Recollection of 「VS」







「やっぱり、こたつっていいわね~。」
「うん・・・何だか、心まで温かくなるみたい!」
「僕の家にはヒーターとかしか無いから、新鮮な感じだなぁ。」
「zzz・・・」



2009年・12月。
新潟県・弥彦村の桐城家の居間で、こたつを囲みながらゆったりとする健達の姿があった。
初めてのこたつに感激する睦海、こたつよりも睦海の反応を楽しむみどり、改めてこたつの良さを知る将治、そしてこたつの力に飲まれてすっかり爆睡する健。
理由は違えど、彼らは「こたつ」と言う共通のものを満喫していた。



「でしょ!こうやって、同じ所で温め合ってるんですもの、心も温かくなるわ。」
「こたつにみかん・・・まさに冬の風物詩だね。」
「これが、本当の冬の様子なんだね・・・うぅん・・・何だか、眠たくなって来た・・・」
「それがこたつの凄さ。どんな人でも眠たくしてしまう、こたつの魔力よ。ほら、あそこにいるのが丁度いい例ね。」
「zzz・・・」
「健、寝てる・・・」
「さっきから喋らないと思ったら、すっかり快眠だね。桐城。」
「こら、起きなさい!健!」
「・・・うおおっ!?」



みどりに頭を叩かれ、健は奇声を上げながら目を覚まし、慌てて上半身を起こす。
眠そうな様子で健はそのまま正面を向くと机に顔を置き、手前のかごに入ったみかんを一つ掴んで皮を剥いて、果肉を頬張る。



「・・・なんか、ゴジラとアドノア島で初日の出見てたのに、突然でっかい手に潰された・・・」
「健、それって夢?」
「あぁ・・・」
「さしずめ、それは手塚さんの一発だね。」
「勝手に新年を迎えてるからよ。こたつで寝てたら風邪引いちゃうのよ?」
「えっ、そうなの?」
「一説によると上半身と下半身の温度に違いが出る、異常な発熱と乾燥が起こるのが原因だと言われてるけど、これもこたつで有名な話だね。」
「そうなんだ・・・こたつって、いい事ばかりじゃ無いのね。」
「いい事ばかりじゃ無いって言えば、今年もそんな年だったな。風邪にしても、新型のインフルエンザが猛威を振るったし。」
「政権交代、遂に自民党も野党になっちゃったしね・・・」
「確かに暗い話題ばっかだった気がするけどよ、皆既日食とか凄かったし、野球界のゴジラもMVP取ってくれたじゃねぇか。」
「米国でも、初めて黒人大統領が誕生したわ。どれだけ暗い未来でも、きっと変えられるのよ。」
「睦海ちゃんに言われると、ほんとにそんな気がするわね。」
「それに未来なら、俺達で変えたじゃねぇか!最悪に暗い未来をよ!」
「・・・そうだね。」





と、閉まっていた居間の戸が開き、そこにはお盆を持った研護、和美、美歌がいた。
お盆には熱々の茶が入った湯飲みが置かれており、3人合わせて15個もの数だった。



「と、父さんに母さん、美歌!?」
「話中にすまないな、健にみんな。」
「でももうすぐ、お客さんが来るの。」
「お客さん?」
「はい、むっつんのお茶。」
「む、むっつん?・・・あ、ありがとう。」



和美達がお茶を机に置く最中、家の前に何かが落ちたような音がした。
健は急いで玄関に向かい、チャイムが鳴った直後に扉を開ける。



「おいおい、何してんだ・・・って、翼!?」
「兄貴、こんちわっす!」



家の前にいたのは、翼竜ロボットに乗った翼だった。
何かが落ちた音は、ロボットが着陸する音だったのだ。



「お、おう。」
「兄貴、もう姐さん達は来てるっすよね?」
「そうだけど、確かお前にはまだ話してないぜ?なんで知ってんだ?」
「おれっちはある理由で呼ばれたんすけど・・・あっ!そうっす!今からお客さんがここに来るっす!」
「お客さん?母さん達も言ってたけど、だから誰が・・・!?」
「どうしたんだい、とう・・・!?」



ロボットから降りた翼は後ろを指差してそこにいた・・・いや、いる筈の無い人物に健、何事かと玄関に来た将治達は唖然とした。



「・・・やぁ。君達。」
『数ヵ月振りだな、「Next『G』」の者達よ・・・』
『ハジメマシテ。』
『『『・・・』』』



なんと、そこには既に死んだ筈のエマーソンに小型端末に入ったI‐E、アンドロイドα・β・γ、そしてヨンがいた。



「あ・・・I‐E!」
「何であんた達が、ここにいるの!」
「そう怒るな、M‐6の少女よ。今日は特別だ。」
『我らは祝いに来たのだ・・・ゴジラ「VS」シリーズ20周年を。』
「「「「・・・えっ?」」」」
『大丈夫だ、我らは貴様らに危害を加える気は無い。』
『主がそう言っているのだ、安心しろ。』
『それに下手な事をしたら即座に消すと、作者に言われてるのでな。』
「さ、作者・・・?」
「とにかく、それは本当だな?」
「だからこそ、私達はこうして今回限定で蘇ったのだ。信じてくれ。」
『更に「VS」シリーズに欠かせない存在と言う事で、半ばオリジナルの手塚みどりを除く、「VS」シリーズからこの人物も招待している。』
「えっ、それって・・・」



疑問を抱く健達の元へ、1人の女性が少々遠慮がちに歩いて来る。
その女性・・・三枝未希こそが、今回の招待者であった。



「さ、三枝さん!」
「こんにちは、お久しぶりね。」
「本当ならオリジナルの人物だけでやる予定だったが、『「VS」シリーズの祝い事なのに、三枝さんを抜いていいのか!』と作者が思い、急遽来て貰ったのだ。」
「おれっちも、この作者って人に呼ばれたんっすよ。」
「また作者・・・」
「私、一応全作出てたりするから・・・ちょっとお邪魔するわね。」
「は・・・はい。」






しばらくして、桐城家の居間は15人もの人物がひしめく、異様な光景になった。
全員分のお茶が置かれた机にはエマーソンが持って来た「VS」シリーズのDVDが五つ置いてあり、今ヨンが一つのDVDをプレーヤーに入れようとしている。



I‐E『ここからは余りにも登場人物が多い為、特別に台詞に名前を付けて対処する。』
エマーソン「この辺りは辺境の地だからVHSにした方が良かったかと思ったが・・・DVDプレーヤーがあって助かった。」
健「一応、去年の初めからあるっての。田舎だからってなめんなよ。」
将治「僕の家だと、その頃にはブルーレイプレーヤーがあったな。」
健「ブルーレイ?ってか、ディスクなのに代わりはねぇんだろ?」
将治「それは大きな間違いだよ、桐城。ブルーレイはDVDに比べて5倍以上の容量があって・・・」
みどり「はい、ストップ麻生君。」
エマーソン「すまんが、『VS』シリーズのブルーレイはまだ揃っておらんからな・・・」
I‐E『ちなみに「VS」シリーズのブルーレイは、来年の1月に揃う予定だ。』
ヨン『ハカセ、セットカンリョウシマシタ。』
エマーソン「おお、ありがとうよ、ヨン。」



DVDが読み込まれ、テレビ画面が読み込み画面から一瞬暗転し、制作会社のロゴマークが表示される。
それから画面は再び暗転した。
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好釦