は体内のエネルギーを増大させ、ゴジラは遂にそれを全身から放射した。



ギィゴォォォン・・・



凄まじい衝撃にキングギドラは吹き飛ばされ、たまらず後ろに倒れ込む。
ゴジラはすかさずキングギドラに熱線を吐いて追い討ちをかけ、激しい渦と巻きながら熱線はキングギドラの中央の首を根本から千切った。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・



辺りには金色の粉がキングギドラの血の如く舞い、その中でゴジラが高らかな咆吼を上げていた。





研護「強いな・・・ゴジラ。」
和美「でも、救世主としてはちょっと危険過ぎる感じね。」
未希「本当の救世主なら、この後現れるわ。未来からキングギドラが、メカキングギドラとなって。」
睦海「M-LINKシステムの発展型が、メカキングギドラに使われているのよね。もっと機能的になっているみたいだけど、いいなぁ・・・」





『ゴジラが、そちらに向かっています!』
「分かっておる。まぁ、いいじゃないか、好きにさせてくれ。どうせわしの人生は、ラゴス島で終わっているんだ。」



東京・帝洋グループ本社の応接室にこだまする、土橋の声。
それを電話越しに聞いているのは、ゴジラが迫っている中悠然と椅子に座る新堂だ。



「恐竜のお陰で生き延びたわしが築いたこの国の繁栄を、同じ恐竜がゴジラに姿を変えて壊しに来たかと思うと・・・皮肉な話だ。」



電話をしながら会長室に移動した新堂は、そこで電話を切って手をゆっくりと下ろし、窓の外を見る。
そこにはかつてラゴス島守備隊の救世主だった恐竜の今の姿・・・ゴジラの顔があった。



グルルルル・・・



新堂は窓越しにゴジラを見つめ、ゴジラもまた新堂を見る。
ゴジラが自身の事を覚えていると悟った新堂は、目の前の怪獣が恐竜であった頃の姿を回想し、ゴジラもかつて島を守る為に米兵と戦った自分へ、敬意を示した男の事を思い出す。
無言で涙を浮かべ、新堂はゴジラを見る。
目を瞑り、再び新堂を見たゴジラの目にも確かに涙があった。



「・・・」



新堂はゴジラに何かを伝えるかの様に深く、一礼する。
それを理解したのか、ゴジラは新堂を見つめ続け、天に向かって一つ吼えた。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・!



そしてゴジラは熱線を放ち、新堂もろともビルを青い炎が貫いた。





美歌「えっ、そんな!」
健「よく見ろ、美歌。ゴジラの目にも、涙が浮かんでただろ。」
未希「新堂さんとゴジラ、きっとあの時お互いの気持ちが分かってたと、私は思うわ。」
睦海「だからこそ、ゴジラはあえて攻撃したのかもしれないのね、三枝さん。」
美歌「そっか・・・ゴジラだって、きっと辛かったよね・・・」
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好釦