ゴジラ4‐守護神の祈り‐
と、その時今の空気には似合わない大きなあくびをしながら、チャイルドが目を覚ました。
ギュオオオオン・・・
「あっ、チャイルド。」
「ごめんね、起こしちゃって・・・」
「そうだ、早くチャイルドを逃がさないと!」
「えっ?」
「向こうではゴジラとモスラが戦ってる。もう俺達が言っても聞かないだろうし、チャイルドを揉め事に巻き込むわけにはいかない。」
「・・・そうですね。」
2人はお互いにチャイルドに呼び掛け、この場から離れるよう促す。
「チャイルドー!早くここから逃げてくれー!」
「ここはとっても危ないのー!」
「俺達と、研究所へ帰ろうぜー!」
しかし、2人がいくら呼び掛けてもチャイルドは動かない。
それどころか、2人の背後で闘うゴジラとモスラに反応している。
「聞いてチャイルド!ここは危険なのー!」
「俺達について来てくれないかー!」
だがチャイルドは2人の言う事を聞かず、逆にゴジラとモスラが戦う中へ走って行ってしまった。
「やめてチャイルド!そっちは危ないの!」
「頼むから、こっちに帰って来てくれ!」
しかし、それでもチャイルドは足を止めない。
ただ、必死に二体の方へ向かって行く。
「どうして・・・?危険だと分かってるはずなのに・・・」
「・・・もしかして、チャイルドはゴジラを助けに行ったんじゃないか?」
「えっ・・・?」
「さっき、『ゴジラはチャイルドを迎えに来た』って言っただろ?」
「はい、確かに・・・」
「あれはゴジラが同種族の存在を感じとって来たんじゃないかと思って言ったんだ。けれどもし、チャイルドにも同じ本能があるとするなら・・・」
「お互いに、存在を感じあう・・・」
「チャイルドはきっと、自分のお父さん替わりでもあるゴジラを助けに行ったんだ・・・」
「ええっ!?でも、それじゃあ自分も・・・」
「・・・遥ちゃんは、もし自分の目の前でおばあちゃんが危険な目に遭ってても、そのまま黙って見ていられるか?」
「・・・いえ、私にはできません・・・」
その時、ゴジラは背後から走って来るチャイルドに気付いた。
だが振り向いたその隙にゴジラはモスラのラリアットを後頭部に受けてしまった。
ゴジラは昏倒し地面に倒れるが、すぐに起き上がりモスラに尾をぶつける。
クィィィィン・・・
衝撃でモスラは後ろへ吹き飛ばされ、木々に激突する。
「志真さん、あれは・・・」
「ああ。ゴジラが、チャイルドを守った。」
ゴジラは後ろのチャイルドを気にかけつつ、吹き飛ばされたモスラを睨む。
――だけど、モスラだってちゃんと理由があってこんな事をしてるんだよな・・・
何だか苦い闘いだ・・・