ゴジラ4‐守護神の祈り‐






ギュオギュオン・・・



「うわっ、捕まっちまったぜ・・・」



その頃、甚吉森では大きなおいかけ合いが終わっている所だった。
チャイルドはすっかりご満悦な様子で手の中の志真を指でくすぐっている。



「うわ、やめろって、くすぐったいだろ・・・」
「志真さーん!」
「んっ、この声は・・・は、遥ちゃん!?」



志真の耳に何処からともなく聞こえて来たのは、ここにはいないはずの遥の声だった。



「ほっ、本当に遥ちゃんなのかー!」
「はーい!」
「何処にいるんだー!」
「ここでーす!」



するとその時、志真とチャイルドの丁度上辺りの空が少し歪んだかと思うと、歪みが光を放ち、モスラが姿を現した。



カクィオオオオウン・・・



モスラの頭の上には、うつ伏せの体勢をした遥の姿もあった。



「えっ、モスラ!?それに遥ちゃんも上に・・・」



モスラはゆっくりと地面に降り立ち、遥が降りたのを確認してから緑の光に包まれ、砕けたかと思うと「フェアリー」体に姿を変えた。



クィキウィィン・・・



「モ、モスラがちっちゃくなっちゃった!?」
「モスラの形態変化です。志真さん、お久しぶりですね。」
「おっ、おう、久しぶり・・・」



志真はすっかり呆気に取られた様子だ。
ひとまず志真はチャイルドに頼み、下に降ろしてもらった。



「それで、『形態変化』ってどういう事なんだ?」
「モスラは自然の力を身に纏い、状況に合わせてその形態を変えれるんです。それぞれ火・水・緑・雷の力を。」
「へぇー、凄いなぁ・・・」
「それで、この形態は緑の力を宿す『フェアリー』体です。ただ、四ヶ月前に変化した雷の力を宿す『エターナル』体はこのペンダントの、私の『愛』の力が必要らしいのですが。」
「そうなんだ・・・それでまた質問だけど、何で空からいきなりモスラが出てきたんだ?」
「あれは『擬態』です。」
「擬態?」
「自分の体の色を透明にして、辺りの風景と同化させたんです。モスラは昆虫系ですからね。」
「モスラって、そんな能力も使えるんだな・・・まぁ、とりあえず助かった・・・」
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっと依頼でこいつを探しに来たんだけど、途中で道が分からなくなってさ・・・」



志真は後ろのチャイルドを指差す。
チャイルドはいきなり現れたモスラと遥に興味があるのか、ずっと前を見つめている。



「この子がチャイルドゴジラ・・・わぁ、可愛い・・・♪志真さん、近寄ってもいいですか?」
「まだ子供で危害は加えないから、大丈夫だぜ。そう言えば何で遥ちゃんはここに?」
「この子を探しに。」



興味深々に近寄って来たチャイルドの頬を撫でながら、遥は答えた。
更に遥はこれまでの経緯を志真に話す。



「へぇー、モスラがわざわざ・・・」
「ですが、私の体力ではとてもこの森まで行けないので、モスラに擬態して乗せて貰っていたんです。」
「やっぱり優しいんだな。モスラは。」



そう言いながら志真はモスラの頭を指でつつく。
少しくすぐったそうだ。



「あっ、そういやチャイルドはどうだ?」
「寝ちゃいました。志真さんといっぱい遊んで、疲れたのでしょうね。」
「なんかチャイルドって本当に怪獣っぽく無いよな。そこらへんにいそうな、普通の子供みたいだ・・・」



そんな志真の言葉をよそに、チャイルドは大きないびきをかきながら、すやすやと眠っている。
だが、その一方でモスラは何故か黙って空を見つめていた。



「ねぇ、モスラはどう思・・・んっ、どうしたの?」
「どうしたんだ?」
「モスラが黙ったまま空を見上げていまして・・・」
「うーん、俺は怪獣の言葉は分からないからなぁ・・・」
「・・・どうやら、インファント島の小美人さんと何か話しているみたいです。」
「モスラ、何を話してんだろうなぁ・・・」
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