ゴジラ4‐守護神の祈り‐
その頃、インファント島に向かってボートで近付く2つの人影があった。
「おおっ、インファント島が見えて来たな、西。」
「うっほ、あそこかぁ・・・」
2人の名は東(あずま)と西(さい)。
自衛隊きっての名コンビで、瞬の舎弟でもある。
彼らは瞬からインファント島に関する事を聞き、興味が湧いたのだ。
「到着っと・・・」
「あっ、やべっ。」
「どうした?」
「瞬殿から貰った地図、宿舎に忘れちまったぜ・・・」
「ばか、何してんだ!仕方ない、自分はちゃんと持って来ているからそれを見せてやるよ。」
「おっ、かたじけねぇ。」
東は背中のリュックから畳まれた島の地図を取り出し、広げる。
「えっと、こうやって行くのか。よし。」
「しっかし俺達ラッキーだよな。瞬殿が酔ってなきゃ、今こんな所に来れなかっ・・・」
「おい!その事はしゃべるな!・・・昨日の鍋に酒混ぜたなんて言えないだろ。」
「おっ・・・おう、すまねぇ・・・」
「しかしこれまた大きな森だな。よく瞬殿も来れたものだ。」
「そうだよな。まぁそれで俺達も迷わずに済むわけだけど。」
2人は地図を頼りに森を進んで行き、30分も経たぬ内に洞穴へ着いた。
「おお、ここだ!」
「あの先に・・・」
『『モスラならいませんよ。』』
2人の前に、何処からともなく声が聞こえて来る。
そして、四ヶ月前の志真の時の様に小美人が2人の前に現れた。
「わっ!なっ、何だこのちっちゃいの!」
「これが話に出て来た『妖精』か・・・」
「おっ・・・よく見りゃかなり美人じゃん。なぁなぁ、歳いくつ?」
「ばか、用件が違う!」
『『それで、用件とは何ですか?』』
「ええっと、そのモスラにゴジラをた・・・」
「おい、ばか!」
すかさず西の口を塞いだ東は後ろに向き、小声で西に話しかける。
「ダイレクトに言うな!もう少し言い方を考えろ!」
「じゃあ、どう言うんだよ?」
「ここは自分に任せて、お前は黙ってろ。」
「・・・わかったよ。」
話し合いが終わり、2人は再び前に向く。
「すみません、ちょっと連れと話し合いを。それで用件は・・・」
『『「モスラの力でゴジラを倒してくれ」ですか?』』
「なっ・・・」
「何で分かったんだ?」
「おい、お前は黙って・・・」
『私達は貴方達の考えている事が分かります。全ておみとうしです。』
『以前も同じ事を言って来た方がいましたが、何故貴方達はゴジラを憎むのですか?』
――・・・瞬殿だ。
『成程・・・そういう事ですか。』
『貴方達はその以前来た方と知り合いで、交渉の結果を聞く為に来られたのですね?』
「まっ、まぁ、そんな所だ・・・」
「分かっているのなら、答えて貰いたい。」
『その件に関してモスラに聞いておきましたが、モスラは断りました。』
『やはりゴジラが悪い怪獣とは思えない、との事で。』
「くっ・・・」
「そうっすか。じゃあ、さいなら。」
西はそう言うとあっさりと帰ろうとしたが、すぐ東に止められた。
「ばか、ここで帰ってどうするんだ!わざわざ金かけて来て、このまま手ぶらで帰れるか!」
「えぇー!俺はこんな虫ばっかの所、早くおさらばしたいぜ・・・」
『『そんなにゴジラは悪い怪獣なのですか?』』
「そうさ。奴が歩くだけで、沢山の人が死んでいくんだ。」
『『えっ・・・?』』
「更に奴に滅ぼされた所も数知れず・・・」
――ええーっと、ゴジラが壊したのは・・・
『『・・・それは本当ですか?』』
「そうさ。奴が存在するだけで、多くの命が奪われるんだ。」
『『・・・』』
「おい、俺早く帰りたいんだけど・・・」
「だってそうだろう。今や奴はいつ世界を壊滅させるか分からなくなってるんだ。地球の為にも、危険な芽は早めに摘んだ方がいいじゃないか。」
『『・・・モスラに連絡を取ってみます。最後に決めるのは、モスラです。』』