Recollection of 「VS」






健「えっと、まずは『VSビオランテ』か。」
I‐E『「超ゴジラ」のキャッチフレーズで有名な、「VS」シリーズの一作目。』
エマーソン「ちなみにその前に俗に言う『84ゴジラ』があるが、今回は平成作品を祝う事情で割愛した。」
将治「この歴史からは消えた話だけど、シリーズを語るには外せない話だね。」
睦海「三枝さんが出てきたのも、この話からですよね?」
未希「ええ、そうよ。今見るとちょっと恥ずかしいけどね・・・」





「・・・アーメン。」



権藤の諦めの言葉と共に、起爆装置のカウントはゼロになった。
三原山はバイオメジャーが仕掛けた爆弾の炎に包まれ、無数の火柱がまるで噴火を思わせる程に、火口を覆い尽くす。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・



と、その最中で爆炎の音すらも裂く叫びが火口から聞こえて来た。
それから幾度と無く地響きが起こり、火口に黒い何かの頭部の姿が現れる。
激しい煙が晴れ、その中から全貌を露わにしたこの巨獣こそ、5年もの月日を経て封印を解かれ、誰もが復活を恐れていた放射能の怪獣、ゴジラであった。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・





健「おおっ!かっけぇ!」
将治「平成ゴジラ、最初の登場だね。」
研護「この時テレビ中継で見てたけど、人類の脅威ながら凄いって思ったなぁ。」
未希「それにしても黒木さん、まさに『ヤング』ですね。」
美歌「みきてぃさんもね~。」
未希「み、みきてぃ?」





『権藤一佐!早く逃げて下さい!権藤一佐!権藤一佐!』



連絡機からの声を無視し、権藤は飄々な様子でロケットランチャーに再び抗核バクテリアの入った弾丸を装填した。
その背後には既に抗核バクテリアを二発打ち込まれたゴジラが、ビルの中の権藤を憎々しげに覗き込んでいる。



ゴガァァァァァァァァァオオオン・・・



ゴジラが権藤に向かって一吼えしたその瞬間、権藤は振り返りざまにゴジラの口へランチャーの弾丸を打ち込んだ。
弾丸はゴジラの口の中にクリーンヒットし、突然の衝撃にゴジラは面食らって悶絶する。
そして権藤は、得意気にゴジラへこう言った。



「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさぁん?」





健「すげぇ、ゴジラの口に打ち込みやがった!」
研護「あれこそ、『漢』って感じだな。」
翼「確かに薬は飲む方がいいっす。あの人、分かってるっすね。」
健「訳の分からねぇバイ菌みたいなのでもか?翼。」
翼「そ、それは遠慮するっす・・・」






ヒィヴアァァァァァウン・・・



ゴジラの熱線で幾つかの触手を焼かれたビオランテは、触手と共に自らも前進した。
足の様な四つの根が大地に穴を開け、20万もの重さを持つビオランテの前進は辺りを揺らす。
だが、ゴジラは一瞬怯みながらも、ただビオランテを睨み続けた。
抗核バクテリアの作用で体の動きが鈍っているから、それとも同じ細胞を持つビオランテの事を待ち構えているのか。



ヒィヴアァァァァァウン・・・



ゴジラを求めるビオランテの猛進は止まる事を知らず、まるでその意志を体現するかの如く激しく蠢く触手を、先にゴジラに向かわせる。
触手はゴジラを抜かし、纏わり付き、ビオランテとゴジラの距離はもはや、目と鼻の先だった。





睦海「こう見ると、ビオランテとソビラって似てる・・・」
将治「人間の遺伝子が入っているか否か、だけの違いだからね。それにしても植物からこんな生物が生まれるなんて・・・凄いな。」
みどり「うーん、でもやっぱりあたしは前の姿の方が良かったかなぁ。なんとなく優雅だったし。」
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好釦